「とんだとばっちりだよな。ゲップの次はトイレなんて…。」まるで牛の嘆きが聞こえてくるようです。

ゲップは温室効果ガスのメタンを排出すると言われて、温暖化の犯人の一味とされてきた牛ですが、今度は彼らの糞尿に矛先が向けられています。

トイレを使う意義

牛が一日に出す尿は30リットル、便は30~40キロにも及びます。それ自体はいいのですが、それらが土壌と混ざると「亜酸化窒素」と呼ばれる気体が出るのだそうです。この亜酸化窒素というのは、二酸化炭素の310倍もの温室効果を持つと言われています。

モーモー・トイレトレーニング

そこでニュージーランド大学のダグラス・エリフェ博士らは考えました。人間の子供もトイレで用をたせるのだから、牛にもできるはずだ。牛を知った動物学者ならではの発想で、子牛にトイレのしつけをすることにしました。

その作戦名は、「ムー・ルー・トレーニング(モーモー・トイレトレーニング)」、実に牧歌的な名前です。

特訓のメニューはこうです。

まず、トイレに行くことを覚えさせるため、外で用をたしてしまうとブルブルふるえる首輪を子牛の首に巻きます。次にトイレまでの距離を広げていって、牛がトイレに行ったら、大麦やら砂糖水やら褒美を与えます。その反対に、トイレを外でしてしまった場合は、ヘッドフォンから嫌な音を出しました。しかし牛は音を嫌がらなかったので、代わりに水しぶきをかけてみたところ、効果があったそうです。

この訓練を1日おきに45分間、10日続けたところ、16頭中10頭が見事、厠(かわや)でのトイレに成功したようです。この論文が、今月13日(月)付でCurrent Biologyという科学誌に掲載されました。個人的な意見ですが、人間の子供よりもずっと覚えが早いように思います。

「あの手この手でげっぷと格闘」

一方、牛のゲップ対策に向けた研究も進んでいます。

牛のゲップに含まれるメタンは、二酸化炭素の25倍の温室効果を持つとも言われてます。全世界にいる牛の数は15億頭にものぼるそうで、そこから出るゲップの量は半端ではありません。

さすがに、牛にゲップを止めるようお願いはできないので、代わりにゲップに含まれるメタンの量を減らそうという研究が進められています。北海道大学の小林泰男教授は、牛のエサにカシューナッツの殻を絞った油を混ぜることで、メタンガス減につながることを突き止めたそうです。

毎日新聞は「あの手この手でげっぷと格闘」と、小林教授らの研究を紹介しています。

そういえば、今年は丑年。牛がいろいろな意味で注目される年になっています。