CO2増で空に異変「成層圏」が400メートル薄くなっていると欧州学者

(写真:PantherMedia/イメージマート)

地上のCO2排出量の増加が、上空にも異変をもたらしていることが明らかになりました。「成層圏」と呼ばれる大気の層で厚みが減少していることが分かったのです。一体どういうことでしょうか。

薄くなる成層圏

NASAの図に筆者加筆
NASAの図に筆者加筆

科学誌Environmental Research Lettersに今月初めに発表された論文によると、「成層圏」と呼ばれる大気層の厚みが、1980年代から約400メートル縮小していることが分かりました。その原因はCO2排出量の増加にあるようです。このままCO2の増加が続けば、2080年までにさらに1.3キロも縮まるおそれがあるといいます。

そもそも成層圏とはなんでしょう。それは私たちが暮らす大気の層「対流圏」の一つ上にある層のことです。その高度は地上から20キロから60キロほどで、一般に雲は発生しません。成層圏の中にはオゾン層があります。

空飛ぶチキンナゲット

ちなみに成層圏といえば、昨年こんな愉快な話がありました。欧州のスーパーマーケットチェーンが、看板商品のチキンナゲットを気象観測用の気球にぶらさげて、上空30キロ程の成層圏に到達させたのです。この突拍子もない企画は、50周年の記念イベントだったといいます。青く輝く壮大な地球とナゲットがやけにミスマッチです。

成層圏が薄くなる理由

話を本題に戻しましょう。なぜ地上で排出されたCO2が、チキンナゲットを飛ばす価値があるほど高い上空に影響を与えるのでしょうか。

それには主に2つの要因があるようです。まず第一に、温室効果ガスであるCO2が増えることで、対流圏が温まり空気が膨張、その上の成層圏が下から押されて縮まるためです。第二にCO2が成層圏に突入すると、空気を冷たくさせて、成層圏の大気を縮小させるためです。空気は温まると膨張し、冷たくなると縮小します。

英ガーディアン紙によると、成層圏を縮小させる原因は、これまで「オゾンの減少」とされてきましたが、今回の研究によってCO2が要因であるらしいことが突き止められました。多くの研究者もこの研究に驚いているようです。

日常生活に影響か

この成層圏の変化は、まわりまわって私たちの生活に支障をきたすおそれがあるようです。たとえば衛星の運用、GPSや無線通信などに悪影響が及ぶ可能性が指摘されています。

CO2増加で飛行機がもっと揺れる

このほかにもCO2の増加は意外な影響を与えるかもしれないことが、これまでの研究で分かっています。特に気になるのが、飛行機でケガをしやすくなるというものです。

英国レディング大学のポール・ウイリアム教授は、大気中のCO2濃度が倍増すると、高度11キロ、つまり飛行機が飛ぶくらいの高さの上空で、晴れた日に起きる乱気流が49%増えるという計算にいたりました。2017年の研究です。

それにより航空機は、現在よりも2倍もしくは3倍も危険な乱気流に遭遇するかもしれないというのです。乱気流により負傷する乗員乗客の人数は毎年55人ほどといわれますが、教授の計算が正しければ、CO2の倍増で120人に増えることが予想されるそうです。

CO2を増加させたツケが、まさかこんな形で現れるとは多くの人が思っていなかったでしょう。