「東京の2倍の面積」が7日で焼失、カリフォルニアの記録的な山火事
「もし温暖化に懐疑的ならば、カリフォルニアに来ればいい-」。ニューサム州知事が、先週こう発言したのには、ある理由があります。
カリフォルニア州では年々山火事の件数や面積が拡大し、多大な被害が出ています。2018年は、州史上最大の山火事が発生しました。今年はまだ山火事シーズンが始まったばかりですが、すでに昨年の25倍の面積が焼失しています。
600件超の山火事発生
カリフォルニア州では、現在600件を越える山火事が発生しています。中には、ワインの世界的大産地や、サンフランシスコの中心部周辺などで起きている火災もあります。
東京都の約2個分に相当する約4,000平方キロが、たった7日間で焼けてしまったとのことです。
14,000人もの消防士が消火に当たっているようですが、それでも追いつかない状態で、豪州やカナダなどに応援を依頼しているようです。
これまでに数百軒の家屋が焼失、11万人が避難を余儀なくされています。そして残念なことに、ヘリコプターで消火作業中だった操縦士を含む7名が火災の犠牲になっています。
LNUとSCU
下にあげる2つの山火事は、州史上2番目と3番目の規模にまで拡大しています。
【LNUファイアー】
カリフォルニア州北部のナパバレーやソノマといった、世界的なワインの産地を襲っている森林火災です。火災は8月16日から始まり、初めは小規模な火災が点在していた程度でしたが拡大を続けています。焼失面積は1,400平方キロに上り、カリフォルニア州史上2番目に大きな規模となりました。23日時点で、21%しか鎮火されていません。
【SCUファイアー】
サンフランシスコのベイエリアなどで起きている森林火災です。同じく8月16日頃から始まり、焼失面積は1,390平方キロに及んでいます。州史上3番目に大きな山火事で、23日時点の鎮火率は10%にとどまっています。
なお、山火事の名前がアルファベットと妙なのは、複数の山火事を総合して名付けられているため、消火にあたる消防団の略名が付けられているためです。
ドライサンダーストームの恐怖
山火事をもたらした原因は何でしょうか。
まず一つ目は記録的な高温です。今月16日にはデスバレーで54.4℃と、1913年以来の世界最高気温が観測されたほどでした。
二つ目は「ドライサンダーストーム」と呼ばれる現象です。ドライサンダーストームとは、雨を伴わない雷のことです。非常に乾いた環境では、雨は地上に到達する前に蒸発してしまい、代わりに稲妻だけが起こることがあります。
アメリカの砂漠地帯でたびたび発生する現象ですが、カリフォルニア州にいたっては珍しく、その頻度は15年に一度程度と言われています。カリフォルニア大学バークレー校のステファン教授によると、前回発生したのは2008年のことだったようです。今月はたった3日間で12,000発もの落雷が発生し、これが山火事の原因となったようです。
カリフォルニアの山火事事情
同州の平均気温は過去100年間で約1.5℃上昇し、山火事の焼失面積は1970年代から5倍に拡大、発生時期も2ヶ月半延びています。
通常、山火事シーズンは8月から始まり、11月頃まで続きます。この時点で記録的な火災が発生してしまっていることを考えると、この先が非常に心配になります。