「ゴジラ砂雲」がサハラ砂漠からアメリカへ、50年で最大規模

アフリカ大陸からメキシコに伸びる茶色い砂雲が見える。(24日NASA)

オックスフォード英語辞典を紐解くと、『ゴジラ』の意味は「特別に巨大なものの例え」とあります。それほどの規模なのでしょう。現在「ゴジラ砂雲」と名付けられた、サハラ由来の大量の砂が、中米の空を茶色く覆っています。

ゴジラ級砂雲の正体

春になると、黄砂が大陸の砂漠から日本に飛んでくるように、サハラ砂漠の砂も、風に乗ってヨーロッパ大陸や中南米に到達することがあります。

これは晩春から初秋にかけての現象で、特段珍しいわけではありません。

専門的には「サハラ・エアー・レイヤー(Saharan Air Layer) SAL」などと呼ばれています。SALのピークは6月末から8月中旬です。

つまり暖候期の風物詩なのですが、現在起きている現象は、その砂雲の層の厚さから1970年代以来最悪とも言われています。具体的にはどれくらいひどいのでしょうか。

視界不良に大気汚染レベル上昇

下の写真はサン・バルテルミー島、動画はプエルトリコの、砂雲が覆う前と後の比較です。

普段は青空が美しいカリブ海の島々が、なんとも残念な茶色い雲で覆われているのが分かります。

視界が著しく低下して、米バージン諸島の視程は5キロ、プエルトリコは8キロと伝えられています。

専門家によると、通常サハラ砂漠の砂が到達しても視程は16キロ程はあるようですから、今回の規模が尋常でないことが分かります。このような状態から、プエルトリコ大学のラザロ氏は、ここ50年間で最大規模だと話しています。

大気汚染レベルも急激に悪化しています。大気質指数は、多くのところで「危険」もしくは「きわめて健康に良くない」のレベルに達しました。アルジャジーラは、一時マルティニークのPM10のレベルが世界で8番目に高くなったと伝えています。

ゴジラ砂雲の発生背景

何が原因なのでしょうか。

どうやら事の発端は、6月14日にサハラ砂漠で起きた砂嵐にあるようです。

強風が巨大な砂嵐ハブーブを発生させ、大量の砂が空に巻き上げられました。上空に舞い上がった砂は「アフリカ偏東風」とよばれる上空の強風によって西に運ばれ、大西洋を渡り、そのままカリブ海に到達しました。

今後の予想

24日(水)時点、その砂雲の先端はメキシコ湾にあるようです。

今後はどこに進むのでしょう。

メキシコ湾の上空では南風が吹いています。砂雲は今後この風に乗って北上し、アメリカ南東部に上陸する見込みです。25日(木)にもテキサス州ヒューストンやジョージア州アトランタなどに達し、週末には首都ワシントンDCにも到達する予想が出ています。長い旅路となりそうです。

影響は?

アメリカにはどのような影響があるでしょう。

砂が長距離飛来する中で、粒子が大きく重い砂はすでに地上に落下しています。つまりアメリカに到達する時には、粒子の小さな砂が上空を舞う程度だと見られています。

その結果、昼間は空気が黄色く濁るものの、朝晩は燃えるように美しい朝焼けや夕焼けが見られそうです。

ただ一部の砂は地上に落下するおそれもあって、喘息などの呼吸器疾患を引き起こすことも懸念されています。