インドとパキスタンで「50.0℃」、コロナで気温上昇の可能性も
26日(火)世界でもっとも暑かった100地点のうち、94か所をインドとパキスタンが占めました。
1位はインド・チュルとパキスタン・ジャコババードの50.0℃。ジャコババードは2日連続で同じ気温、インドは今年これまでの国内最高気温となりました。この時期の平均を7~8℃も上回る暑さです。
インド気象局は、今年初となる赤色警報を発令して、熱波への注意を促していました。赤色警報は、インドの警報の中でもっとも高いランクです。
熱波は少なくとも27日(水)まで続くと予想されています。
いまは最も暑い時期
インド北部やパキスタンでは、5~6月がもっとも暑い時期に当たります。
なぜ夏至も来ていないのに、一番暑いのでしょうか。
それは、北半球がもっとも高温になる7~8月に、雨季が重なるためです。恵みの雨が気温も下げてくれます。そのため、雨季直前の今ごろがもっとも暑くなるのです。
青空広がるインド
ところで、このところインドでは「空気がきれいになって空が青くなった」とか、「30年ぶりに遠くのヒマラヤ山脈を眺められるようになった」などと聞かれます。
新型コロナウイルスに伴うロックダウンで、工場の操業停止や車の使用が減っているためです。おかげで温室効果ガスである二酸化炭素の排出量も、ここ40年で最低のレベルまで下がったと伝えられています。
新型コロナウイルスの気温への影響
では良いことついでに、気温も下がっていくのでしょうか。
残念ながら、そう上手くはいかないようです。それどころか、気温が上がるおそれもあるといいます。なぜでしょう。
CO2排出量の減少
国際エネルギー機関(IEA)の試算によれば、今年の世界のCO2排出量は8%減で、その減少量は過去最大となる見通しです。
しかしながら、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が定める目標値である、気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃未満に抑えるためには、10年間毎年7.6%減少させる必要があるといいます。
つまり、一時的なCO2排出量の減少は、温暖化に影響を与えないということになります。
大気汚染物質の減少
しかしながら、大気汚染物質の減少による影響は、比較的すぐに現れるといいます。
そのうえで、大気汚染物質には、太陽光を散乱させる効果があります。空気がきれいになると、太陽光が散乱されにくくなり、地表にさらに多くの太陽光が降り注ぐことになります。その結果、気温が上昇する可能性があるというのです。
英レディング大学のローラ・ウイルコックス教授らは、次のような研究結果を発表しています。
大気汚染物質が急激に減少した場合、一年で最も暑い日の気温が、2050年までに最大4℃上昇して、気候変動を加速させる可能性があるー。
澄んだ空が大雨をもたらす
さらにウィルコックス教授は、空が澄んで陸の気温が上がることで、海水温との温度差が大きくなり、結果的に雨季の雨量も増える可能性があると言っています。つまり、今年のインドは高温、それに続く大雨が予想されると考えているようです。
インドは今月20日(水)に、ベンガル湾史上最強の勢力に発達した「サイクロン・アンパン」の直撃にあったばかりです。また新型コロナウイルスの感染者数は27日(水)現在で15万人超、死者は4,300人超に及んでいます。
ただですら大変な事態が起きている中での熱波と大雨の予想に、被害が心配されます。
**参考ニュース**
“Drop in pollution may bring hotter weather and heavier monsoons” (英ガーディアン)