南極の雪が「血の色」に 一体なぜ?

日没の南極のイメージ画像(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

前代未聞の高温に、氷の融解と、このところ南極は話題に事欠きません。そんな南極で、今度は赤い雪が見られたようです。雪はまるで血に染まったかのように見え、何やら、きな臭さを感じます。一体南極で何があったというのでしょうか。

この異様な光景が見られたのは、ウクライナのアカデーミク・ヴェルナツキー南極基地です。24日ウクライナ教育科学省が、その赤雪の写真やメカニズムなどをフェイスブックに投稿しました。

謎の赤雪の正体

このような、雪の表面が染まる現象のことを「彩雪」といいます。それほど稀有なものではなく、北極やアルプス、さらには日本の立山連峰や伊吹山でも見られます。

では何が雪を赤くさせているのでしょうか。

それは雪の中で生きる藻、いわゆる「氷雪藻(ひょうせつそう)」の仕業です。その一種である「クラミドモナス・ニヴァリス」が、ウクライナ観測基地の赤雪にも存在していることが確認されました。

氷雪藻は強い太陽光から体が傷つくのを防ぐために、「カロテノイド」という色素を体内に蓄積しているそうです。この赤い色素を持った氷雪藻が雪の上で大量繁殖すると、雪面の色が一面赤色に染まるというわけです。

氷雪藻の繁殖の条件

繁殖の条件の一つは、雪の表面が解けて、水の膜ができることです。氷雪藻はこの膜の中で生息するからです。

南極では今夏、11月、1月、2月と3度にわたる熱波が発生しました。特に2月6日には、このウクライナ基地から450キロ離れた南極半島で18.3℃の前代未聞の高温が観測されたほどでした。

この気温上昇が、氷雪藻を大量繁殖させた原因の一つともいえそうです。

スイカの香り

ウクライナ当局はFacebookの投稿の中で、今回の雪を「ラズベリージャム」色と表現しています。この現象は一般的に「赤雪」「ピンク雪」「血の雪」、または「スイカ雪」などと呼ばれています。

ではなぜスイカなのでしょう。確かに淡い赤色がスイカの果汁を連想させますが、実際は色だけではなく、ほのかにスイカの香りもするからなのだそうです。

温暖化を加速させる?

きな臭さどころか甘い香りまで漂わせる赤雪ですが、その実、温暖化の面では悪者なようです。

というのも、本来なら白い雪は太陽光を反射し、地球から熱を逃がすものの、赤い雪は太陽光を吸収して、熱を地球にため込んでしまうためです。

ドイツのLutz教授らの研究では、白雪の太陽反射率(アルベド)が0.75なのに対し、赤雪は0.49と反射率が低いことがわかっています。「温暖化⇒雪が融解⇒氷雪藻が繁殖⇒太陽光の反射率降下⇒地球全体で氷の融解進行」という負の循環が起こる可能性が指摘されています。