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フランスで史上最高気温45.9℃ 極暑の欧州で山火事にヌード論争も

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
25日エッフェル塔の前の噴水で涼む人々(写真:ロイター/アフロ)

フランス史上最高気温

28日(金)フランス南部ガラルグルモンテュで、気温が45.9℃に達し、国内史上最高気温の記録を更新しました。(※)

これまでの記録は2003年8月に観測された44.1℃ですから、今回は6月にもかかわらず、それを1.8℃も上回ったことになります。なお、2003年は欧州史上最悪の熱波が発生し、フランスだけで15,000人以上が命を落としました。

熱波はヨーロッパ西部と中部を覆っており、フランスを含む少なくとも6つの国で、6月の最高気温の記録が塗り替えられています。例えば26日ドイツでは38.6℃に達し、72年ぶりに記録が更新されました。

今週観測された気温 (NASAの衛星画像に筆者加筆)
今週観測された気温 (NASAの衛星画像に筆者加筆)

熱波の原因「スパニッシュ・プルーム」

この極暑の原因は何でしょうか。

それは「スパニッシュ・プルーム(Spanish Plume)」と呼ばれる、スペインの方から吹いてくる強烈な暖気です。ヨーロッパ西部と中部に高気圧が居座っており、アフリカからの熱い南風が断続的に吹き込む気圧配置となっています。

起きていること

この暑さを受けて、各地で耳を疑うような事態が起きています。

【スペインの山火事】

スペイン北東部のカタロニア地方では、ここ20年で最悪の山火事が発生しています。

700人もの消防隊員が消火に当たっていますが、28日(金)時点の焼失面積は6,000ヘクタールで、火はいまだに拡大を続けています。驚くことに、この山火事の原因は、鶏糞の自然発火と見られています。糞が腐り熱を持ち発火し、その炎が風に飛ばされて山火事に至ったのではないかとのことです。

【ドイツの速度制限】

一方、速度無制限の高速道路として知られるドイツのアウトバーンが、この高温で一部溶けてしまったようです。このため一部区間で120キロという速度制限が設けられています。

【ドイツのヌード論争】

同じくドイツでは、裸でヘルメットだけを被ってバイクを運転していた男性の写真が、地元警察のツイッターに投稿されました。この地域では、人に迷惑をかけなければヌードは違反ではないようなので、写真を載せられた男性が、少し気の毒に思えてきます。

ヌードといえば、ミュンヘンの川で涼を取っていたトップレスの女性が警備員に注意されたことに端を発して、法律の禁止するヌードの定義について'''市議会で論争''が行われているようです。

暑さはいつまで

この暑さはいつまで続くのでしょうか。

少なくとも週末までは続く見込みです。ドイツでも国内史上最高気温である40.3℃が更新される可能性も出ています。

しかし、来週1日(月)には寒冷前線が通過して、熱波がひと段落する見込みです。ただそれでも、平年を上回る暑さが続きそうです。

※28日南部ヴェラルグで46.0℃が観測され、気象局は後にこの気温が国内史上最高気温となったと発表しました。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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