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北極からの寒気に包まれるアメリカ 来週は気温が30℃も急上昇か

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
「極渦」に覆われ大寒波に見舞われている北米大陸 (30日)(提供:NOAA/ロイター/アフロ)

数十年来の大寒波に襲われている北米大陸。アメリカ中西部の一部などでは、氷点下40℃以下に下がり、観測史上最も低い気温も記録されています。しかし、週末からは一転して気温が急上昇する見込みです。

カナダやアメリカ北部は記録的な大寒波に見舞われています。特にアメリカ中西部では今週だけで680もの地点で観測史上最低またはそれに並ぶ気温が記録されています。

例えば29日(火)ミネソタ州ノリスキャンプで氷点下44℃、30日(水)にはイリノイ州マウントキャロルで氷点下39℃まで気温が下がりました。このマウントキャロルの気温が確定すれば、現在のイリノイ州の日最低気温記録である氷点下38℃を塗り替えることになります。

低すぎる体感温度

低温に加えて、強い北寄りの風の影響で記録的に低い体感温度が人々を襲いました。

29日(火)ミネソタ州ポンズフォードでは、体感温度の指標であるウィンドチル氷点下55℃、ノースダコタ州グラフトンでは氷点下52℃まで下がりました。

なおウィンドチル氷点下32℃というのは15分以内に、氷点下45℃は5分以内に、皮膚が凍るくらいの温度とされています。

寒波による影響

この寒気や大雪の影響で、凍死者を含む21人の死亡が伝えられています。非常事態宣言が出され、学校や政府機関が閉鎖郵便配達も中止となった州もありました。

一方で31日(木)に気温が氷点下30℃まで下がったシカゴ・オヘア空港では、1,000便以上が欠航し、さらにスプリンクラーの水道管が破裂してターミナルが水浸しになる騒ぎもありました。

(↓こんなものも凍る)

寒さの原因

この寒さの原因は「極渦 (Polar vortex)」です。

極渦とは、極地方の非常に冷たい空気からできた渦のことです。この渦が南下した影響で、カナダやアメリカ北部で気温が下がりました。

しかし反対にアラスカ州西部では気温が上がって、30日(水)のアンカレッジの日最低気温は1℃でした。アンカレッジの1月の最低気温の平均は氷点下11℃ですから、平年の気温を12℃も上回る記録的な暖かさとなったのです。

来週は30℃近く上昇か

この寒さはいつまで続くのでしょうか。

アメリカ・カナダの気象局のデータを元に筆者作成
アメリカ・カナダの気象局のデータを元に筆者作成

上の表は各地の最高気温を表していますが、多くのところで来週にかけて気温が上昇することがわかります。しかもデトロイトやシカゴなどでは、平年を10℃も上回るような初春のような暖かさがやってきて、30日(水)との気温差は30℃近くにもなりそうです。

ただ嬉しいことばかりではなく、気温の急上昇で氷や雪が一気に解けるために洪水 (Ice jam flooding)の危険も高まります。

さらにこのまま暖かくなるわけではなく、2月後半には再び「極渦」がやってきて、今回ほどの寒さではないものの酷寒の天気が戻って来るおそれもあるようです。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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