【元旦台風1号】観測史上初めて1月にタイ直撃へ

JTWC発表の台風1号(パブーク)の予想進路図

観測史上初めて元旦に発生した台風1号(国際名: パブーク)は、4日夜にもタイ南部を通過する見込みです。この地域は元来台風の襲来が多くなく、ましては1月となると記録の残る1951年以降初めてのこととなります。

史上初の元旦台風

1日(火)南シナ海で発生した台風1号は、観測史上初めての「元旦台風」となりました。これまでで最も早い記録は1月2日朝9時に発生した1979年の台風1号です。

現在(3日15時)1号の中心気圧は1000hPa、最大風速は18メートルで、西北西に15キロのペースで進んでいます。今後もやや強まりながら西進して、4日(金)夜にもタイ南部チュムポーン県やスラーターニー県を直撃する可能性が高まっています。

タイの気象局は今日(3日)から風雨が強まるおそれがあるとして、警報を発令し注意を呼びかけています。

68年ぶりの1月台風

タイ気象局のデータをもとに筆者作成
タイ気象局のデータをもとに筆者作成

タイには年間で3~4個の台風や熱帯低気圧が上陸・通過しますが、これまで1月の嵐は例がありません。

上のグラフは1951年から2015年までにタイに上陸または通過した台風と熱帯低気圧の個数を月別に表したものですが、9月と10月に集中し、逆に1月から3月にかけては一つも記録がないことがわかります。

つまり、もし今年の1号がタイを直撃すれば、記録の残る過去68年間では初めてのこととなるのです。

タイの台風事情

タイに強い台風の上陸が少ない理由 (筆者作成)
タイに強い台風の上陸が少ない理由 (筆者作成)

タイ北部はインドシナ半島西部の内陸にあり、海に面した中部と南部は低緯度に位置しています。このためタイは台風の襲来が少なく、またやってくる嵐のほとんどが、台風よりも弱い熱帯低気圧(最大風速17メートル以下)です。

ただ過去には強いものも上陸しています。

タイ史上最大級の台風といわれているのは、1989年11月に発生した台風29号(国際名:ゲイ)で、中心気圧960hPaの勢力で南部を直撃しました。多数の船が転覆、また大規模な土砂崩れや洪水も発生したために、死者数は600人以上にのぼったといわれています。

タイ南部を直撃した1989年台風29号 (画像元: NOAA)
タイ南部を直撃した1989年台風29号 (画像元: NOAA)

一方、タイ史上最も多くの人的被害を出したといわれるのが、1962年10月に南部を直撃した台風25号(国際名: ハリエット)です。勢力は上述の1989年台風よりずっと弱かったものの、935人が命を落としました。

タイの気象関係者は、今回の台風1号は広範囲に影響が及ぶことが予想されるため、この1962年台風よりも大きな被害が出るおそれもあると危機感を募らせています。

サイクロンになってミャンマーに

なお台風1号は、5日(土)にはタイを過ぎ、アンダマン海へと抜ける見込みです。

そうなると名称も「台風」から「サイクロン」へと変わります。発達するおそれは低いものの、来週にはミャンマーに到達して大雨を降らせるおそれも出ています。

追記:5日(土)パブークはマレー半島を越えて、台風からサイクロンに変わりました。

※1/5内容を一部修正いたしました。