航空機内で突然の異臭 原因は「遠く離れた山火事と〇〇」

イメージ図(写真:アフロ)

2017年10月、イギリス・カーディフ発のフライビー航空4521便は、目的地のアイルランド・ダブリンに向けて順調に飛行を続けていた。

しかし着陸直前、機内に何かが燃えたような異臭が立ち込めた。機長は酸素マスクを装着し、管制塔に準緊急事態である旨を伝える。

結局この飛行機は一人のけが人も出さずに無事に着陸したのだが、不思議なことに機内のどこからも臭いの原因は見つからなかった。

一体、何が起きていたというのだろうか。

異臭の原因1

この答えのヒントは当時の天気図に隠されています。

イギリス気象局発表の16日の天気図に筆者加筆
イギリス気象局発表の16日の天気図に筆者加筆

上の図はこの一件が起きた昨年の10月16日の天気図ですが、当時アイルランド周辺には、ハリケーン・オフィリアから変わった温帯低気圧があったことがわかります。

このオフィリアは、史上最も西に到達したハリケーンとして記録されています。結局ヨーロッパに到達する前に温帯低気圧となりましたが、それでも強い勢力を保ったまま近づいたために、欧州西部では強い南風が吹き荒れたのです。

異臭の原因2

NOAA提供の16日の衛星写真に筆者加筆
NOAA提供の16日の衛星写真に筆者加筆

さらにこの時スペインやポルトガルでは、記録的な山火事が発生していました。

乾燥と強風の影響で火が拡大し、10月13日から18日にかけての6日間で合計7,900件の山火事が発生し、49名が亡くなるという大惨事が起きていたのです。

つまりこの大規模な山火事の煙が、元ハリケーンの接近による強い南風の影響で北部へと運ばれ、アイルランド周辺で異臭を漂わせたというわけです。

実際、当時ダブリンでは地上から上空2,000メートルの間で煙の存在が確認されていて、同じ日ブリティッシュ・エアウェイズの航空機もまた、異臭を報告していました。

そもそも山火事の煙が、ジェット気流や台風、ハリケーンなどにより遠隔地に飛ばされるという例は過去に頻繁に起きており、これ自体は珍しいことではありません。先月カリフォルニア州北部で発生した大規模な山火事の煙の一部も、5,000キロ離れたアメリカ東部にまで運ばれています。

しかし今回のように、遠くの山火事の煙がフライト中の航空機内で火災と間違われた例は、非常に珍しいといえます。

なお南風は煙のみならず、アフリカ大陸・サハラ砂漠からの砂も運んだため、イギリス各地で赤やオレンジ色に染まった太陽が見られるなど、地上でも異変が報告されていました。

**参考リンク**

The Aviation Herald "Incident: Flybe E195 near Dublin on Oct 16th 2017, smell of smoke in cockpit due to atmospheric conditions, a number of flights affected"