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アフリカ・中東の境目でサイクロン発生 ソマリアなどで記録的大雨のおそれ

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
17日 サイクロンの衛星画像 (提供:イギリス気象局)

追記(5/23):サガーは19日ソマリア西部に上陸。ソマリア史上最強サイクロンとなった。死者は50名以上、1,800人が家を失った。

北はアラビア半島、南はアフリカ大陸に挟まれたアデン湾は、昔からヨーロッパ、中東、アフリカやアジアを結ぶ世界的な航路として利用されてきました。今この場所にサイクロン・サガーが発生し、ソマリアやイエメンといった周辺諸国に大雨をもたらしています。

(↑イエメンで起きた洪水)

サイクロン・サガー(Sagar)の今後

サイクロンの進路予想(提供:インド気象局)
サイクロンの進路予想(提供:インド気象局)

日本時間18日(金)午前の時点で、サイクロンの中心はアデン湾の西部に位置し、約20キロの速度で西に進んでいます。中心気圧は996hPa、最大風速は秒速23メートルと、前日よりも勢力が強まっています。

インド気象局の予想によると、サガーはほぼ勢力を保ったままアデン湾西部を移動し、19日(土)にソマリア西部あるいはジブチに上陸する見込みです。

過去の統計

世界気象機関(WMO)によると、サガーのようにアデン湾を東から西に横切るサイクロンは珍しいようです。

記録を取り始めた1968年以降では、1984年5月にソマリア北部を直撃したサイクロンと、2015年11月にイエメンに上陸したメグ(国際名)の2個しかないといいます。さらに、今回上陸が危惧されるジブチに関しては、これまでサイクロンが上陸したという記録がないようです。

予想雨量

予想雨量 (提供:NOAA/The Hurricane Weather Research and Forecast System)
予想雨量 (提供:NOAA/The Hurricane Weather Research and Forecast System)

サガーは小ぶりである一方で、大量の雨を降らせるおそれがあります。雨量は広い範囲で100ミリ、特に多いところでは600ミリ以上にも上る予想が出ているのです。

例えばジブチの首都の年間平均降水量は160ミリですから、数年間分の雨が短時間で降ることになります。普段雨の降らない乾燥地帯に雨が降るので、大規模な洪水や土砂災害が起こるおそれがあります。加えて雨が上がった後も、マラリアやコレラといった伝染病が広がる可能性も危惧されています。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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