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出た、虹の世界記録!「9時間」も空にかかり続けギネス認定

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(写真:アフロ)

去年台湾で、9時間も空にかかり続けた虹が観測されましたが、ようやくギネスブックに登録されたようです。

最長寿レインボーの詳細

(その虹の動画↓)

虹が現れたのは2017年11月30日、台湾・台北市にある陽明山でした。朝の6時57分から午後3時55分までの、なんと8時間58分ものあいだ虹がかかっていたといいます。

これは、前回のギネス記録である1994年3月14日にイギリス・シェフィールドで観測された6時間をおよそ3時間も超える大記録となりました。

発見の経緯

虹の観測に成功したのは、中国文化大学の教授や生徒たちでした。撮影した写真の枚数は、1万枚にも及んだそうです。ただギネスに認定されるには、秒単位での虹の存在証拠が必要なようで、教授らは大学のホームページでも写真の提供を呼び掛けていました。

実際彼らが虹を撮影した元々の理由というのは、虹の高度が30分ごとに7度下がることを検証するためだったそうです。しかし、最長記録が観測された数日前に虹が6時間も出続けていたので、当日は記録を残そうと観測したのだといいます。

なぜ9時間も?

なぜこれほど長く虹がかかり続けたのでしょう。

観測を率先した教授によると、北西から吹き付けるモンスーン(季節風)によって、湿った空気が流入し続けたために、雨・雲・太陽と風速の絶妙な気象条件が整っていたようです。さらにこの大学のある陽明山付近では、冬場にこうした理想的な環境ができやすいのだといいます。教授はこの発見について、「空からの贈り物のようだ」と喜びをあらわにしています。

ゲーテの虹論

その昔、詩人で自然科学者でもあったゲーテはこんなことを言っています。虹が15分も出ていたら見る人はいなくなるー。しかし9時間も出続けると、かえって人の興味をひくようです。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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