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アルゼンチン洪水で毒蛇が首都近郊に ビーチも閉鎖

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
2015年ジョージア首都の動物園で洪水が発生し、猛獣が脱走した(写真:ロイター/アフロ)

魚、カエル、カメなど、竜巻や上昇気流によって空高く舞い上げられ、雨のように地上に降ってきたものを、"FAlls FROm The SKIESでFAFROTSKIES(ファフロツキーズ)"と呼ぶ。しかし、これは一体何と呼べばいいのだろう。

アルゼンチンで洪水が発生し、上流から多数の毒蛇が流れてきた。AFP通信によると、川から溢れ出た水で流された蛇が、首都ブエノスアイレス近郊の河口近くの海辺の街に流れ着いて、ビーチが閉鎖に追い込まれているという。この洪水は、50年に一度とも言われる今冬の大雨によるもので、エルニーニョ現象が原因ともいわれる。

アルゼンチン出身の私としては、国のイメージを毒蛇と思われるのは残念なので、他国にはないかいろいろ調べてみた。すると、蛇が洪水で流れ着くのは、どうやらアルゼンチンだけではないことがわかってきた。

実は日本でも同じような事件があった。平成19年の台風9号によって洪水が発生し、マムシの生息する利根川の上流から、蛇が下流まで流れてきたという。このために河川敷では「マムシ注意」の看板が立っている。

流れてくるものは、蛇だけではないようだ。

2015年6月ジョージアの首都トビリシで豪雨が発生し、動物園が水に浸り、危険動物が檻の外に逃げた。このときホワイトタイガーも脱走し、残念なことに男性一人が死亡した。

また、2012年アメリカミネソタ州ではホッキョクグマが、2013年には中国で多数のクロコダイルが、そして2014年にはイギリスでチョウザメが洪水に便乗して脱出を図っている。さらに、動物ではないが、洪水によって東京などでも下水が河川に流れ出すこともある。

大雨には色々な意味で注意が必要なようだ。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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