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巨大炎の竜巻・アメリカ山火事鎮火せず!!

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(写真:アフロ)

アメリカ西部では、過去20年で最も速いペースで、山火事が広がっています。

カリフォルニア・オレゴン・ワシントン・モンタナ・アイダホ州などで、現在95もの大規模な山火事が発生しており、約3万人の消防士が消火活動を行っています。

山火事による煙の様子。赤いところが山火事。
山火事による煙の様子。赤いところが山火事。
主にアメリカ北西部に山火事が集中。クレジット: National Interagency Fire Center
主にアメリカ北西部に山火事が集中。クレジット: National Interagency Fire Center

今年に入ってからの焼失面積は、約3万平方キロメートル。聞いて驚くことなかれ、これは、東京都14個分に相当する面積です。

その中でも特にひどい山火事が、アイダホ州で発生しています。残念なことに約30頭の野生の馬も被害に遭ったようです。

そしてこの場所で先週14日に撮られたのが、この動画です。

恐ろしく大きな炎の渦が回転しています。その映像は、さながら地獄絵のよう。

一体、この竜巻にように見える炎の柱の正体は、何なのでしょうか。

火災旋風の恐怖

この炎の竜巻は、「火災旋風」と呼ばれています。また英語では、FireとTornadoからの造語で、Firenado(ファイアネード)ともいいます。なかなかのネーミングです。

火災旋風は、火が燃えるときに酸素を消費して、周りから空気を吸い込むために上昇気流が発生しています。時に1000℃を超えるような、高温の熱風が超高速回転で回っています。見た目は竜巻ですが、メカニズムが異なるので、竜巻ではありません。しかし、その移動速度、回転速度、ともに竜巻よりも強くなることがあり、竜巻以上に恐ろしい現象と言えるかもしれません。

日本で起きた火災旋風

意外かもしれませんが、世界最大級の火災旋風は、日本で起きています。

1923年の関東大震災直後に大火災が起こり、高さ100~200mにも及ぶ火災旋風が、発生しました。この旋風が襲った、墨田区の陸軍被服廠跡(今の両国辺り)では、3万8千人が命を落としました。

この他、国内では、東京大空襲、広島・長崎の原爆投下の際や、阪神淡路大震災でも発生しています。

近い将来予想されている首都圏直下型地震でも、火災旋風等が原因で、6,000人以上の死者が出る恐れがあると言われています。火災旋風は対岸の火事ではないのです。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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