おこもりGWに服の整理はいかが? 不要な衣類の再利用や寄付の現在

着なくなった服を捨てないで手放す(写真:maroke/イメージマート)

あまり着なくなった服は部屋を無駄に占領してしまいがちです。単に「ごみ」として捨てるのは気が進まないものですが、最近は不要服を引き取ってもらえる回収サービスが広がりを見せています。ファッションブランドの場合、割引チケットをもらえるケースも。社会貢献につながる取り組みや、価値を高めるリメイクサービスも登場しています。今回は興味深い回収プロジェクトを集めてみました。

サステナビリティへの配慮もあって、有力ブランドも相次いで回収や再生・再利用の取り組みを強化しています。廃棄ごみを出さず、本当に服を必要とする人に渡してもらうのは、社会貢献に参加できる点でも有意義なアプローチ。世の中の役に立ちながら片付けが進めば、気持ちもスッキリするから、お籠もりゴールデンウイークの過ごし方として、不要服の一掃処分はぴったりです。

ノーブランド、着古したTシャツ、靴下片方だけでもOK 「H&M」の古着回収サービス

「H&M」の古着回収サービス (c)H&M
「H&M」の古着回収サービス (c)H&M

いろいろな企業が古着回収に取り組んでいますが、誰でもトライしやすいという意味では、「H&M」の「古着回収サービス」がおすすめです。なぜなら、持ち込む衣類にブランドの「しばり」がないから。多くのアパレル企業は、回収を受け付ける商品を、自社ブランドに限っています。でも、H&Mはどこのブランドでもノーブランドでも大丈夫。

しかも、着られる状態である必要はなく、着古したTシャツや下着、靴下、古いシーツでもOKです。不要になった衣類で構わないのです。袋(自宅にある手持ちの紙袋等)に入れて、店内レジ横のリサイクルボックスに入れるだけで済むから、中身を見られる心配はなし。1袋の中にぎっしり詰め込む必要もありません。さらに、1袋につき、500円のクーポン1枚がもらえます。2袋に分けて持って行ったら2枚もらえる仕組みです(1人様1日最大2枚まで)。

回収された衣料は、様々なカテゴリーに分類され、洋服が埋立地に埋まることを無く資源の循環を促す仕組みです。H&Mは環境や社会に配慮された素材を積極的に使用しており、2030年までに使用するすべての素材をリサイクルまたはサステナブルに調達されたものへと切り替えることを目指しています。すでに65%以上の素材がそれに該当し、2021年中には70%以上となることを目標としているようです。

H&Mの国内全店舗で受け付けています。この古着回収の活動によって、H&Mはこれまでに日本で約5441トンの古着を回収したそうです(2020年7月末時点)。

「服から服へのリサイクル」を実現 ユニクロの「RE.UNIQLO」

早くから古着回収に取り組んできた国内企業にユニクロがあります。店頭に持ち込んだ経験を持つ人も多いでしょう。

プロジェクト名は「RE.UNIQLO」。ユニクロのダウン商品と、ヒートテックインナーを持ち込むと、ダウン商品1着、ヒートテックインナー5着につき、500円クーポン1枚がもらえます(2021年5月21日まで、使用期限は6月30日まで)。クーポンの取得には、ユニクロオンラインストアの会員登録が必要。ヒートテックソックスは回収の対象外です。クーポンは5000円以上の購入につき1枚を使えます。

「RE」が意味しているのは、「RECYCLE」「REUSE」「REDUCE」の3つ。ユニクロは店舗で回収した服をリユースし、ダウン・フェザーは新たな製品にリサイクル。これまで難しいとされてきた「服から服へのリサイクル」を実現しました。ヒートテックインナーは化石燃料の代替として使用される固形燃料(RPF)として生まれ変わらせます。自動車用防音材として加工してもいます。

日本環境設計プロジェクト「BRING」と連携

「エーグル」が服の回収・リサイクルを行うプロジェクトをスタート (c)AIGLE
「エーグル」が服の回収・リサイクルを行うプロジェクトをスタート (c)AIGLE

■ブランドに関係なく回収 ゴールドウインの「GREENCYCLE」

サステナビリティー関連の先進的な事業で有名な日本環境設計プロジェクト「BRING」と組む企業が増えています。THE NORTH FACEなどで知られている「GOLDWIN(ゴールドウイン)」の取り組み「GREENCYCLE」は、回収対象は服のみですが、ゴールドウイン製品以外のメーカーやブランドの服も、その質や状態にかかわらず引き取ってくれます。衣類の持ち込みは1日に1回限りで、500円分のクーポンが発行されます。

ポリエステルやナイロンの服は、高純度の原料に戻すケミカルリサイクルに、ダウンウエアは回収して新たなダウン製品の原料となるリサイクルプロジェクトに。そして、まだ着られる服は寄付やリユースされる仕組みです。

■地球の資源へとリサイクル 無印良品

無印良品の服やタオル、カバー類などの商品を、店頭で回収し、繊維製品のリサイクルに役立てています。繊維製品を地球の資源へとリサイクルする企業連携プロジェクト「BRING」に参加。回収した繊維製品のうち、着ることができないものは、バイオエタノールなどにリサイクルしています。一方、手を加えればまだ着ることができる場合は、染め直し加工を施したうえで、「ReMUJI」として限定店舗で再販売もしています。

■目に見えるリサイクルを展開 「スノーピーク」

アウトドアで有名な「Snow Peak(スノーピーク)」では、テントや衣料品などの布製品の回収に力を入れています。日本環境設計の再生ポリエステル製造技術によってポリエステルを取り出して、糸をつくり、新たな服へ。原料を無駄なく使って、丸ごと立体的に編み上げるニット技術「ホールガーメント」で、新しい服に仕上げていきます。「服から服へ」「テントから服へ」という、回収から製造、販売まで一連の流れが目に見えやすいリサイクルの試みです。

■衣料品・ラバーブーツを回収 「エーグル」

フランス発ブランドの「AIGLE(エーグル)」は2021年4月22日から、服の回収・リサイクルを行うプロジェクトをスタートしました。こちらも「BRING」に参加しています。役目を終えたAIGLEの衣料品・ラバーブーツを店頭で回収します。そのうち、衣類品は「BRING」でリユース、リサイクルします。ラバーブーツはAIGLEがリユースします。回収に協力すると、1回の引き取りにつき、500円割引のクーポンを受け取れます。

貧困層を様々な手法でサポート

■ミャンマーとベトナムへ 「Gap」のリサイクルプロジェクト

他ブランドの服も受け付けているのは、「Gap(ギャップ)」のリサイクルプロジェクト。Gapは創業当時から、「洋服を売る以上のことをしよう(Do more than sell clothes)」という企業理念を掲げています。2017年から始まったリサイクルプロジェクトは今年で5年目。2021年5月31日まで、全国のGapストア(一部店舗を除く)で回収を受け付けています。

回収された服は、NPOを通じ、古着業者に買い取られ、ミャンマーとベトナムで貧困層のサポートに使われます。2020年は11.7トンもの服を預かり、図書・おもちゃの贈呈、奨学金のサポートなどの支援につなげた実績があります。

回収対象品は洋服であることが条件となっていますが、Gap以外の洋服でもOKです。多少の汚れやシミ、破れがあっても構わないそうです。

■寄付で非営利団体を支援 「ZARA」

「ZARA(ザラ)」は自社ブランドに限らず、衣類やテキスタイル商品を回収しています。対象店舗にはリサイクルコンテナが設置されています。集められた衣類は、ザラが協力している非営利団体を支援するために寄付されます。別の繊維製品に再生する研究プロジェクトにも協力しています。

■不要な衣類や雑貨でワクチンを届ける 「古着deワクチン」

「古着deワクチン」は名前の通り、不要な衣類やバッグ、靴、服飾雑貨を使って、途上国にポリオワクチンを届ける取り組みです。日本リユースシステムが運営しているこのサービスは、「ジャパンSDGsアワード」の特別賞(SDGsパートナーシップ賞)を受賞しています。

余計な服や小物類を減らして、部屋を片づけることができるのに加え、途上国の人々を支援できる仕組みです。自分で持ち込む必要がないのは、このサービスの便利なところ。自宅に届く専用回収キットに詰めれば、集荷に来てもらえます。パソコンやスマートフォンから申し込めます。

大量の処分に向いているのも、このサービスの魅力です。回収キットには25kgまで詰め込めます。Tシャツが約100枚入る大きな強化紙袋を使って、一気にたくさんの片づけがはかどりそうです。1口につき5人分のポリオワクチンを届けてくれるので、子どもたちの命を救う、ダイレクトなサポートに参加できます。

価値の高い商品に生まれ変わらせるアップサイクルに注目

「LACOSTE」のREGENERATIONプロジェクト (c)LACOSTE
「LACOSTE」のREGENERATIONプロジェクト (c)LACOSTE

■アーティストやデザイナーとコラボ 「ラコステ」

回収した商品に手を加えて、さらに価値を高める「アップサイクル」の取り組みが盛り上がってきました。服のリサイクルでは、価値を再評価さっる古着・ヴィンテージのようなケースを除けば、購入当初に比べ、金銭的な価値が下がってしまうことが多いのですが、アップサイクルの取り組みでは、元の商品以上の価値を持つように生まれ変わらせることを目指します。

たとえば、ラコステ ジャパンは、回収した古着をREGENERATION(再生)させるプロジェクトを始めました。不要になった「LACOSTE(ラコステ)」のアイテムを、ラコステ渋谷店とオンラインストアで回収します。協力した人には、ラコステ各店(百貨店とアウトレットを除く)で使える1000ポイントが付与されます。

6月30日までの期間中、特製の古着回収ボックスがラコステ渋谷店に置かれています。期間中にオンラインストアを利用すると、届いた荷物には宅急便着払い伝票が入っていて、商品が梱包されてきたダンボールに、手持ちの古着を入れて回収に出せる仕組みです。

今回のアプローチが興味深いのは、この先のステップ。回収したラコステの古着を生き返らせるにあたっては、アーティストやデザイナーとコラボレーション。出来上がった作品は8月19日(予定)から、渋谷店で展示販売します。表現者の手を借りて、古着から新たな魅力を引き出す試みです。

■ユーズド素材をアップサイクル 「パタゴニア」

サステナブルな取り組みで有名な「Patagonia(パタゴニア)」も自社ブランドの古着を古くから回収しています。リサイクル製品を可能な限り再販するPatagoniaの「Worn Wear(ウォーンウェア)」の一環として、ユーズド素材をアップサイクル。ウォーンウェアは持ち込まれたパタゴニアの古着を修繕して新たな商品として製造し、リセールする仕組みです。修繕が不可能な状態の衣類を分解し、新たな衣類を作り出す「ReCrafted(リ・クラフテッド)」もあります。

■衣料をアップサイクル 「アーバンリサーチ」

様々なブランドや企業が思い思いのアプローチで、アップサイクル型の回収事業をスタートさせています。自社衣料品の回収を4月から11店舗で始めたのは、「アーバンリサーチ」や「センスオブプレイス」を展開している「URBAN RESEARCH(アーバンリサーチ)」。回収した衣料品は主に、廃棄衣料をアップサイクルするブランド「commpost (コンポスト)」の原料として再利用します。

3年目を迎えた「コンポスト」では、これまでも自社の廃棄衣料(自社倉庫にある販売不可能な不良品や汚損品)を新たな商品へと生まれ変わらせてきました。多用途に使える収納バッグをはじめ、iPhoneケースやティッシュボックスが主な商品です。

ギルトフリーなおしゃれがこれからの流れに

このように、様々な企業やブランドが古着回収に取り組んでいて、回収した後の活用法にもそれぞれ特徴があります。使われ方がわかれば、手放すにあたって納得しやすくなりそう。自分で買った服に責任を持って手放すという行為は、部屋だけではなく気持ちもスッキリさせてくれます。今回、すべての取り組みは取り上げ切れませんでしたが、他にもたくさんの企業・ブランドが回収を始めています。

ステイホームの時間が長くなったことから、不要な衣類の整理を進める人が増えているそうです。単に「ごみ」として捨ててしまうのではなく、再利用や寄付、アップサイクルに生かせば、部屋が片付くのはもちろん、誰かの役にも立てます。罪悪感を遠ざける「ギルトフリー」におしゃれにも通じるから、ゴールデンウイーク計画の選択肢に、古着整理を加えてみてもいいかもしれません。

(関連サイト)

「H&M」古着回収サービス

「ユニクロ」RE.UNIQLO

「ゴールドウイン」GREENCYCLE

「無印良品」リサイクル・リユース

「スノーピーク」布製品の回収

「エーグル」衣類とラバーブーツの回収

「Gap」衣服リサイクルプロジェクト

「ラコステ」REGENERATION

「パタゴニア」Worn Wear

「アーバンリサーチ」commpost