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熱中症にならないための食べ方とは?

松崎恵理一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)・料理家
(写真:アフロ)

今年も酷暑が続いています。

冷房の入った部屋から外に出たとたんに噴き出る汗。

熱中症にならないように、こまめに水を飲んだり塩飴をなめたり、といろいろな工夫をされていることと思います。

そこで今回は、汗が出るしくみや汗で失った栄養素を補給するために、食事で気をつけるべきことについて見てみたいと思います。

■汗の原料は血液

気温が上昇すると、体温を下げようとして汗が出ます。からだの中にある水分を汗として出すことで皮膚表面の気化熱で体温を下げようとしているわけです。

汗腺には、血管がつながっており、汗は血液が原料となっています。

血液には、水分以外にもさまざまな栄養素が含まれていますが、汗となる時は、からだに必要な栄養素は体内に再吸収されます。そのため、汗はほとんどが水です。しかし、100%水というわけではなく、微量ながらナトリウムやその他のミネラルなどが含まれています。つまり、汗を大量にかくと水分と共に、ナトリウムやその他のミネラルも失われてしまいます。

■汗で失われやすいミネラルとは?

汗で失われやすいミネラルというと塩(ナトリウム)と考えがちですが、実は塩だけではありません。ヒトのからだの水分には、細胞外液部分に多く含まれるナトリウムの他、細胞内液にカリウムやマグネシウム、カルシウムなどが含まれています。汗の中には、こうしたミネラルも含まれています。つまり、酷暑で大量の汗をかく時期は、ナトリウム以外のカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルも汗として減ってしまうため、これらのミネラルをとる必要があります。

写真:イメージマート

■汗で失われる塩の量ってどれくらい?

汗に含まれる塩分濃度は、からだの状態や人によって変わり一定ではありませんが、概ね0.3~0.9%と言われています。通常、成人が1日にかく汗の量は500ml程度とされ、日常的に汗で失う塩の量は、2.5g(塩分濃度0.5%とした場合)ほどと考えられます。200mlほどの汗をかいた場合に失う塩の量は、0.6~1.8gほどということになります。

■汗で失った塩は同量を摂取しなければならないか?

汗で塩を失ったから、その分の塩は必ず補給しなければならないか、というとそうではありません。体内の塩分濃度は常に一定になるように調節されています。つまり汗で出ていく塩の量が増えた場合、尿などで排出する塩の量などで調節されます。

そのため、まずは、汗で失った水分の補給をしっかりすることが大切です。ただし、サッカーなど激しい運動で大量の汗をかいた時は、塩が含まれているスポーツドリンクなどで補給する必要があります。

写真:アフロ

■汗で失われやすいミネラルの補給方法

ナトリウム以外の汗で失われやすいミネラル、カリウム、マグネシウム、カルシウムは、どのようにとったらよいでしょうか。

カリウムは、野菜や果物に多く含まれています。マグネシウムは、わかめや海苔、ひじきなどの海藻やアーモンドに多く含まれています。カルシウムは、乳製品や小魚に含まれています。こうした食材を毎日の食事に意識して取り入れるようにしましょう。

■暑い夏は、朝食をたべよう

わたしたちは、睡眠中にも汗をたくさんかいています。暑い夏は、日中の汗で水分や塩、その他のミネラルが減りやすい状態です。さらに睡眠中の汗でも水分や塩、ミネラルが汗として失われています。そのため、朝食で水分や栄養素をしっかり補給することが大切です。ヒトは、飲物からだけではなく、食物からも水分を摂取しています。まずは、朝食をしっかり食べて暑さに負けない体を作りましょう。

写真:アフロ

一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)・料理家

一般社団法人日本栄養検定協会代表理事、博士(栄養学)、料理家。専門は栄養疫学。栄養学の基本をだれでも学べる栄養検定を実施・運営。美味しく、健康的なレシピ作りも行う。日本栄養・食糧学会会員。慶應義塾大学卒業。オートファジーコンソーシアムアカデミア会員、栄養士養成校にて「統計学」の非常勤講師。LE CORDON BLEU(代官山校)料理を首席で卒業しグランディプロム取得。Paris Ecole Ritz Escoffier 短期クラス修了。毎週月曜日気軽に読める無料メルマガ配信中!https://system.faymermail.com/forms/7515

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