昨年から続くコロナ禍。それと共に増える体重。。。なんとかしなきゃ、ということで筋トレをはじめ、プロテインドリンクをしっかり飲み始めたものの、なんだか便秘気味。。。という方はいらっしゃいませんか。

もしかしたらそれはプロテインドリンクの飲みすぎが原因かもしれません。

2020年の売上金額の前年比139%、ランキング8位(※1)となったプロテイン粉末。昨今の糖質オフ、たんぱく質をしっかり摂ろう、という流れもあり、女性を中心に利用される方がかなり増えたようです。健康的なイメージがあるプロテインドリンクですが、飲みすぎると逆に体調不良になってしまう可能性があります。その注意点や適切な量について解説します。

■そもそもプロテイン粉末(ドリンク)って何?

プロテインは、たんぱく質のことなので、プロテイン粉末は、たんぱく質を効率的に摂ることのできる精製されたたんぱく質の粉のことをいいます。プロテイン粉末は、材料となる食品の種類によって大きく分けて以下の3種類があります。

・ホエイプロテイン(牛乳由来、吸収が早い)

・カゼインプロテイン(牛乳由来、吸収速度がゆるやか)

・ソイプロテイン(大豆由来、吸収速度がゆるやか)

元々は、厳しい筋力トレーニング後の回復のために吸収の早いホエイプロテインを摂取するなどアスリート向けのイメージがありましたが、吸収速度がゆるやかなものは、腹持ちがよいこともありダイエットを目的として摂取される方が急に増えてきたようです。

こうしたプロテイン粉末は、たんぱく質以外にビタミンやミネラル、糖質、食物繊維、脂質などたんぱく質以外の成分も含まれているものが多くあります。

写真:Wakko/イメージマート

■たんぱく質だからたくさんとっても大丈夫?

たんぱく質は、私たちのからだを作るために必要な栄養素です。そのため、たくさんとっても大丈夫だと思っていませんか。栄養素の摂取はバランスが大切です。必要なたんぱく質であってもとり過ぎはおすすめできません。

プロテイン粉末は、水や牛乳、豆乳などで溶いて飲みます。液体で摂取することもあり、消化が不十分なまま小腸に入りやすいと考えられます。また、過剰に摂取すると、吸収しきれずに残ったたんぱく質が大腸に移動し、腸内細菌の悪玉菌のエサになって、腸内環境が悪化しがちです。そうすると、便秘になったりおならが臭くなったりすることがあると考えられます。

また、たんぱく質にはエネルギーがあります。摂り過ぎると代謝され一部は脂肪になりますし、たんぱく質の代謝に必要なビタミンが不足することで脂肪肝のリスクが上昇する、腎機能に影響がでるなどのリスクが考えられます。

■適切なたんぱく質の摂取量とは

プロテイン粉末の適切な量を考えるためには、そもそも1日にどれくらいのたんぱく質の量が必要なのかを考える必要があります。

日本人の食事摂取基準2020では、推奨量を成人男性で60~65g/日、成人女性で50g/日と定めています。これは、からだを維持するために必要な1日あたりのたんぱく質量を体重1kgあたりで算定した数値から導き出された量です。算定には、参照体重を使用していますので、推奨量から逆算すると男女共に体重1kgあたり概ね0.9~1.0gほどになります。仮に、体重70kgの成人男性の場合は、1日にたんぱく質を63~70g、体重55kgの成人女性の場合は、50~55gのたんぱく質をとればよいということになります。

一方で、アスリートの場合は、体重1kgあたりの必要なたんぱく質量は、1.6~2.2g程度とされています。※2

ということは、一般的な人が運動をする場合であっても、摂取するたんぱく質の量は、上記数値よりも少ないと考えるのが妥当と言えるでしょう。

なお、こうしたたんぱく質の摂取量は、適切な糖質(炭水化物)量を摂取することを前提とした数値です。極端に糖質を減らした食事をすると、摂取したたんぱく質がからだの組織の維持のためではなく、エネルギーとして利用されてしまいます。その結果、からだの組織を維持するために使われるはずのたんぱく質が足りなくなります。

では糖質でとるエネルギー分をたんぱく質で増やせばよいかというと、たんぱく質の過剰摂取は、からだに負担がかかりおすすめできません。なぜなら、たんぱく質をエネルギーとして使う時、私たちのからだでは、たんぱく質をアミノ酸に分解、代謝して糖に変化させてエネルギーとして使っており、その過程でさらにビタミンなどが必要になるからです。

つまり、適切なたんぱく質量の摂取は、適切な糖質(炭水化物)量の摂取があってこそ、ということになります。

写真:アフロ

■プロテイン粉末を摂取する場合の適量とは?

市販されているプロテイン粉末は、1回分で20g程度のたんぱく質が摂取できるものが多いようです。

食品に含まれるたんぱく質量は、卵1個、納豆1パックがそれぞれ約6g、鮭1切れ、豚モモ肉90gでそれぞれ約18g含まれていますので、3食で主菜を1品食べ、その他に乳製品や副菜などに含まれるたんぱく質も含めると、通常の食事で概ねたんぱく質量は足りていると考えられます。

ですが、食事が偏ってしまったり、手軽にたんぱく質を摂取したい場合などでプロテイン粉末を使う場合は、筋トレの後などに1日1回程度の摂取がよいでしょう。

アスリート以外の人が1日に2杯以上を毎日摂取するのは、摂り過ぎとなる可能性があります。また、腎臓に疾病がある場合は摂取量について必ず医師に相談するようにしましょう。

■プロテイン粉末を選ぶ時の注意点

プロテインの粉末には、たんぱく質以外の栄養素なども含まれることが多いため、添加されている成分や栄養素が過剰摂取になっていないかについても注意を払いましょう。

また、製造過程での異物の混入や、アスリートの方が利用する場合は、意図せずドーピング薬物を摂取してしまうリスクもあります※3。そのため、必要な栄養素はできるだけ食事からとる、プロテイン粉末を利用する場合は、信頼のおける会社で製造されたものを選ぶことが大切です。

ヒトの身体は食べたものでできています。できるだけ日々の食事から、美味しく、楽しみながら必要な栄養素を摂取できると良いですね。

※1全国小売店パネル調査、集計期間2020年1月~10月

※2「体重階級別協議のウエイトコントロールガイドブック」独立行政法人日本スポーツ振興センター・国立スポーツ科学センター

※3Maughan RJ, et al. Br J Sports Med. 2018 Apr;52(7):439-455.