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三枚堂達也七段(27)王座戦本戦1回戦突破で破竹9連勝! 豊島将之竜王(31)は誕生日を白星で飾れず

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月30日。大阪・関西将棋会館において第69期王座戦本戦1回戦▲豊島将之竜王(31歳)-△三枚堂達也七段(27歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は21時22分に終局。結果は127手で三枚堂七段の勝ちとなりました。

 三枚堂七段はこれで1回戦突破。佐藤康光九段-西田拓也五段戦(5月6日対局)の勝者と2回戦で対戦します。

 この日31歳となった豊島竜王は、残念ながら誕生日を白星で飾ることはできませんでした。

三枚堂七段、今年度ブレイクの予感

 豊島竜王は2014年、トーナメントを勝ち抜いて羽生善治王座(当時)への挑戦権を獲得しました。

 このときは初タイトル獲得まであと一歩と迫りながら、羽生王座の厚い壁に跳ね返されています。

 2014年には24歳七段だった豊島竜王。本局当日には誕生日を迎え、31歳となりました。いまは竜王・叡王の二冠保持者です。

 一方の三枚堂七段は現在27歳。棋士の数が多い1993年度生まれのうちの一人です。

 三枚堂七段は今期王座戦、一次予選から勝ち進み、二次予選決勝では郷田真隆九段を破りって本戦進出。叡王戦は七段予選を突破し、竜王戦3組でも優勝するなど、ここまで公式戦8連勝中と好調です。

 三枚堂七段は今年度、大ブレイクを果たしてもおかしくはない若手実力者の一人でしょう。

 豊島竜王と三枚堂七段は本局が初手合となります。

 先手の豊島竜王は矢倉模様の立ち上がりを選択します。対して三枚堂七段は中央に飛車を移動し、右玉に組みました。

 昼休明け。豊島竜王は金を上がって駒組を進めるのが穏当と思われそうなところ、銀を上がり、あえて銀の両取りをかけさせました。

 もちろん豊島竜王がうっかりしたというわけではなく、これでバランスは取れているようです。

 中盤は長く押し引きが続きました。駒割は一時、角桂交換にまで広がったものの、豊島竜王も飛車先から攻め込んで駒損を回復。難しい形勢で推移しました。

 やがて豊島竜王の攻めが一段落。三枚堂七段は反撃に出ます。

 以下は三枚堂七段が優位に立って、次第にリードを広げていきました。

 三枚堂七段は5時間の持ち時間を使い切り、一分将棋となったあとも間違えません。最後は豊島玉を受けなしに追い込んで、タイトルホルダーを降しました。

 三枚堂七段はこれで公式戦9連勝。大ブレイクの予兆を感じさせます。

 同じ日に東京でおこなわれた王座戦本戦1回戦・高崎一生七段-大橋貴洸六段戦は高崎七段の勝ちとなりました。

 大橋六段はABEMAトーナメントで豊島竜王のチームメイトです。優勝候補の一角とも目されるチーム豊島ですが、この日、王座戦では受難の一日となりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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