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主な新興国・米国経済ニュース(17日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

テスラ、19日に「モデルS」のソフト自動更新による走行距離改善計画発表

中核ブランド「モデルS」=テスラサイトより
中核ブランド「モデルS」=テスラサイトより

米電気自動車専業のテスラ・モーターズ<TSLA>は19日に記者会見を開き、同社の中核ブランド「モデルS」に搭載されているインターネット接続機能を利用して、運転や走行性能、安全性に関連するソフトウエアを自動更新することにより、充電池の性能を改善して1回の充電による走行可能距離を延ばす計画を正式に発表するもようだ。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーなどが15日に伝えた。

これは同社のイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が自身のツイートで明らかにしたもので、ワイヤレスでモデルSのソフトウエアを最新のものに自動更新するため、ユーザーは自動車修理工場に車を搬入する手間を省くことができるという。

マスクCEOはモデルSの電池寿命がどれだけ延びるかは明らかにしてないが、現在の標準仕様の充電池(電池容量65キロワット時)では1回の充電による走行可能距離は208マイル(約330キロ)、特別仕様の大型充電池(同85キロワット時)では265マイル(約420キロ)となっている。ワイヤレスにソフトウエアを更新することによって、ユーザーは新しい高性能の電池を搭載した電気自動車を買う必要がなくなる可能性があると見ている。

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コムキャストとT・ワーナー、AT&TとディレクTVの合併遅れる見通し

米ケーブルテレビ大手コムキャスト<CMCSA>は昨年2月に同業大手の米タイム・ワーナー・ケーブル<TWC>を450億ドル(約5.4兆円)で買収することで合意したあと、米連邦通信委員会(FCC)で合併承認手続きが進められているが大幅に遅れる見通しとなった。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが先週末に伝えた。

これはFCCが先週末に、180日間のショットクロック(審査完了期間)の開始を停止することを明らかにしたもの。FCCは過去に昨年の10月と12月にコムキャストとタイム・ワーナーの合併承認についてショットロックを停止したが、1月から審査を再開しており、これで3回目の停止となる。

また、FCCは同時に、米通信大手AT&T<T>と有料衛星放送大手ディレク・ティービー<DTV>の合併承認のショットロックも昨年10月に続いて停止したことを明らかにした。停止は2回目。AT&Tは昨年5月にディレク・ティービーを485億ドル(約5.9兆円)で買収することで合意している。

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トヨタ、ロシア・サンクトペテルブルク工場の年産10万台拡大計画変えず

トヨタ自動車は先週、ロシア経済が悪化して今年の国内新車販売台数が大幅に減少する見通しにもかかわらず、サンクトペテルブルクにある自社工場の年間生産能力を現在の5万台から2倍の10万台に拡大する計画を変更しないことを確認した。地元紙ロシースカヤ・ガゼータ(電子版)が先週末に伝えた。

ロシアの1月の新車販売台数は前年比24.4%減の11万5390台となったが、ロシア自動車調査会社アフトスタットは、今年のロシア全体の新車販売台数は前年比40%減になると予想している。しかし、トヨタ車への需要は拡大しており、1月の自動車ブランド別ランキングではトヨタ車は8位から6位に順位を上げている。

また、ロシアに進出している外国企業で構成する欧州ビジネス協議会(AEB)によると、1月のロシア国内でのトヨタ車全体(レクサス車除く)の新車販売台数は前年比14%減の7149台となったが、トヨタがロシアで唯一生産している車種「カムリ」の販売台数は同38%増の2109台と増加している。昨年のカムリの販売台数は3.7%増だった。

昨年12月、同業大手の日産自動車はサンクトペテルブルク工場の生産能力を2倍の10万台に拡大している。

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ブラジル中銀週報:2015年GDP伸び率見通し、11週連続で下方修正

ブラジル中央銀行が9日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2015年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の対前年比伸び率0.66%減から0.78%減へ下方修正された。下方修正は11週連続。1カ月前の予想は0.42%減だった。2016年のGDP伸び率見通しも前週予想の同1.4%増から1.3%増へ下方修正された。1カ月前の予想は1.5%増だった。

また、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2015年は前週予想の前年比7.77%上昇から7.93%上昇へ下方修正(悪化)された。下方修正は11週連続。1カ月前の予想は7.27%上昇だった。2016年の見通しも前週予想の5.51%上昇から5.6%上昇へ下方修正された。下方修正は2週連続。1カ月前の予想も5.6%上昇だった。

一方、2015年末時点の政策金利の見通しは前週予想の13%のまま据え置かれた。据え置きは2週連続。1カ月前の予想は12.75%だった。2016年末時点の見通しも11.5%のまま据え置かれた。据え置きは11週連続。1カ月前の予想も11.5%だった。また、4月28-29日の次回金融政策決定会合時点での政策金利の見通しも13%のまま据え置かれた。据え置きは4週連続。1カ月前の予想も13%だった。

為替レートの見通しは、2015年末時点の対ドルレートは前週予想の2.95レアルから3.06レアルへ引き上げられた。引き上げは3週連続。1カ月前の予想は2.9レアルだった。2016年末時点の対ドルレートも3レアルから3.11レアルへ引き上げられた。1カ月前の予想は2.93レアルだった。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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