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主な新興国/米国経済ニュース(14日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米コムキャストCEO、タイム・ワーナー買収合意の完了に強い意欲示す

米ケーブルテレビ最大手コムキャスト<CMCSA>のブライアン・ロバーツCEO(最高経営責任者)は12日、サンフランシスコで開かれた投資説明会で、記者団に対し、今年2月に同業大手の米タイム・ワーナー・ケーブル<TWC>を450億ドル(約5.2兆円)で買収合意したあと、米司法省による買収審査を受けていることに関し、「全力をあげて、TWCの買収合意を来年第1四半期(1-3月)中に完了したい。我々は今日にでも買収を完了できると信じている」と述べ、TWC買収完了に強い意欲を示した。米経済専門テレビ局フォックス・ビジネス(電子版)などが伝えた。

また、同CEOは、バラク・オバマ大統領が10日に、米連邦通信委員会(FCC)に対し、料金によるデータ伝送速度の差別化などを廃止した「開かれたインターネット(ネット中立性)」を実現するため、コムキャストなどのブロードバンド(高速インターネットサービス)企業への規制を強化するよう指示したため、ブロードバンド各社は今後の設備近代化投資が困難になっている問題についても、「TWC買収合意を完了すると宣言した以上、今後2年間で200億ドル(約2.3兆円)のインターネット関連のサービスや製品の改善のための投資を行う方針に変わりはない」とも述べている。

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米ネットフリックス、「アイフォン6プラス」向けHD映像サービスを強化へ

米オンラインDVDレンタル・映像ストリーミング大手ネットフリックス<NFLX>は米IT大手アップル<AAPL>の最新のスマートフォン「iPhone6 plus (アイフォン6プラス)」向けのハイデフィニション(HD)ビデオの映像解像度を720p(有効垂直解像度720本)から1080p(同1080本)へ引き上げ、顧客がより鮮明なHD映像を楽しめるようサービスを強化する。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが12日に伝えた。

これはアイフォン6プラス向けのアプリケーションを1080p用にアップデートしたもので、良好な無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」環境で、同アプリの利用が可能となっている。すでに、ネットフリックスではグーグルの携帯電話向け基本ソフト「アンドロイド」を使ったスマートフォン向けには2013年7月から1080pのHD映像の提供を開始しており、ようやくアイフォン向けにもサービス開始に追いついた格好だ。

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米JCペニー、2014年8-10月期純損失縮小も売上高予想下回り株価急落

経営難に陥っている米百貨店チェーン大手JCペニー<JCP>が12日に発表した2014年8-10月期(第3四半期)決算は、最終損失は前年同期の4億8900万ドル(約560億円)から1億8800万ドル(約220億円)へと、大幅に縮小した。また、1株当たり損失(希薄化後)も1.94ドルから62セントに縮小し、アナリスト予想の81セントの赤字を下回った。

一方、売上高は前年比0.5%減の27億6000万ドル(約3200億円)となり、アナリスト予想の28億1000万ドル(約3230億円)を下回った。また、既存店ベースでは横ばいとなり、アナリスト予想の2.2%増を下回った。しかし、租利益率は前年同期の29.5%から36.6%へ7.1%ポイント改善した。

また、2014年11月-2015年1月期(第4四半期)の業績見通しについては、既存店ベースで前年比2-4%増を予想している。2014年度全体では、既存店ベースの売上高は3.5-4.5%増と予想している。

同社の株価は12日、7.78%高の7.76ドルと、急伸したが、売上高がアナリスト予想を下回ったのが嫌気され、その後の時間外取引では米東部時間午後7時59分時点で5.28%安の7.35ドルと、反落している。

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米S&P、タイの銀行セクター格付け見通しを「安定的」で維持

米信用格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のアナリスト、ディーパリ・セス・チャブリア氏は12日、タイの政情不安の懸念があるものの、国内銀行セクターの信用格付けに対する見通し(アウトルック)を当分の間、「安定的」のまま維持する考えを明らかにした。地元紙ネーション(電子版)が13日に伝えた。

しかし、同氏は、「政府の大規模インフラ整備プロジェクトによって、国内の銀行セクターの貸し出しが拡大するものの、家計の債務負担が高水準で経済が低迷しているため、近い将来、銀行の貸し出し債権が不良債権化するリスクがある」と懸念を示している。

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インドネシア中銀、政策金利を据え置き―市場の予想通り

インドネシア中央銀行(BI)は13日の理事会で、政策金利である翌日物BI金利を市場の予想通り、現行の7.5%のまま据え置いた。据え置きは2013年12月から12会合連続となる。また、過剰流動性を吸収するために翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も5.75%、翌日物貸出ファシリティー金利も7.5%に据え置いた。

中銀は理事会後に発表した声明文で、今回の金利据え置き決定について、「中銀の金融政策は、インフレ率を2014年の物価目標4.5%プラスマイナス1%ポイントと2015年の物価目標4%プラスマイナス1%ポイントにまで低下させ、経常赤字も健全で持続可能な水準に削減するという、金融引き締めの姿勢と一致するものだ」とし、前回と同じ文言を使っている。

また、中銀は声明文で、「中銀は、政府の燃料補助金削減に伴う燃料価格の上昇によるインフレ期待の上昇に対する警戒を緩めず、引き続き金融政策とマクロ経済政策のポリシーミックスを強化することにより、マクロ経済と金融システムの安定を維持する」とし、また、「持続安定的な経済成長を維持し、国内経済のリバランス(外需から内需、公需から民需への是正)を着実に進めるために、インフレ抑制と経常赤字の削減に向けて、政府との政策調整を一段と強めていく」と述べている。

インフレの見通しについては、「インフレは抑制されており、依然として低下傾向にあることから、2014年の物価目標4.5%プラスマイナス1%ポイントの達成の見込みが高まっている」としたが、「中銀は引き続き物価目標の達成を危うくするようなさまざまなリスク、特に補助金付き燃料価格の上昇の可能性に注意し、これらのインフレリスクを弱めるため、中銀は補助金付き燃料価格の上昇が抑えられ、一過性に終わるよう、政府との政策調整を含めて様々な手段を講じていく」と、慎重な姿勢を示している。

また、景気の見通しについては、「世界経済が依然弱いことから、国内経済の成長率は減速する傾向にある。今年の第3四半期(7-9月)は5.01%増と、前四半期の5.12%増を下回ており、今年の成長率は従来見通しの5.1-5.5%増のレンジの下限になる」としている。ただ、「2015年には5.4-5.8%増と上向く」と予想している。

自国通貨ルピア安の進行については、中銀は声明文で、「10月のルピア相場は下押し圧力が続き、平均で1ドル=1万2142ルピアと、9月平均に比べ2.01%下落(ドル高・ルピア安)となった」とした上で、前回の声明文と同様に、「今後も引き続き、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に見合った為替相場の安定を維持していく」としている。

次回の金融政策決定会合は12月11日に開催される予定。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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