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主な新興国/米国経済ニュース(3月7日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア中銀、ウクライナ情勢悪化によるルーブル安阻止で1.2兆円市場介入

ロシア中央銀行は5日、ウクライナ情勢の悪化による自国通貨ルーブルの下落を阻止するため、週初3-4日の2日間だけで外為市場で過去最高額となる113億ドル(約1.16兆円)ものルーブル買い介入を実施したことを明らかにした。ノーボスチ通信(電子版)が伝えた。

週初の3日、旧ソ連ウクライナ南部のクリミア地方へのロシア軍の侵攻や、ロシア上院が1日にウクライナへの武力行使を認めたことから両国の軍事衝突の懸念が高まる中、ロシアの株式市場や自国通貨ルーブルが取引開始直後から急落したため、中銀は臨時の金融政策決定会合を開き、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利を従来の5.5%から一時的に1.5%ポイント引き上げて7%とすることを決めた。一方、中銀による3日の市場介入規模は110億ドル(約1.1兆円)となり2011年9月に記録された過去最高額を4倍以上も上回った。4日の介入額は3億ドル(約310億円)だった。

また、中銀の報道官は3日、ルーブルがドルとユーロの2通貨バスケットに対し、年初来ですでに10%も下落しているものの、「金融市場の状況が安定すれば、できる限り早期に、完全自由変動相場制へ移行する」と述べ、2015年までの変動相場制への転換方針が変わっていないことを明らかにしている。

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独ダイムラー傘下の三菱ふそう、インドネシアでの生産拡大を検討中

ドイツ自動車大手ダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスは、インドネシアの商業用自動車市場が拡大していることから、将来的にインドネシアでのトラックやバスの生産を拡大する方向で検討している。地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)が6日に伝えた。

これは工業省ハイテクベース先端産業総局のブディ・ダルマディ・ハイテクベース総局長が明らかにしたもので、同総局長は5日、ダイムラーの関係者と会談しており、ダイムラーはインドネシアへの投資拡大を検討しているとしている。ダイムラーはすでに地場の総販売代理店クラマ・ユダ・ティガ・ベルリン・モータース(KTB)と40年間にわたって提携関係にあり、同国の商業用自動車市場でリーダー的な存在となっている。

同総局長によると、ダイムラーは投資拡大の規模や時期については明らかにしていないが、インドネシアでこれまでに生産されなかった新型モデルを生産するとしている。現在、三菱ふそうのインドネシアでの生産能力は年間16万5000台となっている。

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インドネシアのライオン航空、新CEOにルディ・ルミングケワス氏を指名

インドネシア格安航空最大手ライオン航空は5日、同航空のオーナー、ルスディ・キラナ氏に代わって、ルディ・ルミングケワス氏を新CEO(最高経営責任者)に指名したことを明らかにした。

ルディ・ルミングケワス氏は2001年にメダン地区の統括部長として入社し、2012年にはマーケティング・販売部長に昇格している。ライオン航空はインドネシアの昨年の利用客数6360万人の38%に相当する2390万人を扱っている。

一方、ルスディ・キラナ氏はライオン航空やバティク・エア、ウイングス・エアの親会社であるライオン・グループのCEOとして職務を続ける。また、同氏は今年初め、民族覚醒党(PKB)の副党首に指名されている。

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米PEファンドのサーベラス、今週にも米スーパー大手セーフウェイ買収か

米プライベートエクイティ(PE)ファンド、サーベラス・キャピタル・マネジメントは今週中にも米スーパー大手セーフウェイ<SWY>を買収する見通しだ。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が5日に関係筋の話として伝えた。

この報道を受けて、セーフウェイの株価は5日、2.15%高の39.48ドルと急伸し、6日の米東部時間午前8時38分時点で0.94%高の39.85ドルと値を上げている。同紙によると、サーベラスはセーフウェイを1株当たり約40ドル(約4100円)で買収する提案を行っており、40ドルで合意した場合、買収総額は90億ドル(約9200億円)となり、近年ではスーパーの買収額では最高額の一つになる。

一方、セーフウェイの買収を巡っては、米スーパーマーケット最大手クローガー<KR>もセーフウェイの全株か、あるいは、一部の株式の取得を検討している。しかし、関係筋は全米2位の食品スーパーであるセーフウェイの買収では米国の独禁当局が難色を示す可能性があるため、サーベラスが有利と見ている。

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米エクソン、2015-2017年の投資額を年間5700億円削減へ

米石油大手エクソン・モービル<XOM>は5日、アナリスト向け経営説明会で、2015-2017年の油・ガス田の探鉱活動と設備への年間投資額を2013年の425億ドル(約4兆3700億円)から370億ドル(約3兆8000億円)へ、55億ドル(5700億円)減額する方針を明らかにした。今年の投資額も約400億ドル(約4兆1000億円)に削減する見通し。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が伝えた。

また、同社は2017年時点の油・ガス生産量の見通しについても1年前に予測した日量480万バレル(、原油換算)から430万バレルに下方修正した。ただ、2013年の420万バレルを上回る。同社のレックス・ティラーソンCEO(最高経営責任者)は、「投資はキャッシュフローの増大に寄与する分野に行われるべきで、油・ガス生産に投資するよりも石油精製所や石油化学工場への投資を増やす計画だ」としている。

この発表を受けて、同社の株価は5日、2.82%安の93.8ドルと、急落。6日も米東部時間午前9時3分時点で0.02%安の93.78ドルと、小安くなっている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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