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主な新興国/米国経済ニュース(9月27日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米老舗百貨店JCペニー、株価13年ぶり安値に急落―流動性懸念で

売り上げ低迷で苦戦している米百貨店チェーン大手JCペニー<JCP>の株価が25日、ニューヨーク証券取引所で、一時15%を超す大幅下落を記録し、結局、14.96%安の10.12ドルと、2000年11月以来13年ぶり安値で引け、112年の歴史を誇る老舗百貨店の先行きへの懸念が急速に高まっている。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーなどが伝えた。

アナリストは、8月後半から9月初めにかけて、JCペニーの売り上げが減少しており、これからの新学期商戦でも苦戦が強いられると見ている。

また、JCペニーの株価急落の背景には経営の継続に必要な流動性資金が枯渇するのではないかという市場の懸念がある。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチによると、米証券大手ゴールドマン・サックスのアナリスト、クリステン・マクダフィ氏は、「JCペニーは、経営基盤がぜい弱なことに加え、在庫の急増、さらには今年6月から開始したホームデパートメント(家具など室内装飾の専門ストア)事業でつまずき、7-9月期の流動性資金の水準が危うくなる恐れがある。また、10-12月期の商戦が盛り上がらない見通しのため、JCペニーの経営陣は流動性を一段と積み上げる必要がある」と指摘。その上で、同氏は、JCペニーの10億ドル(約980億円)を超す無担保社債3本に「アンダーパフォーム」の格付けを付与し、これがきっかけで株価が急落している。

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米JPモルガン、MBSの違法販売めぐる和解協議で1.1兆円支払いか

米金融大手JPモルガン・チェース<JPM>は、同行が2005-2007年にサブプライム住宅ローン(信用度の低い顧客への融資)債権を裏付けとして組成・販売したMBS(不動産担保証券)に絡んで違法行為があった疑いがあったとして、米司法省やニューヨーク州の検察当局、連邦住宅金融機関(FHFA)から調査を受けている問題で、関係当局との金銭による和解金額が最初の提示額の30億ドル(約2900億円)から4倍近い110億ドル(約1.1兆円)に拡大する見通しとなった。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)などが25日に伝えた。

この報道を受けて、同行の株価は25日、2.74%高の51.7ドルに上昇した。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチによると、米資産運用資会社イントレピッド・キャピタル・ファンドを率いるマーク・トラビス氏は、「110億ドルという和解金の規模は、時価総額1950億ドル(約19.1兆円)のJPモルガンにとっては経営を危うくするほどのもではない。同行のジェームズ・ダイモンCEO(最高経営責任者)は経営コストの一部と見ているだろう。この110億ドル和解金の支払いで、JPモルガンは当面のやっかいな問題を一気に片付けることができる」と述べている。

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ハンガリー中銀副総裁、0.6%ポイントの追加利下げの余地を示唆

ハンガリー中央銀行のフェレンツ・ゲルハルト副総裁は25日、投資関連セミナーで、現在、過去最低水準となっている政策金利の先行きの見通しについて、「中銀はハンガリー経済の成長を助けるため、当面、政策金利を最大60ベーシスポイント(0.6%ポイント)、追加利下げする余地がある」との認識を示した。ハンガリー経済専門サイト、ポートフォリオが伝えた。

これより先、中銀は24日の金融理事会で、市場の予想通り、政策金利である2週間物預金金利を0.2%ポイント引き下げて3.6%とし、過去最低の水準を更新している。ただ、ゲルハルト副総裁は追加利下げのペースについては、「毎月、どの程度の利下げを決めるかについて、これといった特定の計画は持っていないが、1回に0.1%ポイントの小幅利下げをしたり、あるいは、利下げをしなかったりする可能性がある」とし、利下げは慎重に行われるとしている。

一方、中銀のジョルジュ・マトルチ総裁はすでに、政策金利は3-3.5%の水準まで低下するとの金融政策指針を明らかにしている。

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インドネシア政府、来年1月の金属資源輸出禁止は緩和か

英金属専門誌「メタル・ブルティン」が主催している国際会議「アジア・ニッケル会議」のコモディティ・コンサルタント、ジム・レノン氏は25日、インドネシアの首都ジャカルタで、米経済通信社ブルームバーグのインタビューで、インドネシア政府は2014年1月からのニッケルやボーキサイト、銅など金属資源の輸出禁止措置を緩和する可能性が高いとの見通しを示した。ジャカルタ・グローブ(電子版)が25日に伝えた。

同氏は、「インドネシアは2014年4月に総選挙を控えているため、政府は(全面禁止によって)スラウェシ州やカリマンタン州の鉱山で多くの失業者が発生するような事態は望まないだろう。政府は来年から金属資源の輸出を全面的に禁止するとは見ていない」と指摘している。他方、スイス鉱山大手グレンコア・エクストラータでは、インドネシア政府が来年からの金属資源の全面禁止の可能性は五分五分と見ている。

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ベトナム格安航空ベトジェットエア、エアバス「A320」92機を購入へ

ベトナム格安航空大手ベトジェットエアは25日、欧州航空最大手エアバスから近・中距離向けジェット旅客機「A320」62機を購入する了解覚書(MOU)を結んだ。カタログ価格で総額61億ドル(約6000億円)となる。このほか、30機の追加購入のオプション契約も結んだ。オプションも含めると商談額は総額91億ドル(約8900億円)となる。オンライン・ニュースメディア「ベトナム・インベストメント・レビュー」が26日に外国通信社の報道を引用して伝えた。

ベトジェットエアのルー・ドゥック・カーン社長によると、初号機の納入は来年で、2022年まで毎年約10機のペースで同社に引き渡される予定。ベトジェットエアは2011年後半から営業を開始し、現在はベトナム国内11都市と国外ではタイに運航している。現在、ベトナム市場の20%のシェアを握っており、今年末までには25%に上昇する見通し。同社は今年末までに韓国に就航する計画で、日本や台湾などの北アジアにも運航を拡大したいとしている。

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チェコ中銀、政策金利を据え置き―依然過去最低の0.05%

チェコ国立銀行(中央銀行)は26日の金融政策決定会合で、政策金利の2週間物レポ金利を過去最低の0.05%のまま据え置くことを全員一致で決めた。同中銀は昨年11月の会合で政策金利を0.25%から0.2%ポイント引き下げて0.05%と、事実上のゼロ金利にしており、据え置きは前回8月会合に続いて7回連続となる。

中銀は金融政策決定会合後に発表した声明文で、前回会合時と同様、「インフレ圧力が著しく上昇しない限り、事実上ゼロ金利の現在の金利水準はより長期にわたって維持される」とし、政策金利が長期にわたって据え置かれる見通しを示した。

また、声明文は、前回と同様に、「一段の金融緩和が必要な場合には、為替介入を行う用意がある」とも述べている。ただ、そのあと、「為替市場介入を実施する可能性に変わりはなく、依然として高い」との文言が新たに付け加えられている。

さらに、「政策金利がゼロ金利の状況にあることを考えると、金融緩和は(利下げ以外の)他の方法を用いる必要性がある」との文言も変えず、非伝統的な金融緩和策の導入の可能性を依然として示している。その上で、「(中銀の最新の)経済予測を狂わせるリスクはやや低下しており、これはやや金融緩和が必要な方向を指し示している」としている。

このほか、中銀が市中銀行に資金供給するためのオーバーナイト物金利で短期市場金利の上限金利となるロンバート型貸出金利も現行の0.25%に、また、市中銀行が中銀に預金として預ける過剰流動性に適用される金利で短期市場金利の下限金利となる公定歩合も現行の0.05%に据え置かれた。

次回会合は11月7日に開催される予定。

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ブラジル携電大手TIM副社長、TIMの3分割後の売却憶測を否定

ブラジル携帯電話サービス大手TIM(チン・パルチシパソエス)のブラジル法人のマリオ・ジラソーレ副社長は25日、ブラジル電気通信事業者協会(TELCOMP)主催のセミナーで、今後、TIMが3分割されて、それぞれ国内同業大手のポルトガル・テレコム傘下のOi(オイ)とメキシコ携帯電話大手アメリカ・モビル傘下のクラロ・ブラジル、スペイン通信大手テレフォニカ傘下のVIVO(ビーボ)に売却されるとの市場の憶測を否定した。

ブラジル市場では、テレフォニカが24日にTIMの親会社である伊信大手テレコム・イタリアへの出資比率を一段と引き上げることで両社が合意したことから、テレフォニカによるブラジルの携帯電話市場の寡占化が進む事態を避けるため、TIMの売却は避けられないとの憶測が広がっていた。

同副社長は、「テレフォニカがテレコム・イタリアへの出資比率を引き上げることによって、TIMのブラジルでの事業が変わることはない。TIMのブラジル携帯電話市場での業績は堅調であり、我々はTIMを存続させる」と述べている。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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