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主な新興国/米国経済ニュース(8月13日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

スロバキア投資ファンド、ポーランド薬局大手メディク・アプテカを買収

スロバキアのプライベートエクイティ(PE)ファンド、ペンタ・インベストメントは、ポーランドの薬局チェーン大手メディク・アプテカを7000万ユーロ(約90億円)で買収した。買収後、ポーランド2位の薬局チェーンとなる。プラハ・デイリー・モニター(電子版)が9日に伝えた。

ペンタ・インベストメントはポーランド国内で「ドクター・マックス」の名称で70店舗の薬局チェーンを運営しているが、チェコとスロバキアを含めると約500店舗となる。今回の買収でメディク・アプテカの店舗を合計すると、ポーランド国内では約300店舗の巨大チェーンが誕生することになる。

ペンタにとって、メディク・アプテカの買収はポーランドの医療関係のM&A(企業の買収・合併)としては3番目となる。ペンタは最近、ポーランドの薬局チェーン、パートナー・ファーマの29店舗を1500万‐2000万ユーロ(約19億2000万‐25億6000万円)で取得、さらに7月にはポーランド病院チェーン大手EMC Instytut Medycznyの株式68.5%を約6億8000万コルナ(約34億円)で取得している。

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ロシアのオネクシム、携電小売りスビャズノイの株式50%取得で仮合意

ロシアの大富豪ミハイル・プロホロフ氏が率いるプライベートエクイティ(PE)ファンド、オネクシム・グループは、銀行事業部門を強化するため、ロシア国内で銀行やオンライン小売りなどの事業にも進出している携帯電話小売り大手スビャズノイの株式50%の取得で仮合意した。モスクワ・タイムズ(電子版)が12日に伝えた。

オネクシムは傘下に、リテール(消費者向け小口金融)銀行のルネッサンス・クレジットと投資銀行ルネッサンス・キャピタル、保険会社Soglasiyeを保有している。プロコロフ氏はすでにスビャズノイのオーナーのマクシム・ノゴトコフ氏との間で、株式取得で仮合意しており、ノゴトコフ氏が自社の株式の半分を保有するとなっている。

株式取得で最終合意すれば、オネクシムはスビャズノイの3000店舗以上の携帯電話ショップを利用して銀行サービスを提供することになり、ズベルバンクの1万8000店舗超に次いでロシア2位の店舗数となる。3位はボストチニー・エクスプレス・バンクの約2000店舗。

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インドネシア中銀、15日の会合で金利据え置きの可能性―エコノミスト

インドネシア中央銀行(BI)は6月末の燃料補助金の廃止に伴う燃料価格の平均33%の上昇によってインフレ上昇圧力が急速に強まったことから、6月と7月の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物BI金利を2回連続で計0.75%ポイント引き上げたが、一部のエコノミストは、次回15日の理事会では、現行の6.5%の金利水準が維持される可能性があると見ている。ジャカルタ・グローブ(電子版)が12日に伝えた。

中堅銀行バンク・ダナモンのエコノミスト、アントン・グナワン氏は、最近の顧客向けリポートで、「中銀は今後、景気の後退に焦点を移す可能性がある。インフレ抑制のための追加利上げは、今後2カ月で燃料価格によるインフレ悪化は抑えられるとの見通しがつけば、最後の選択肢となる可能性がある」と指摘している。同氏はインドネシアの今年の経済成長率は5.88%増となり、昨年の6.2%増を下回ると予想している。政府見通しは6.3%増で、中銀も先月、従来予想の6.2‐6.6%増から5.8-6.2%増に下方修正している。

また、サミュエル・セクリタス・インドネシアのエコノミスト、ラナ・ソエリスティアニングシー氏も7月のインフレ率の急上昇(前年比8.61%上昇)は一時的で長続きせず、中銀は6月と7月の連続利上げでインフレ悪化懸念に対処済みとの立場だ。ただ、米金融大手シティグループのエコノミスト、ヘルミ・アルマン氏は、中銀は15日の会合で、再度0.25%ポイントの利上げをする可能性があるとしている。

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ベトナム銀行不良債権買取会社、外資導入が不可欠―元リーマン幹部

2008年に経営破たんした米投資銀行大手リーマン・ブラザーズのジョン・シーハン元取締役は先週、ベトナム・ハノイで開かれた経済セミナーで、ベトナム中央銀行によって7月26日に発足したばかりの銀行不良債権買い取り専門会社(VAMC)について、「VAMCの資本金5000億ドン(約25億円)では不十分で、ベトナムの不良債権問題は表面的な解決にしかならない」と厳しい見方を示した上で、今後は外国からの投資、特に、外資系金融機関から数十億ドルもの巨額の資金がVAMCに流れ込む可能性があるとの見通しを示した。ベトナム通信(電子版)が12日に伝えた。

ベトナム銀行協会のチュオン・タン・ドゥック氏も、VAMCの資本金は5000億ドンでは不十分とし、外国資本の注入が必要との認識を示している。ただ、問題は外資系金融機関に対する出資や株式取得、不動産投資に関する規制が厳しく閉鎖的になっていることだとしている。ただ、最近では、VAMCのグエン・フートゥイCEO(最高経営責任者)は、開発途上国の民間セクターの活動を支援する世界銀行傘下の国際金融公社(IFC)や英金融大手スタンダード・チャータード銀行傘下の投資ファンド、TPGグロースなどがベトナムの不良債権の買い取りに関心を示していることを明らかにしている。中銀は9日にVAMCに5000億ドンを払い込んでいる。

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米百貨店大手JCペニー、株価急落止まらず―CEOと会長の退任要求で

売り上げ低迷で苦戦している米百貨店チェーン大手JCペニー<JCP>の株価が先週末、ニューヨーク証券取引所で急落したが、週明け12日も午前8時54分時点で前週末比1.55%安の12.679ドルとなった。

これは最大株主(全株式の18%保有)で役員の一人でもある、米アクティビストヘッジファンド、パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントを率いるビル・アックマン氏が10日にJCペニーの取締役会に対し、マイロン・ウルマンCEO(最高経営責任者)とトーマス・エンジバス会長の即時解任を要求する書簡を公開したことから、先週末(9日)は前日比5.78%(79セント)安の12.86ドルに急落し、年初来でも35%も下落している。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどが11日に関係筋の話として伝えたところによると、JCペニーは11日に急きょ、電話による取締役会を開いたが、アックマン氏への対応策は決まらず、依然、情勢は流動的となっているという。JCペニーの役員会としては、アックマン氏を排除するいくつかの選択肢を取る可能性がある。

しかし、この内輪もめで、JCペニーに商品を納入しているサプライヤーはJCペニーの先行きに懸念を深めており、今週中にもJCペニーの経営陣からどんな対策が打ち出されるか注目している。アックマン氏は書簡で、「JCペニーは危機的な状況にあり、企業存続が危うくなっている」と指摘している。

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米アップル、9月10日にアイフォンの次世代モデルと格安モデル発表か

米IT大手アップル<AAPL>は9月10日のメディア向け特別イベントで、同社の人気スマートフォン「アイフォン」の次世代モデルを発表するもようだ。米オンラインITニュースサイトのオールスイングズD・ドット・コムが先週10日に関係筋の話として伝えた。

次世代アイフォンは新OS(基本ソフト)の「iOS7」を搭載し、これまでのアイフォンのメニューやアイコンも一新されると見られている。アナリストは年内にもアップルは、「アイフォン5S」と低価格志向の消費者向けの格安モデルを発売すると予想している。アップルの株価は12日午前8時52分時点で前週末比0.68%高の457.55ドルに上昇した。前週末(9日)は前日比1.42%安の454.45ドルで引けている。

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ブラジル中銀週報:今年のGDP伸び率見通しを2.21%増に下方修正

ブラジル中央銀行が12日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2013年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の前年比2.24%増から2.21%増に下方修正された。下方修正は2週連続。1カ月前の見通し予想は2.31%増だった。また、2014年のGDP伸び率見通しは前週予想の同2.6%増から2.5%増に下方修正された。1カ月前の見通し予想は2.8%増だった。

また、2013年末時点の政策金利の見通しは、前週予想の9.25%のまま据え置かれた。据え置きは6週連続。1カ月前の予想は9.25%だった。2014年末時点の政策金利も前週予想の9.25%のまま据え置かれた。据え置きは2週連続。1カ月前の予想は9.5%だった。次回8月27‐28日の金融政策決定会合時の政策金利(翌日物金利誘導目標)の見通しも、前週予想の9%のまま据え置かれた。据え置きは7週連続。

IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しについては、2013年は前週予想の前年比5.75%から5.74%に上方修正(改善方向)された。1カ月前の予想は5.8%上昇だった。また、2014年の見通しも前週予想の5.87%上昇から5.85%上昇に上方修正された。1カ月前の予想は5.9%上昇だった。

一方、為替レートの見通しについては、2013年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、前週予想の1ドル=2.25レアルから2.28レアルに引き上げられた。2014年末時点の見通しも前週予想の2.3レアルのまま据え置かれた。据え置きは4週連続。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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