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主な新興国・米国経済ニュース(6月28日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ポーランド財務次官、中銀に0.5%ポイントの追加利下げ進言へ

ポーランドのヤヌシュ・チホン財務次官は26日、ポーランド通信社(PAP)に対し、中央銀行の金融政策に関し、「まだ、追加利下げの余地はある。実質金利の水準は依然、高い」とした上で、「(中銀の次回会合が開かれる)7月に、中銀の金融政策委員会に対し、0.5%ポイントの利下げを進言したい」と述べ、0.5%ポイントの追加利下げの可能性を示唆した。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が27日に伝えた。

また、これより先、中銀のマレック・ベルカ総裁も先週、現在、利下げキャンペーンの今後の見通しについて、「我々は近く7月の経済予測を見ることになるが、個人的には景気回復が始まる兆候がすでに現れてきていることを期待している」と述べ、7月2-3日に開かれる次回の金融政策決定会合ではまだ利下げが継続される可能性を示唆した。しかし、同時に、同総裁は政策金利が適切な金利水準にゆっくりと近づいている可能性があることも示している。

中銀は前回5日の金融政策委員会で、景気を刺激するため、主要政策金利の7日物レファレンス金利を0.25%ポイント引き下げて過去最低水準の2.75%とすることを決めている。7日物レファレンス金利は昨年11月の会合で3年5カ月ぶりに利下げに転換して以降、7回連続の引き下げとなる。

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ロシアのソフト大手ルクソフト、NY証取に新規上場―70億円調達

ロシアIT持ち株会社IBSグループ傘下のソフト大手ルクソフトは26日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で新規株式公開(IPO)を実施した。409万2070株(A株)を1株当たり17ドル(約1660円)で売り出し、6950万ドル(約70億円)の資金を調達したもようだ。

同社の時価発行総額は1株17ドルで計算すると、5億5420万ドル(約540億円)となる。また、共同幹事社の米投資銀行コーウェン・アンド・カンパニーやクレディスイス証券、JPモルガン証券、スイス金融大手UBS、ロシア2位の投資銀行VTBキャピタルに対し、最大61万3810株のオーバーアロットメント(追加的な販売株数)が与えられている。

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米フィッチ、インドネシア中堅行バンク・メガの格付けを取り消し

米英大手信用格付け会社フィッチ・レーティングスは25日、インドネシアの中堅銀行バンク・メガに付与している国内長期信用格付け「A」(アウトルックは「安定的」)を取り消したことを明らかにした。ジャカルタ・ポスト(電子版)が26日に伝えた。

フィッチは格付けの取り消しを決めた理由について、同行が格付けの決定プロセスへの関与を拒否したことで、同行に関するデータ収集が不十分になったためとしている。フィッチは、「今後は同行に対する格付けも分析も行わない」としている。

バンク・メガの格付け取り消しについて、資産運用会社インドスルヤ・アセット・マネジメントのアナリスト、レザ・プリアンボド氏は、今後、投資家は同行が格付けプロセスから離脱した理由について注視していくことになる、と指摘している。ただ、今回のような格付け取り消しが他の格付け会社に及ばなければ、投資家の反応は限定的になる、とも述べている。

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ベトナムのバイオエタノール生産者、混合ガソリン需要低迷などで苦境に

ベトナム政府は2014年12月から7都市・省でバイオエタノール5%の混合ガソリン「E5」の生産と販売を義務付ける計画だが、それまでの約2年間、ベトナムのエタノール生産者は採算悪化で苦しい経営が余儀なくされそうだ。地元オンラインメディアのベトナムネットが27日に伝えた。

国営ベトナム石油ガスグループ(ペトロベトナム、PVN)のエタノール生産子会社ベトナムオイル総公社(PVオイル)は、E5の国内需要が伸び悩んでいるのに加え、輸出価格の低下で採算割れとなっており、エタノール事業の継続が困難な状況に直面している。PVオイルのグエン・アン・トアン副社長は、ビンフオックとクアンガイ、フートの3省にある自社3工場の年間生産能力は合計で3億リットルだが、生産コストの上昇と原料となる根菜類のキャッサバの価格変動で低操業を余儀なくされている、としている。

政府の計画では、E5ガソリンは正式には2014年12月からハノイやダナン、ホーチミン、ハイフォン、カントー、・バリア=ブンタウ省、クワンガイ省で利用が義務付けられ、2015年12月からは対象地域が一気に全国に拡大される。

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米GE傘下のGEヘルスケア、コニカミノルタとデジタルX線撮影装置で合意

米複合企業大手GE(ゼネラル・エレクトリック)のヘルスケア事業部門であるGEヘルスケアは26日、情報機器大手コニカミノルタ<4902.T>とデジタルエックス線撮影装置(DR)の日本を除く世界市場での販売協力で合意したことを明らかにした。

両社はこれまでも過去10年近くにわたって、米国市場でのコンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)装置の販売協力を行ってきており、今回の合意は、GEヘルスケアの世界各国にある販売チャンネルを通じて、コニカミノルタのカセット型DR「エアロディーアール(AeroDR)」を販売するもので、両社の戦略的提携関係を一段と強化するものだとしている。

また、GEヘルスケアは24日、韓国のエックス線装置メーカーのバテック傘下のレイエンスが保有する乳がん診断用のマンモグラフィー(乳房エックス線撮影装置)関連資産を買収することで合意したことも明らかにした。買収は7-9月期中に完了する予定で、マンモグラフィー関連資産はGEヘルスケアの検出・ガイダンスソリューション(DGS)事業ユニットに統合される。

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米モンサント、7-9月期最終利益は3%減―売上高は0.7%増

米バイオ化学大手モンサントが26日に発表した今年度第3四半期(3‐5月)決算は、最終利益が前年比3%減の9億0900万ドル(約890億円)となった。この結果、1株当たりの利益も1.68ドルとなり、前年同期の1.74ドルを下回ったが、アナリスト予想(1.61ドル)を上回った。

一方、売上高は前年比0.7%増の42億5000万ドル(約4170億円)となり、アナリスト予想の44億1000万ドルを下回った。売上高が伸び悩んだのはブラジルの大豆栽培事業の寄与度の低下と綿花栽培面積の減少などが響いたため。5月までの9カ月間ベースでは最終利益は前年比20.1%増の27億3000万ドル(約2680億円)、売上高は同11%増の126億6000万ドル(約1.2兆円)となっている。

また、今年度の業績見通しについては、最終利益は1株当たり4.5-4.55ドルと、3年連続の前年比20%超の増加、さらに2014年度の10%台半ばの増加という会社予想をいずれも据え置いた。

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ブラジル市民抗議デモ、6月の自動車販売に悪影響及ぶ

ブラジル国内で猛威をふるっている市民抗議デモの悪影響が自動車産業に及んでいる。ブラジル自動車工業会(ANFAVEA)によると、6月の自動車販売台数(バス・トラック含む)は前月比3.9%増の26万6000台、このうち、乗用車・軽商業車は同4.1%増と、前月比で増加しているものの、前年同月比では13.9%減と大きく落ち込んでいる。

また、6月の1日平均の自動車販売台数を見ると、前月比3.9%増の1万5704台となった。しかし、地場調査会社LCAコンスルトーレスは、市民抗議デモが全国各地に拡大した17日以降では、デモが激化する前の3‐14日と比べると、1日平均の販売台数は12%も減少したと指摘している。

LCAのエコノミスト、ロドリゴ・ニシダ氏は、「この12%の減少は市民抗議デモの影響を受けた可能性が高い。消費者の信頼感をすでに低下させており、直接的な影響として、店舗や役所の出先機関などが閉鎖されている」と述べている。

ただ、ANFAVEAのルイス・モアン新会長は、今のところ、こうした事態はいずれ解消されるとし、今年全体の自動車販売台数の前年比3.5‐4.5%増の397万台という従来予見通しは変えない。しかし、同会長は6月以降、販売台数の伸びは鈍化すると予想している。

市民抗議デモは26日もFIFA(国際サッカー連盟)コンフェデレーションズカップ・ブラジル2013のブラジル対ウルグアイの準決勝戦が行われたミナスジェライス州の州都ベロオリゾンテで、5万人規模に達した。デモ隊は試合会場周辺にも押しかけ、警官隊に向けて花火を投げつけたり、投石を行ったため、約5000人の治安警官隊が催涙弾やゴム弾で応戦して激しい衝突となった。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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