突然だが、皆様は「アーティスト写真」についてどうお考えだろうか? どうも考えていない方が大半のような気もするが、これについて私は昔からささやかな疑問があった。

なんとなく似ている写真が多いのである。

もちろん「アーティスト写真」とはプロフィール写真である以上に、アーティストの世界観を表すアートでもある。ゆえに、方向性が近いアーティストの写真も似てくるのは当然なのだが、それにしたって似ているものは多いと思う。

「路上に立ってこっちを睨んでいる」写真なんてかなりの枚数を見た気がするし、「ライブハウスで吼えている」のも人気な気がする。「海岸で逆光を浴びながらメランコリックな顔をしている」写真もマイナーながら定期的に出てくるし、「壁にもたれかかって穏やかな顔でこっちを見ている」写真も、かなり捨てがたいジャンルである。

そういうわけで、今回はそういった「アーティスト写真あるある」を(少々主観も交えながら)ざっくり分類してみたい。

<調査対象>

・ROCK IN JAPAN FESのGRASS STAGEに2006-2018年の期間中に出演したアーティスト213組

・アーティスト写真は最新版のみを対象とし ①公式サイトのプロフィールぺージで使われている写真 ②プロフィールページに写真がない場合はトップページの写真 ③トップぺージにもない場合は新譜の際のジャケットやニュース用写真 という定義で調査した。

ではまず最も初歩的なアーティスト写真あるあるを見てみよう。ずばり、「アーティストは写真を撮るとき、どこを見ているのか?」問題である。

※筆者作成
※筆者作成

調べてみたところ、「こっちを見ている」アーティストが過半数という結果である。基本的にフロントマン(メインボーカル)がカメラ目線のものは、他のメンバーが遠くを見ていても「こっちを見ている」に分類したこともあり、かなりの確率でこっちを見てくれているという結果になった。

一方で、アーティストが写真で「遠くを見ている」ことや、写真ではなく「イラスト」を使用している場合もある。(たとえばindigo la endは目線がはっきりしない写真が比較的多いし、キュウソネコカミはプロフィールにイラストを使用したりしている)

また今回調べたアーティストの中で、どこを見ているのか全くわからなかったアーティストも2組だけ存在する。もはや挙げるまでもないのかもしれないが、ずばり覆面バンド MAN WITH A MISSION と BEAT CRUSADERS の2組だ。ゆえに、この2組は甘んじて「不明」に入れさせていただいている。

アーティストの視線の先を追いかけたところで、次に「こっちを見ている」アーティストが、実際に「どこから」こっちを見ているのかを見てみよう。

※同上
※同上

最も多いのは「光の中から」こっちを見ているアーティストである。真っ白な世界からこっちを見ている写真や、薄暗い中の一筋の光を背景にこっちを見ている写真などは、すべてここに分類している。

また、「光の中から」こっちを見るのと同じぐらい人気だったのが「暗闇の中から」こっちを見ている写真である。(現在のHPの写真は異なるものの)[Alexandros]などは「暗闇の中からこっちを見るアーティスト写真」を比較的好んでいるようで、Twitterのアイコンなどにも採用されている。

また、「暗闇と光の中から」のあわせ技方式を取っているのがTHE BACK HORNだ。これは調べながら「なるほど、その手があったか!」とうならされた写真でもあり、アーティストの雰囲気や世界観を表現したいいアーティスト写真だと感じた。

なお、私が勝手に多いと信じていた「路上に立ってこっちを見ている」写真は、そこまで人気の構図ではないということも明らかになり、かなりのショックを受けた。同様に多いと予想していた「森からこっちを見ている写真」や、「海からこっちを見ている写真」もそこまで多くはなく、今後、森や海が背景のアーティスト写真を見るときは、もっと心して見ていこうという気持ちになった。

意外なところもあったかもしれないが、アーティストの世界観を表すのは何も音楽だけではなく、アーティスト写真も立派なアートワークの一つである。この数字が、今後音楽ファンの皆様がアーティスト写真を味わうときの何かしらの参考になれば幸いだ。