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日韓戦を観てもケンカしない 快進撃続ける日韓デュオが文化の違いを越えた「共通点」

桑畑優香ライター・翻訳家
ボーカル担当のケンタ(右)とラップ&ボーカル担当のサンギュン

K-POP界で快進撃を続ける、日本人ケンタと韓国人サンギュンのデュオ、JBJ95。

まるで幼なじみのような仲の良さで、日韓のファンを魅了する。

だが、実はサンギュンにとってケンタは初めて接した日本人だった。

一方、今回のインタビューをオール韓国語で行ったケンタは、3年半前にソウルに渡った際は、韓国語がまったくわからない状態からのスタートだったという。

(インタビュー前編:2畳部屋とキムチご飯から始まった 単身でK-POP界に挑んだケンタが見つけた「相棒」

「僕らの出会いは運命的だった」と語るふたりが、文化の違いを超えて二人三脚を続けるコツとは――。

(2018年10月にリリースしたデビュー曲「HOME」)

「すみません」が不思議だった

――ケンタさんは韓国語がとても流暢ですが、どのように勉強したんですか?

ケンタ:僕はずっとサンギュンが横にいるので。親しい友達がいるので、わからない言葉があれば、すぐに質問するんです。ネットで検索するよりも早いです(笑)。

サンギュン:今でもよく質問しますね。すごく熱心です。

――逆に、サンギュンさんがケンタさんに教えてもらっていることは。

サンギュン:これから日本での活動が増え、ケンタから学ぶことがたくさんあると思います。日本の文化に初めて接して不思議だったのは、ケンタがよく「すみません」って言うこと。韓国では頼みごとをしたり失敗したりしても「すみません」と言う文化がありません。不思議だと思ったのですが、日本でファンミーティングやライブをやるうちに「ああ、これが日本の文化なんだ」と思うようになりました。「すみません」とお互いを思いやる。僕は日本人とこんなに親しくなったのはケンタが初めてなんです。だからすごく不思議でした。

ケンタ:僕らは文化もお互いが共有しているんです。僕が理解できないことがあれば、「なぜこうなるの?」と聞けば説明してくれるし。逆に「日本ではこうするのが合ってる?」と聞かれれば答えます。

――サッカーの日韓戦とか一緒に見ると、ハラハラしませんか?

サンギュン:JBJ(JBJ95の前に所属していた6人組ボーイズグループ)の時にメンバーと一緒によく日韓戦を見ました(笑)。ちょうど平昌オリンピックもありましたし。

ケンタ:一緒に見るのは面白かったです。同じ部屋でみんなは韓国を応援して、僕だけ日本を応援するというのが、不思議で楽しかったです。そんなことを経験できるのも僕たちの仲だからなんだと。お互いに親しいからこそ、日韓戦を見ながらジョークを言ったりもできる。ポジティブに捉えてます。

サンギュン:あとは、お互いを配慮することですね。どんなに親しくてもお互いを尊重するのは大事ですよね。相手が疲れていれば気遣い、理解しようとする。そういう些細なことが大切だと思います。小さなことが積み重なると大きなストレスになるので。

ケンタ:僕は日本人ですから、韓国人から見たら文化の違いできっと理解できないところもあると思います。それを怒るのではなく、お互いに教え合って、理解して、ありがたく受け止めながら、直すところは直すようにしています。それを避けるとケンカになってしまいますよね。

――ケンカしたことは?

サンギュン:いまのところはないですね(笑)。

サンギュンも日本語を猛勉強中。「お気に入りの言葉は“大好き”。響きがかわいい」
サンギュンも日本語を猛勉強中。「お気に入りの言葉は“大好き”。響きがかわいい」

――最近、日本人でKPOPスターを目指す人が増えています。ケンタさんをロールモデルにする人もいるのでは。

ケンタ:最近は手紙やSNSのダイレクトメッセージをよくもらうようになりました。女性だけでなく、男の子が「僕は高校生です。ケンタさんを見て、韓国で挑戦してみようと思っています」と。そういう手紙を読むたびに、勇気をもらい、一生懸命やろうと感じます。なぜなら僕自身KPOPを見て勇気をもらったから。「もし歌手になったら、誰かが勇気を得られる存在になりたい」というのが目標でした。ひとり一人に返事を書くのは難しいので、読みながら、心の中で「ファイティング!」とメッセージを送っています。

――日本人が韓国で活動する意味は何だと思いますか。

ケンタ:ビジネス的な話ですが、日本は国内市場が十分大きいのに対し、韓国はもっと広い視野で見ていると思います。だからK-POPは自然に世界で公演を行い、ファンとコミュニケーションを取るのだと思います。

日本人の僕が、なぜKPOPに挑戦したいと思ったかというと、そんなグローバルなところに惹かれたというのも1つの理由です。音楽をやるなら、より多くの人たちに自分のステージを見てほしいという思いがあります。今僕も、日本と韓国だけでなく、カナダ、タイ、オーストラリアなどいろいろなところから手紙やメッセージをいただきます。それは、僕にとって本当にうれしいことです。

共通点は「やってみよう」

生まれ育った国も異なり、「性格は真逆」と語るケンタとサンギュンだが、うなずき合った瞬間がある。「PRODUCE 101(Season 2))」での脱落や、7か月という期間限定付きのグループJBJの解散など、数々の壁にぶつかってきたふたり。そんな壁に直面した時についてたずねたときのことだった。

サンギュン:いろんな目標に向かう中で、いつも壁にぶつかることがありました。その状況で僕ができることをすべてやってみるのが、次の段階に進む秘訣だと思っています。道が閉ざされたからと言って、あきらめるのではなく、その時できることを全部やる。歌詞を作る時もそうです。うまくいかないときは、とりあえず書いてみる。そして後で変えればいいんです。どんな状況でも全力を尽くせば壁を壊すことができ、次の段階にいけると考えています。

ケンタ:僕たちは、悩まないでどんどん挑戦していくスタイルなんです。「やってみよう」って。そこはふたりの共通点ですね。

――JBJ95のジャパンオフィシャルファンクラブもオープンし、日本での活動にさらに力をいれていくとのことですが、ファンクラブのメンバー、チャックン(韓国語で「相棒」の意味)と、どんなことをしてみたいですか。

サンギュン:いろいろやってみたいことはあります。ファンミーティングも定期的にやりたいですし、ちょっと変わった場所でチャックンたちと会えたら楽しそうだなとも思っています。

ケンタ:いつもファンの方々が色々なプレゼントをくれるので、逆に僕たちからプレゼントをあげたいなと思います。日本のスタイルですが、ファンクラブのみなさんとピクニックをしたり、夏だったらバーベキューをしたり。ファンクラブだからこそできることをしてみたいですね。お互い近い距離で、一緒に楽しい思い出をたくさん作っていけたらうれしいです。

■JBJ95

2018年10月30日「HOME」でデビュー。2019年6月にJAPAN OFFICIAL FANCLUB「JJAKKUNG」(チャックン)がオープン。「JBJ95 1st ASIA FAN MEETING TOUR IN JAPAN」をNHK大阪城ホール(2019.6.30 )と府中の森芸術劇場 どりーむホール(2019.7.2 )で開催。8月10日NEXTGENERATION LIVE(豊洲PIT)に出演。

ケンタ(KENTA)

誕生日:1995.01.10

身長:173cm

メインボーカル、ダンサー

国籍:日本

特技:振り付け、絵を描くこと、ラテアート

サンギュン(SANGGYUN)

誕生日:1995.05.23

身長:178cm

ラッパー、俳優

国籍:大韓民国

特技:ラップ、言葉遊び

■ファンクラブ情報

JBJ95 JAPAN OFFICIAL FANCLUB「JJAKKUNG」(チャックン)

<オフィシャルサイト>URL:https://jbj95fc.com/

<モバイルサイト>URL:https://jbj95mobilefc.com/

ライター・翻訳家

94年『101回目のプロポーズ』韓国版を見て似て非なる隣国に興味を持ち、韓国へ。延世大学語学堂・ソウル大学政治学科で学ぶ。「ニュースステーション」ディレクターを経てフリーに。ドラマ・映画レビューやインタビューを「現代ビジネス」「AERA」「ユリイカ」「Rolling Stone Japan」などに寄稿。共著『韓国テレビドラマコレクション』(キネマ旬報社)、訳書『韓国映画100選』(クオン)『BTSを読む』(柏書房)『BTSとARMY』(イースト・プレス)『BEYOND THE STORY:10-YEAR RECORD OF BTS』(新潮社)他。yukuwahata@gmail.com

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