【独占取材】元東方神起 JYJユチョン 尾崎豊の「卒業」に心震えた理由

バックステージの取材部屋にユチョンが入ると、パッと雰囲気が華やいだ(撮影:夫完)

「メイクのせいじゃないですか?」

こぼれる笑顔で謙遜する言葉とは裏腹に、凛とした瞳の奥には強い意志が感じられた。

3月6日、神戸・ワールド記念ホールで開催された「2019 PARK YUCHUN TOUR CONCERT ‘SLOW DANCE’ in JAPAN」の二日目。開演1時間前、ユチョンに会って驚いた。一か月半前とは明らかに異なるオーラが感じられたのだ。

そのことを率直に伝えたときに返ってきたのが、冒頭の言葉だった。

7キロ落としたというスリムな体に、ステージ衣裳、ステージ用のメイク。だが、異なって見えるのは、表面的な変化のせいだけではないはずだ。

1月末にソウルで行ったインタビュー(【独占取材】元東方神起 JYJユチョン ファンの前で流した涙、そして再び踊る理由)では、「ありのままの僕をお見せするタイミングが来たんだと思う」と抱負を語っていたユチョン。

ついに初のソロコンサートの舞台に立った彼に、今の想いをたずねた。

「ステージでは100%の姿を見せたい」

――コンサートの直前になると、スターとしてのスイッチがONになり、オーラをまとう瞬間があるのでしょうか。

いや、特に芸能人としてのモードが突然変わるというよりも……ライブやアルバムリリースが決まり、準備がスタートすると同時に、気持ちのあり方が少しずつ変化していくんです。いろいろ準備を進める過程で、まなざしや行動が変わり、おっしゃるようなオーラが自然に出てくるのかもしれません。

――前回お会いした時は、ゴールドに近かった髪の色も、レッドに変わりましたね。

オレンジに赤を混ぜたんです。アルバムのジャケット写真を撮ってから時間が経って色が落ちてしまったので、髪を切り、日本で初のソロコンサートに向けてフレッシュな印象にしようと。

「3月19日からの東京公演では、特別な歌のプレゼントを準備している」という
「3月19日からの東京公演では、特別な歌のプレゼントを準備している」という

ライブの一曲目は、ニューアルバムからのダンス曲「Strong」。

赤いライトに包まれ、6人のダンサーを率いて力強く踊るユチョンの一挙手一投足とともに会場が揺れ、歓声が飛ぶ。

まさに王者の再来を感じさせる瞬間だった。

――日本公演の初日、幕が開いた時の気持ちはいかがでしたか。

最高でした。何年ぶりかな、5、6年ぶりにダンスの曲から始まるライブですごく久しぶりだから、ちゃんと見せたいなって。わくわくしたし、見に来ていただいたことがありがたかった。緊張よりも楽しくやろうと思う気持ちが強かったですね。去年のファンミーティングでファンに話した、アルバムとライブの約束をちゃんと守ることができたから。

――ソロアルバムのリード曲「SLOW DANCE」を日本で初めて披露しました。

実は、踊るときは、まだちゃんとお客さんのほうを見られない感じがあるんです。ちょっと緊張していて。バラードを歌うときは大丈夫なんですけど。

今回の公演は生バンドと一緒にやるのですが、バンドに合わせるのはすごく久しぶりで、踊ったり歌ったりするのが少し慣れていない感じなんです。でも、100%を見せたいと。やっぱり踊るのって、難しいことなので緊張しますね。

――勝負曲でもある「SLOW DANCE」がラテンのリズムというのは、ちょっと意外な選曲でした。

ラテンテイストの曲は僕にとって初めてです。最初に聞いたとき、すぐに気に入りました。今の時代にデビューするアイドルとは差別化する要素があると思ったから。違う姿を見せたいと思ったんです。

――「MAGIC」もダンス曲。前回お会いした時に、曲名はまだ明かせないけど、すごく明るくて大好きな曲があると話していたのが、きっと「MAGIC」ではないかと。

そうです。あの時話した曲が「MAGIC」です。「MAGIC」は、コンサートの魅力を感じることができる曲の一つだと思います。レコーディングの時は気づかなかったのですが、ライブで歌うともしかしたら音をミスしてしまうのではないかと心配になる曲なんです。

「MAGIC」は、リラックスした気分で旅行したいという気持ちを歌ったものです。一昨日、日本に来た時、温泉に行きたいと思ったけど、時間がなくて。本当にリラックスして旅行に行きたい、そんな願いを歌いました。オフの気分になれるように。レコーディングの時も笑顔でしたね。

この曲の中に、僕の心を打つフレーズがあります。歌詞に回転木馬の話が出てくるんです。幼い頃、回転木馬を見ると、ただ乗りたいって思った。ピュアな子どもの心に戻って、やりたいことをやる。つらい世の中だからこそ、そんなMAGICが必要なんじゃないかな、って。

ステージ冒頭からダンス曲を立て続けに披露したあと、ヘッドセットをハンドマイクに持ち替えると、客席を見渡し「ありがとうございます」と何度も言ったユチョン。

舞台を掌握するダンスに圧倒されると同時に、もうひとつ驚いたのは、彼がステージの上でとても多弁であるということだった。

前夜訪れた居酒屋の話で会場を沸かせたり、昔一緒に働いていたスタッフが再び戻ってきて「頑張ろう」と誓った話でしんみりさせたり。さらに客席からの歓声の中に子どもの声が聞こえるのを察すると、小学生に手を振り、「勉強頑張ってね!」と語りかけ、「僕、子ども好きなんですよ」と目を細めたり。

広い会場のあちこちから投げかけられる質問や突っ込みをテンポよく受け止め、応えながら、トークを回しているのだ。もちろんたった一人で、すべて日本語で。

ちなみにインタビューも、ソウルでは韓国語でのやりとりだったが、今回は自然に日本語でのやりとりになっていた。

「ありのままのほうが緊張しない」

――機転の利いたトークはすべてアドリブで?

そう、アドリブです。曲だけだと1時間20分以内だから、ちょっとしゃべったほうがいいんじゃないかなと。一応テーマは決まってるんです。でもそれ以外は、全部その場の雰囲気で。日本語はだいぶ忘れちゃいましたけど。

――ライブに向けて日本語の猛練習を?

いや、別に(笑)。というのは、こういうことがあるんです。ライブの日に向けて、ちゃんと喉のコンディションを整えようとすると、悪くなったり。だから、ありのままでやったほうが緊張しないんです。それに、日本語はアニメをずっと見ているので(笑)

――スタッフのひとりが、神戸公演を前にしたユチョンさんの雰囲気がすごく明るかったと話していました。

そうですね。ライブは日本でやると雰囲気が違うんです。日本でライブをやるとちゃんとできる。準備も、スタッフも、完璧な感じで。あとは、僕だけがちゃんとやれば。

――日本のファンに会うのは、昨年夏以来ですね。

何も言えずに……望まずに、僕のことをずっと想ってくれて。待っているのが一番難しいことじゃないかな、と思っているんだけど、すごく僕のことを待っていてくれて。ただ感謝の気持ちです。

「日本の男性はタフですよね。あまりしゃべらないイメージ」かつて『魔女の条件』や木村拓哉のドラマを見て、日本の男性の話し方を真似してみたという(写真はソウル公演 提供:C-JeS エンターテインメント)
「日本の男性はタフですよね。あまりしゃべらないイメージ」かつて『魔女の条件』や木村拓哉のドラマを見て、日本の男性の話し方を真似してみたという(写真はソウル公演 提供:C-JeS エンターテインメント)

ステージで「みなさん、ファンになってどれぐらいですか?」とたずねると、会場からは「5年!」「10年!」と声が。

小さくうなずくユチョン。

「なんでもわかっているから、壁がないというか、秘密がないから。秘密は少しはあったほうがいいけど、もうない。0から100までわかっている皆さんの目を見ると、すごく恥ずかしいですね」と照れたような笑顔を見せた。

「皆さんの応援は当たり前だと思っていたけれど、今はすごく力になるんです。本当に応援ほしいです。……応援、くれ!」とおどけると、会場はどっと笑いの渦に。

――今回のライブのコンセプトは。

僕ができるすべてを見せたいと思っています。特別なコンセプトがあるというよりも、僕の心を全部見せたいという思いで、コンサートを準備しました。

曲は、ライブが決まった時、最初にリストをもらって、その中から僕が選びました。ちょっとバラードが多いんですね。たぶん、来年も再来年もライブができたら曲が増えていくと思います。

「がんばって、本当にがんばって、がんばっていきたいと思います」と自分に言い聞かせるように語った(写真はソウル公演 提供:C-JeS エンターテインメント)
「がんばって、本当にがんばって、がんばっていきたいと思います」と自分に言い聞かせるように語った(写真はソウル公演 提供:C-JeS エンターテインメント)

「すべてを見せたい」

その言葉通り、ライブでは2010年のドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」の「チャジャッタ」から、「彼女と春を歩く」など自身のソロ曲、そして「歌うたびに好きになる」というファンとの思い出の曲「ひまわりの約束」(秦基博のカバー曲)まで、多彩なレパートリーを披露した。

そんな中でも「今回のアルバムの中で一番歌詞が胸に迫る曲」として挙げたのが、尾崎豊の名曲をカバーした「卒業」た。

「ステージに立つ力をもらった『卒業』」

――アルバムに「卒業」が入っていたのがうれしい驚きでした。

「卒業」は、すごく難しい曲です。聴いたときは気づかなかったのですが、歌ったら死ぬかと思いました(笑)。6分40秒ぐらいあるんです。尾崎豊さんのライブ映像を何度も見たのですが、ラクに歌ってるんですよね。僕には無理です(笑)。歌詞も多くてラップみたい。聴くのと歌うのでは違いますね。

……でも、個人的にすごく共感しました。歌詞に。今回のアルバムの中で一番歌詞が胸に迫る曲です。本当に。僕は、韓国語で歌っていますが、日本語の意味をできるだけそのまま翻訳した歌詞なんです。すごく共感しました。

――どんな点に共感を?

学校に通っていた頃を思い出します。学生時代だからこそ感じる、独特の意地があるじゃないですか。それがすごくよく表現されていて。

卒業してから大学に行ったり、仕事をしたりすることに対する不安な気持ちなど、心を打つ歌詞がちりばめられているんですよね。この曲から、ステージに立つ力をもらいました。

歌いながら癒される曲というのがあります。この曲がまさにそうです。「大丈夫だよ」って。そう言われているような気持になるんです。

ライブで「卒業」を力いっぱい歌った後、ユチョンはこう語った。

「実は僕、一回も卒業式に出たことがないんです。でも、今人生の前半を卒業した感じがします。人生は卒業してから始まりますよね。30代だけど、卒業したばかり。これからが僕の人生です。その道をみなさんと一緒に歩いていきたいと思います」

前回のインタビューで「見るのが怖い」と語っていた映画「ボヘミアン・ラプソディ」。「感情移入してしまいそうで、まだ見られない」と明かしつつ、「公演がすべて終わったら見てみたいですね」と笑顔になった
前回のインタビューで「見るのが怖い」と語っていた映画「ボヘミアン・ラプソディ」。「感情移入してしまいそうで、まだ見られない」と明かしつつ、「公演がすべて終わったら見てみたいですね」と笑顔になった
(撮影:夫完)
(撮影:夫完)

■パク・ユチョン

1986年6月4日生まれ。180cm、O型。2003年歌手デビュー。09年からJYJとして活動。「トキメキ☆成均館スキャンダル」(2010)、「会いたい」(2012)、「匂いを見る少女」(2015)など多数のドラマに主演。映画「海にかかる霧」(2014)では、青龍映画賞など9つの映画賞で新人賞を獲得した。

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