国内外で新型コロナワクチン接種をしていなかった医療従事者を含むクラスターの発生が報告されています。

医療従事者であってもワクチンを接種しない権利は守られるべきか、医療従事者は原則としてワクチンを接種すべきか、悩ましい問題です。

ワクチン接種をしない医療従事者を含むクラスターの事例

医療従事者のワクチン接種が進み、病院内でのクラスター発生は減少していることが厚生労働省の調査から明らかになりました。

これはワクチン接種を受けた医療従事者からの感染伝播のリスクが減ることによって、医療従事者だけでなく患者さんが感染するリスクも低くなったことが要因と考えられます。

海外でも、高齢者施設や病院でのクラスター発生リスクはワクチン接種により低下することが示されていますが、一方でワクチン接種を受けていない施設職員が感染源となりクラスターが発生した事例も報告されています。

国内でも先日、ワクチン接種を希望していなかった看護師のうち12人を含む51人が感染し、入院患者17人が亡くなるという痛ましい事例が報告されました。

病院には、例えば手術を受けるために入院している方、外来で化学療法を受けている方、など様々な患者さんがいます。

その中にはまだワクチン接種を受けていない人や、持病や薬剤のために免疫力が低下していて十分なワクチン効果が得られない方もいます。

医療従事者がワクチン接種を希望しないことで新型コロナに感染した場合、自身は軽症であったとしても、患者さんにうつしてしまい、その結果患者さんの命に関わることがあります。

医療従事者が原則として新型コロナワクチンを接種するべき理由

新型コロナワクチンを接種するのかどうかは、個人の判断によるものである、ということはもちろんそのとおりであり、個人の「接種しない権利」は守られるべきではあります。

しかし医療従事者の場合は、ワクチン接種をしないことが直接患者さんへの被害につながることがあり、一般の方とは少し分けて考えるべきなのではないかと思います。

つまり、医療従事者は患者さんのケアに関わるという特権を持っており、そうした特権を持つからには「可能な限り患者さんの安全を守る努力をする」ことが求められるのではないか、というのが私個人の意見です(もちろんアレルギーなど医学的な理由でワクチンを接種できない医療従事者は責められるべきではありません)。

もともと、医療従事者は自分が感染源にならないように「原則として接種すべき」とされるワクチンがあります。

麻しん、風しん、おたふく、水ぼうそう、そしてインフルエンザのワクチンなどがこれに当たります。

日本環境感染学会「医療関係者のためのワクチンガイドライン」では、麻しん、風しん、おたふく、水ぼうそうの4つについては2回のワクチン接種または検査で抗体があることを確認することが推奨されていますし、インフルエンザワクチンは「全医療関係者を対象として毎年1回接種する」ことが推奨されています。

新型コロナがインフルエンザよりも重症化するリスクが高い疾患であること、そして新型コロナワクチンがインフルエンザワクチンよりも予防効果が高いことを考えれば「医療従事者が新型コロナワクチンを原則として接種すべきである」という主張は全く的外れなものとは言えないのではないでしょうか。

海外ではすでに職員の新型コロナワクチン接種を義務付けている病院があります。

こうした病院の方針に強く反発する人たちがいることも理解できますが、病院側としては患者さんと職員を守らなければならないという使命があります。

私の意見としては「医療従事者は患者さんの健康を害してまで自分の主張を貫くべきではない」というものです(繰り返しますがアレルギーなど医学的な理由でワクチンを接種できない医療従事者は別です)。

私の意見が正しいと主張しているわけではなく、いろんなご意見があると思いますが、前述の事例の発生を受けて国内でもこうした議論を進めるべき段階に来ているように思います。

皆さんはどのように思われますでしょうか?

※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。