気温や湿度と新型コロナの関係

(写真:アフロ)

関東でも6月11日に梅雨入りし、ジメジメした日々が始まります。

そして梅雨が明けると夏が待っています。

新型コロナは梅雨や夏にはどうなるのでしょうか?

湿度や気温と新型コロナの関係について、今あるエビデンスを整理しました。

温度や湿度が低い地域ほど新型コロナの症例が多い?

冬に流行するインフルエンザのように、新型コロナも寒い環境の方が流行しやすいのではないか、と誰しも思うのではないでしょうか。

しかし、その一方でかぜの原因ウイルスであるヒトコロナウイルスは冬に多いものの年中流行しています。

果たして気温は新型コロナの流行に影響を与えるのでしょうか。

国内の新型コロナと気温との関係を見た研究があります(Int J Infect Dis . 2020 Apr 30;95:301-303.)。

私の同僚の氏家無限医師(@carpe_diem0820)らの報告になります。

彼は北海道では新型コロナの感染者が多く、南側の温かい県では比較的少ないことに着目し、気温と新型コロナとの関係について検討しました。

2020年1月から2月にかけて中国からの渡航者から初期の流行が広がったことより、2020年2月の各都道府県の平均気温と2020年1月の中国からの旅行者の数について検証したところ、気温が低い地域ほど感染者数が多いという関連がみられました。

ということは、寒い冬の方が新型コロナは流行し、夏には流行は落ち着くのでしょうか?

ブラジルでも同様に、国内での気温差に着目した研究があります。

ブラジル国内での気温差と新型コロナ患者数との関係を検討した研究では、25.8℃までは気温が下がるほど症例数が多くなるという結論になっています。

ブラジルにおける気温と新型コロナ患者数との関係(Sci Total Environ . 2020 Aug 10;729:138862. )
ブラジルにおける気温と新型コロナ患者数との関係(Sci Total Environ . 2020 Aug 10;729:138862. )

またこちらは査読前論文ですが中国の100都市での感染者数と気温・湿度との関係を検討した研究でも、同様に高温・高湿の環境では新型コロナの伝播が減少するという結論が導かれています。

中国100都市の気温・湿度と感染者数との関係(arXiv:2003.05003)
中国100都市の気温・湿度と感染者数との関係(arXiv:2003.05003)

さて、国別のデータでは「気温が低い地域ほど症例数が多い傾向にある」と言えそうです。

各国を比較したデータではどうでしょうか。

こちらも査読前論文であるため解釈に注意は必要ですが、世界各国の都市の流行と、気温・湿度を検討した研究があります。

世界50都市の気温・湿度と新型コロナ症例数との関係(SSRN: https://ssrn.com/abstract=3550308)
世界50都市の気温・湿度と新型コロナ症例数との関係(SSRN: https://ssrn.com/abstract=3550308)

この研究でも平均気温5~11℃で湿度の低い地域で新型コロナの伝播が多く見られているという結果でした。

やはり温度・湿度が高い地域では、低い地域よりも新型コロナは伝播しにくいようです。

梅雨や夏に新型コロナは減るのか?

ではこれらのデータから、梅雨や夏に新型コロナは減少すると言えるのでしょうか?

残念ながらそうとは言えないようです。

かぜの原因微生物であるヒトコロナウイルスの伝播様式を元に、気候が新型コロナウイルス感染症のパンデミックに及ぼす影響について検討した研究では、感染伝播が気候により影響を受ける可能性はあるものの、梅雨や夏の気候によって流行が終息することはないだろうという結論になっています。

また気温、湿度、標高などの環境要因と集会禁止、学校閉鎖や社会的距離拡大戦略(Social distancing)といった公衆衛生的介入とを含めて新型コロナの流行抑制への貢献度を検討した研究では、気温は流行抑制への影響はなく、湿度がわずかに感染抑制と関連がみられたのみであり、公衆衛生的介入の方が影響が大きかったという結論でした。

つまり、気温や湿度は新型コロナの伝播に影響する可能性はあるものの、すでにパンデミックとなってしまっている現状では梅雨や夏になったからといってそれだけで流行が終息することは期待できず、社会的距離を保つなど新型コロナを常に意識した新しい生活様式を意識した暮らしを続けていくことの方が感染を広げないためには重要ということです。

新型コロナは高温・高湿に弱いからといって油断せずに、引き続き感染予防をしっかりと行っていきましょう。

手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作成)
手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作成)