Yahoo!ニュース

Apple Watchのデジタルクラウンカメラ特許はかなり広範囲

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:US11347189公報

「次期”Apple Watch”はカメラ付きに?Appleが特許を取得」というニュースがありました。当該特許の特許番号はUS11,347,189、発明の名称は” Watch having a camera”と「そのまんま」、登録日は2022年5月31日、実効出願日は2018年9月18日です。

カメラ部品の小型化により、スマートウォッチにカメラを付けることが現実的になるとどこに付けるかがポイントになってきます。選択肢としては、ベルト、筐体側面、筐体前面は当然に思いつきます。2013年に発表されたサムスンのGALAXY Gearではベルトにカメラが備えられていました。また、2019年にアップルは今回の特許とは別にカメラ内蔵型のウォッチバンドの特許を取得しています(別記事で解説します)。デジタルクラウン(竜頭)にカメラを備えるというのは、言われてみれば当たり前ですが、その手があったか感が強いです。

実際の製品で、デジタルクラウンにカメラを備えるとなると、撮影時は正拳突きのように腕を付き出すことになるのでしょうか?ちょっとかっこいい気もします(さらに、音声コマンドでシャッターを切るとさらにかっこいいと思います)。撮影していることが明確になるので周囲の人の隠し撮りに対する不安が軽減される効果もあるかもしれません。

写真:イメージマート

デザイン的にも筐体に直接レンズを設けるよりも、デジタルクラウン先端部に付けた方がすっきりしますし、光学系の距離も稼ぎやすいでしょう。また、ズームや絞り等をデジタルクラウンで調整できると、通常のカメラのように自然に操作できるというメリットもあるかもしれません。

さて、この特許ですが、権利範囲としてはかなり広いので、回避は難しいのではないかと思います。Android系のスマートウォッチで竜頭にカメラを仕込むのはもう無理かもしれません。加えて、この特許では他にも独立項が2つあり、クラウンにカメラを備える以外のアイデアも特許化されており、スマートウォッチのカメラの設置場所として思いつくものは網羅されてしまった感があります(もちろん、改良発明を特許化できる余地はありますが)。

この記事は有料です。
栗原潔のIT特許分析レポートのバックナンバーをお申し込みください。

栗原潔のIT特許分析レポートのバックナンバー 2022年6月

税込880(記事1本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

栗原潔の最近の記事