「シャープ、特許侵害でテスラ日本法人を提訴=関係筋」というニュースがありました。「シャープは米電気自動車大手テスラの日本法人を特許侵害で提訴した。一部のEVの輸入差し止めを求めている。訴訟は東京で起こした。シャープは一部のテスラのEVに搭載されているモバイル通信機器がシャープの保有する特許を侵害していると主張しているという。」ことですが、他にほとんど情報がありません(両者ともコメントを拒否しているようです)。

他の記事も参考にすると、「(シャープは)他の事業者とはこの特許権についてライセンス契約を結んでおり、テスラにも3年以上前から契約を申し出てきたが応じなかった」ということだそうなので、不意打ちではない真っ当な特許訴訟とは言えるでしょう。

しかし、ネットで他記事を検索しても現時点では特許番号等の詳しい情報がまったくわかりません。米国であれば、PACER(Public Access to Court Electronic Records)という公共データベースで訴訟関連情報を検索でき、特許番号もすぐわかるのですが、日本では、当事者に聞くか、裁判傍聴するか、裁判資料を閲覧しない限りわかりません。上記記事から「2009年に出願」「車載のインターネット接続用の通信機能が特許権侵害に当たる」ということなので、それをヒントに調べてみました。

当然ながらシャープの特許件数は膨大なので網羅的に調べるのは困難ですが、2009年出願で車載機器に特化したインターネット接続用の通信機能という条件ではそれらしい特許は見つかりません。ひょっとすると、より一般的なコンテンツ配信のレスポンス最適化を目的とした、4904564号4878642号あたりかもしれません。

いずれも、発明の名称は「コンテンツ配信システム、コンテンツ配信装置、コンテンツ再生端末およびコンテンツ配信方法」、出願日は2009年12月15日です。基本的なアイデアは、動画コンテンツを選択するメニューを表示中にコンテンツ選択より前に動画をキャッシュしておくことで、再生開始の待ち時間を減らすというものです。現在では、割と普通に実施されていそうな気がします(冒頭記事における「他の事業者とライセンス契約を結んでいる」との記載とも合致します)。テスラのカーナビには「Teslaシアター」という動画サービスも提供されているので、そこで抵触している可能性はあります。もし、そうだとすると、侵害回避は比較的容易と思われます。

いずれにせよ、形式的には差止め訴訟ですが、シャープがテスラの国内販売を止めたい、あるいは、巨額の賠償金を得たいと思っているわけではなく、ライセンス交渉を有利に運ぶための揺さぶりとしての訴訟と見た方がよいでしょう。シャープももはや台湾企業なので、最近のVizioやOppoに対する特許権侵害訴訟提起からもわかるように、アメリカ的なアグレッシブな知財戦略を取り出したのはうなずけます。

上記の推測は全然はずしているかもしれません。追加情報がありましたら追記します。

追記(20/03/23):シャープからプレスリリースが出ていました。LTE関連特許のようです。予想とは全然違いました(笑)。ひょっとすると対OPPOで使用したのと同じ特許かもしれません。追加情報がありましたら再追記します。