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「4分33秒」の著作権権利処理について

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:JASRAC作品情報データベース(J-WID)

米国の実験音楽家ジョンケージの代表作品に「4分33秒」があります。4分33秒間にわたり楽器の前で何もしないで過ごすという「作品」です。ライバッハ、ニュー・オーダー、デペッシュ・モード、キャバレー・ヴォルテール等のアーティストによるこの作品のカバー映像作品のボックスセットを、イギリスのインディレーベルMUTEが発売するというニュースがありました。

なお、これに関して、虚構であるはずの過去記事が現実化してしまった「誤報」として虚構新聞がお詫び記事を出しています。

さて、この作品の著作権権利処理がどうなっているのか調べてみました。何と、JASRACに通常どおり登録されています(タイトル画像参照)。映像化の権利もJASRACに信託されていますので、日本におけるこのDVDの売上げに応じて所定の著作権使用料がJASRAC→GEMA(ドイツの著作権管理団体)を経て作詞家・作曲家たるジョンケージの遺族に支払われることになります。(追記:すみません、当該ボックスセットは輸入盤になると思われますので、正確には「イギリスの著作権管理団体→GEMAを経て」ということになります。国内盤CD/DVDでこの楽曲が使われた場合には、JASRAC→GEMA経由になります。)(追記^2:ツイッターでコメントいただきましたが、日本のオーケストラでこの楽曲を演奏した時はJASRACにちゃんと使用料を支払ったそうです。)

ちなみに、4分33秒がカラオケで歌えるという話があったような気がして調べてみましたが、こちらはネタだったようです(まあカラオケにあってもいいとは思いますが)。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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