加護亜依商標登録問題がどうなったのか気になったので調べてみた

能年玲奈さんが芸名を「のん」に変更して芸能活動を続けるということが話題になっています。この話が出た時は、「能年玲奈」が商標登録されているのでは、契約でこの名前の使用を禁じられているのでは等の推測が行なわれましたが、どうやら単に以前の事務所を刺激しないようにという自主的判断だったらしいです。そして、元の事務所はどういう名前を使うかには関係なしに法的措置に出るという流れのようです(追記:その後の週刊文春等の報道によれば旧事務所から能年玲奈の名前を使わないよう警告があったようです(いずれにせよ商標登録とは関係ない話です))。要は、もう商標権や知財は関係ない世界の話なので、この件は芸能関係の専門家におまかせしたいと思います。

この件に関して、加護亜依さんの事務所移転に関するごたごたを思い出した方は多いと思います。こちらは元の事務所が「加護亜依」を商標登録しており知財に関係ありますので一応私のテリトリーです。実際、この件については、2013年に自社ブログに「加護亜依問題は第二の加勢大周問題なのか?」という記事を書いています。(さらに加勢大周問題について気になる方のために、こちらもちゃんと書いています(結論から言うと商標権は直接関係ない事件でした))。

加護亜依さんの商標登録が行なわれたのは確かなので、それがその後どうなったのか調べてみました。

まず、登録(第5287159号)は、41類で「演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,歌唱の上演,ダンスの演出又は上演,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作,海外における教育実習・実務研修・語学研修・留学に関する情報の提供,インターナショナルスクール及びインターナショナルプリスクールにおける教育に関する情報の提供,英語教育に関する情報の提供(後略)」といった広範囲の役務が指定されています。これに対して、新事務所の株式会社威風飄々が、「演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,歌唱の上演,ダンスの演出又は上演,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作」(要は芸能活動に直接関係ある役務)に対して、2014年5月に不使用取消審判を請求しています。

不使用取消審判とは3年以上国内で商標を使用していない場合に商標権を取り消すことができる制度です。一部の指定商品・指定役務に対しても請求できます。商標権者側は、商標を使用した証拠を提出すれば取消を免れます(取消を請求した方は特に何も立証する必要はありません(そもそも使ってないことを立証するのは困難です))。商標登録出願の際に実際に使用する可能性がきわめて低い商品・役務もついでに指定することはよくありますが、第三者から不使用取消審判を請求されるリスクがある点には注意が必要です(使ってない商品・役務が取消になるだけなので実害はそんなにないのですが、応答するためには代理人費用がかかりますし、場合によっては審判費用を請求されることもあります)。

そして、2014年5月から3年前は加護亜衣さんが芸能活動を行なっていなかった時期にあたりますので、旧事務所側は使用を立証できず、取消になりました(審決文)。さらに、旧事務所側は、審決取消訴訟も提起しているのですが、別に新証拠があるわけでもなく、2015年7月に敗訴となっています(判決文)。

仮に取消にならなくても、加護亜依は本名なので商標権の効力は及ばない、また、そもそも歌手や俳優活動における名前の使用は商標的使用ではないのではないかとも思えますが、いずれにせよ、商標権問題については一応クリアーということになりました。他にも事務所との契約の問題があると思いますが、これは外部からでは何とも言えません。