就業希望の若年無業者が求職活動をしない理由

令和元年版子供・若者白書(筆者撮影)

令和元年版子供・若者白書』が手元に届いた。今年度の特集は、「日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~」と、「長期化するひきこもりの実態」が取り上げられた。

中高年ひきこもり、8050問題という言葉を今年度に入って多く耳にするようになったのではないかと思うが、これまで若年層の問題と捉えられ国としての調査データがなかったところ、内閣府が白書を通じてデータを提示したのは評価したい。

いま、政府は就職氷河期世代支援プランを策定しており、来年度から3年間集中的に政策実施する予定だ。そこには非正規雇用や不安定就労の状態にあるひとたちや、ひきこもり状態にあるひとたちを想定されているが、どのような政策になるのか、その中身はまだ見えていない。

子供・若者白書が出るたび、筆者は「就業希望の若年無業者が求職活動をしない理由」の項目を眺めている。

若年無業者数推移(男女計) 出典:令和元年版子供・若者白書
若年無業者数推移(男女計) 出典:令和元年版子供・若者白書
若年無業者数 15~19歳人口に占める若年無業者の割合  出典:令和元年版子供・若者白書
若年無業者数 15~19歳人口に占める若年無業者の割合 出典:令和元年版子供・若者白書

15~39歳の若年無業者数は、平成30年で71万人であり、15~39歳人口に占める割合は2.1%であった。

出典:令和元年版子供・若者白書

若年無業者数は少しずつ減少しているものの、該当年代に占める割合は横ばいまたは小さな増減を繰り返している。有効求人倍率が低い頃は、雇用の受け皿が広がれば、若年無業者の数および割合は減るのではないかと言われていたこともあった。

しかし、有効求人倍率が上昇したとしても、その割合そのものに変化が見られない。つまり、無業の若者がその状態から抜けづらい要因は、求人数とは別のところ、または、既存の政策的支援が機能していない可能性を見ることができる。

就業希望の若年無業者が求職活動をしない理由 出典:令和元年版子供・若者白書
就業希望の若年無業者が求職活動をしない理由 出典:令和元年版子供・若者白書

白書で活用されるデータは、政府の取り組みに大きな影響を与え得るが、無業の若者の就労支援を行う団体の代表としては、上記の調査データを見るにつけ、理由として挙げる項目を変更すべきではないかと考えている。

上記データでは、就業を希望するが求職活動をしていない若年無業者のものである。若年無業者は3つに類型化されており、以下のようにわけられている。

・求職型:無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、就業希望を表明し、求職活動をしている個人

・非求職型:無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、就業希望を表明しながら、求職活動はしていない個人

・非希望型:無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、就業希望を表明していない個人

調査対象となっているのは若年無業者の「非求職型」であり、就職活動をしている「求職型」でも、そもそも就業を表明していない「非希望型」でもないことに留意したい。

一般的に、選択式の調査では「選択肢」から当てはまるものを選ぶが、その結果として最も多いのが「病気・けがのため」と、治療や療養を優先すべき若者である。注目すべきは、二番目に大きな山となっている回答が「その他」ということだ。

15歳~19歳で、「学校以外で進学や資格取得などの勉強をしている」を除けば、なぜ就業希望の若年無業者が求職活動をしないのか、まったく理由がわからないということになる。

希望する仕事と出会えない部分は、キャリアカウンセリングや適性検査などを通じて、知識・能力への自信は職業訓練などでカバーし得る部分がある。出産や育児、介護や看護は、働くことを希望しながらも、それがネックとなって仕事を探すに至らない若者が存在することを示している。働くことを希望するひとたちが働けるようにしていくには、置かれている家庭状況を制度や政策がまだ不十分ということだろう。

就業希望(働きたいと考えている)の若年無業者が求職活動(就職先を探す)していないと聞けば、「なんだかんだ、口だけで仕事を探すことすらしていないではないか」と考えるひともいるだろうが、病気や怪我が圧倒的に多く、出産育児や介護看護のために働けないためと知れば一定の理解、および、自己責任とはまったく言えないという認識を持つのではないか。

しかし、それ以外の大多数はどうかとなったとき、その理由が「その他」に広く含意されてしまい、詳細が見えないというのは、制度や政策を作るにせよ、広く社会の理解を獲得するにせよ、現状の情報では不十分なことは明らかであり、ぜひ、若年層に限らず、就業を希望しながらも求職活動をしない、できない詳細な理由を国は率先して調査すべきである。