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パパ、スーパー戦隊は仕事なの?「スーパー戦隊と人材採用」

工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長
スーパー戦隊と人材採用(写真:アフロ)

侵略者から地球を守るミッションを背負って戦うスーパー戦隊も、度重なる死闘のなかで命にかかわる怪我を負ったり、精神的にボロボロになってしまったりするリスクがあります。

手持ちのリソースが限られている以上、戦闘および日常業務でローテーションを組んだり、十分なバックアップ体制を構築することは容易なことではありません(宇宙戦隊キュウレンジャーは9人の大所帯からスタート!!)。

数の力で押してくる敵に対して、ひとり、またひとりと戦えない隊員が出れば、地球の平和が大きく脅かされます。また、「スーパー戦隊と資金調達」では隊員を戦闘から削ってでもやらなければならないことがあるという示唆もありました。

そうなってしまった場合、現有戦力で応戦しつつ、ともにミッションを背負って戦う新規隊員を探さなければなりません。まさに人材採用をいかに行うのかが課題となります。

今回は、非営利組織の人材採用に知見の深い株式会社インテリジェンス転職メディア事業部マーケティング担当の竹内麻衣氏(以下、竹内さん)に、「スーパー戦隊と人材採用」についてお話を伺います。

NPO界隈に友人も知人もいなかった

工藤:本日はよろしくお願いいたします。竹内さんは、昨年度、NPOなどソーシャルビジネスを手掛ける組織と、サブタイトルにある「『社会を変える』を仕事にする」に関心のあるビジネスパーソンをつなげる「DODAソーシャルキャリアフォーラム」を東京大阪で開催されました。

そのご経験から、非営利組織という形態が望ましいとされるスーパー戦隊が人材採用に取り組むにあたっての注意点や示唆をいただきたく伺いました。

竹内さん:よろしくお願いします。

工藤:まず、そもそもなぜインテリジェンス社としてソーシャルセクターと人材をつなげる事業に取り組むことになったのか。その経緯を教えていただけますか。

竹内さん:もともと私自身はソーシャルセクターについての知見はありませんでしたし、非営利組織で働いている友人もいませんでした。きっかけは、営業担当時代の上司がTeach For Japanの創業者である松田悠介さんと知り合い、彼の書籍『グーグル、ディズニーよりも働きたい「教室」』(松田 悠介, ダイヤモンド社)に感銘し、インテリジェンスとして支援してくべきだと考えたことです。

工藤:いまやソーシャルセクターに多くのつながりを持つ竹内さんが、そこにかかわる友人がいなかったというのは驚きです。

竹内さん:当社としても初めてのことであり、偶然営業からマーケティングに異動した私に声がかかりました。求人を出したり、イベントを企画するなかで、「これは面白いぞ」とのめり込んで、インテリジェンスとしての支援のみならず、私自身プロボノとしても関わるようになりました。また、その過程で他のソーシャルセクターの方々と話をするなかで、どこも採用に困っていることもわかりました。

工藤:偶然の接点だったんですね。実際、竹内さんの周囲と比較してNPOなどで働いているひととの違いを感じることはありますか。

竹内さん:いわゆる大企業や有名企業に就職した友人も多いのですが、つらそうに仕事をしていたり、実際につらいという話も聞きます。私は楽しく仕事をさせていただいているのですが、「仕事が楽しいってどういうこと?」と真顔で聞かれたこともあります。

一方、私が出会ったNPOで働いているひとたちは、「社会課題を解決していくんだ」という熱い気持ちで楽しそうに働いているが多い印象を受けました。

工藤:転職活動をされている方々のなかには、楽しく仕事をしたいという希望が強いのでしょうか。

竹内さん:人材紹介の法人営業を6年担当して、たくさんの転職希望者にお会いしました。その大半は、年収を上げたい、残業を減らしたい、人間関係がつらいといった理由で新たな職場を探されていました。

もちろん、誰でも大なり小なり転職活動の理由にネガティブなところはあるでしょうが、目標を実現するための転職がもっと増えていくと良いなと思いました。実際、私が出会ったNPOのひとたちは、この目標を達成するため、この社会課題を解決するために働いているんだという、目的意識や志が明確なひとが多かったんです。

非営利組織の仕事はイメージしづらい

工藤:そもそもなんですが、竹内さんはスーパー戦隊シリーズを見たことがありますか?

竹内さん:はい、弟がいまして一緒に見ていました。

工藤:それは安心しました。このシリーズの流れのなかで、スーパー戦隊を仕事にするにあたり、非営利組織という形がよいだろうという議論があります。一般的な非営利組織と同じく、限定的なリソースのなかで人材を採用するとしたら「即戦力」という言葉がキーワードで出てくるのではないかと考えています。

竹内さん:そうですね。近年、転職市場では、人材不足に伴う採用ニーズの高まりを受け、未経験採用も広がってはいますが、依然として「即戦力」を求めるニーズは根強くあります。

工藤:非営利組織も即戦力が欲しい。

竹内さん:みなさんそうおっしゃいますね。ただ、仕事内容や応募要件を聞いていると、一般企業と非営利組織とでずいぶん違いがあるなと感じています。

工藤:どんな違いですか。

竹内さん:一般的には、経理であれば経理経験、マーケティングであればマーケティング経験を持つひとなど、経験やスキルを求めます。非営利組織で特徴的なのは仕事内容が幅広くて、「このビジョン・ミッションに共感するひと」と、人物像が先行する傾向があります。

工藤:経験やスキルといった観点がないということでしょうか。

竹内さん:いえ、そんなことはありません。ただ、漠然としていて転職希望者が見たときに仕事がイメージしづらいんです。例えば、「ミッションに強く共感していて、事務局ができるひとで、総務と経理と人事もやれて、ファンドレイジングの一環として助成金申請ができるようなひと」とかです。

工藤:欲しいです、そういうひと(笑)

竹内さん:そうですよね(笑)ただ、仮にそういうひとがいたとしても、求人情報を読んで「私の経験が活かせるな」と思うところまでいかないんです。

工藤:なんでもかんでも書き過ぎでしょうか。

竹内さん:そういう部分はあります。ベンチャー企業なら人事も総務も全て担当する求人はありますが、一定規模となればバックオフィス部門も人事、総務、経理の求人と分かれています。一方、NPOはベンチャーと同じかそれ以上にあれもこれもやる、時期によって仕事内容が変わるということが多い。

また、ファンドレイジングや助成金申請など、NPO独特の仕事も多数存在したり、IT環境も未整備なところが多い。そのため、NPOが具体的にどういう機能を担える人材を探しているのかわかりづらくなりがちなんです。

工藤:なるほど。

竹内さん:ただ、たまに「事務局」とザクッと書いている求人もあったりします(笑)

工藤:「事務局」という表現が漠然とし過ぎますね。非営利組織における事務局というのは非常に重要な機能なのですが、事務局を担う人材を募集すると事務をやりたいひとが応募してくる。「事務局」と「事務」は全然違うという議論も昔はよくありました。ただ、お話を伺って当然のことだなと感じます。そもそも「事務局」という言葉自体は民間企業で使われませんね。

竹内さん:そうです。ポジションとしての「ファンドレイザー」も理解しづらいですし、助成金申請ができる人材とあっても、そもそも助成金ってなんだろうとなってしまいます。非営利組織における事務局業務は非常に難易度が高く、やりがいのある仕事だと思うのですが、そこで期待される機能の記載がない。

大前提として、転職市場で活動されているビジネスパーソンは、非営利組織の事業運営手法や日常業務で使われる言葉になじみがないという前提を理解する必要があります。

工藤:スーパー戦隊から人材採用についての相談があったとしたら、同じ壁にぶつかりそうですね。

竹内さん:即戦力として、どんな人材が必要でしょうか。

工藤:人類を救うため妖怪なり怪獣なり、未知の敵と命を懸けて戦わなければなりません。

竹内さん:肉体的、精神的な強さが必須ですね。

工藤:あとは武器を使いますし、巨大ロボの操縦も必要になります。

竹内さん:過酷ですね…。他にありますか?

工藤:戦闘以外では、スーパー戦隊の活動を理解していただくための啓発イベントがありますので、そこで子どもたちやご家族とのコミュニケーションが必要です。「僕と握手!」といったら、子どもたちが「握手したい!」と目をキラキラさせるくらいの魅力がなければなりません。

竹内さん:他には?

工藤:このシリーズを通じて学んだところですと、リソース獲得のためのマーケティングや営業経験、政治や行政を動かす交渉力、多様なステークスホルダーとの利害調整も必要なのでコミュニケーションスキルは外せません。

竹内さん:世の中にどれくらいいますかね?

工藤:いないですかね…。

竹内さん:採用の難易度で言うと、NPOは一般企業の求人と比較して年収が下がりますので、好条件を提示することが簡単にはできません。経験やスキルを求めると、年収は比例して上がっていくのが一般的ではあるので、一般企業と待遇面の差が大きくなる可能性が高い。当然年齢も高くなる傾向にあります。ここでもズレが生まれます。

工藤:収入面だけでなく、年齢も合致していないんですね。

竹内さん:ですから20代を求めるのであれば実務経験の部分は育てることにするといった条件変更が必要です。

工藤:最近ですとハイスペックな女性がNPOに参画することを描いた『N女の研究』(中村安希、フィルムアート社 )という書籍がありました。どこからでも声のかかる優秀な女性がなぜ、待遇面が恵まれないにもかかわらず、率先してNPOに身を投じるのかという疑問に答える書籍でした。

竹内さん:おそらく、そういう方はご自身の意志で団体を探したり、偶然の出会いがきっかけになったりされているのではないでしょうか。

どうすれば採用がうまくいくのか

工藤:では、実際にスーパー戦隊が人材採用に乗り出すにあたり、気を付けなければならないポイントを教えていただけますか。

竹内さん:過去複数のNPO求人をホームページなどで拝見してきましたが、例えば求人タイトルと業務内容がズレているように見えることがありました。「管理部門のマネジャー」を募集しているのに、応募条件のなかにマネジメント要素が書かれていない。

一名以上の部下をマネジメントするのか、部門・人員の管理とは違った意味でマネジャーという言葉を使っているのか、また具体的な仕事内容は何で、だから何のスキルが必要なのか、ということがよくわからないものでした。

工藤:求人のタイトルと業務が紐づかないんですね。

竹内さん:そうですね。ほかに、仕事内容が「団体を安定的に運営する」など、抽象度の高い記載になっていることもあります。それ自体はよいのですが、そのために管理部門は具体的にどのような業務を担っているのかを書かないといけません。

人事制度を整えるのか、経理フローを構築するのか。そもそもその募集の背景に、どんな課題や目標があるのか。広報やマーケティング業務が管理部門に置かれていることもあるのですが、求人をみて何を担うのかが非常にわかりづらいんです。

工藤:耳が痛いです。そうなると求人に対する応募も来なくなってしまいますね…。

竹内さん:これは双方にとってもったいないことだと思います。

工藤:どうしたらいいでしょうか。

竹内さん:実際に期待する業務内容をすべてこなせる人材を求めるのか、例えば、経理経験は必須で、総務経験は優先度高め、それ以外は未経験でも大丈夫といった具合に求めるスキルや経験をしっかり整理することです。どこまではプロフェッショナルなレベルを求めて、どこからは入社後にフォローします、未経験でも構いませんというのが明確に伝わるといいですね。

工藤:スーパー戦隊でも、隊員によって役割があります。すべての戦隊が同じではありませんが、レッドはリーダー、ブルーは冷静など、過去の戦隊によって変わりますが、色によって得手不得手がわかれていたりします。

竹内さん:即戦力としてイエロー人材がほしいのであれば、そのスキルや期待する役割はイエローに限りなく近づけてください。レッド的なリーダーシップも期待し、ブルー的な冷静沈着な性格も期待してしまうと、結局、「そんなひとはいない」となります。

工藤:職務と業務を紐づけ、かつ、どのような経験は必要で、それ以外は未経験でいいのかをしっかり伝わるように記載することが理解できました。

竹内さん:それ以外にスーパー戦隊が即戦力を獲得していくには、求人票の最後の方にある待遇面で希望者が躊躇しない、心の琴線に触れるようなことは書くべきです。

工藤:地球の平和を守るとか、愛するひとを悲しませないといったビジョンやミッションに近いものでしょうか。

竹内さん:総じていうと「ビジョンやミッションがどう魅力的か」ですね。「本当の意味で命を懸ける仕事です」という記載に対して、心が動くひともいるでしょう。前述のイベントアンケートでも、「本当に人生を懸けられる仕事が見つかった」といった回答もありました。

スーパー戦隊が向かっているのは、社会システムを作るとか、新しいサービスで世の中をよくする、とは違う「地球を救うことなんだ!」ということを伝えてほしいわけです。

工藤:実際は求人情報だけで判断しているわけではないですよね。

竹内さん:団体のウェブサイトや書籍、インタビューはもちろん、セミナーや説明会といった場を含めて総合的に情報を収集される方も多いです。理事やアドバイザーに錚々たるメンバーがいて「こういうひとたちに直接助言が受けられるのか!」と思うひともいますし、政府や行政と連携ができることに魅力を感じるひともいます。

これまでは人事や経理、営業や経営企画と機能が細分化された企業で働かれた方は、それら全部を経験できて成長機会になると判断される方もいます。求人を出すことだけではなく、発信される情報や作られる場も人材採用の大切な機会であると捉えてほしいです。

工藤:ありがとうございます。少し具体的な話になりますが、一般的な求人票にはビジョンやミッションを書く欄が準備されないように思いますがどこに書いたらいいでしょうか。

竹内さん:ビジョンやミッションは非営利組織の根幹でもありますので、転職希望者が目にする早い段階で記載したほうがいいですね。

工藤:職務内容ですが、「主に敵と戦い、ときに子どもと握手」でいいのでしょうか。

竹内さん:実際に担う職務は具体的に記載すべきです。加えて、少しイメージがわく情報も入れたいですね。

工藤:基本的に日曜日の朝7:30から8:00の間に敵が出現するため、この時間に戦うことになります。ただし、春休みや夏休みなど日曜日でなくとも敵が現れる可能性があります。主に土日祝日で戦闘していない時間は、ファンサービスで子どもと握手をしたり、実際の活動を知っていただくため各地でショーを通じたデモ戦闘をします、とかですかね。

竹内さん:具体的になってきましたね。

工藤:それ以外ですと、敵と戦うためのトレーニングや、新たに開発された武器やロボットの操作研修はしっかりと行います。その他、スーパー戦隊の活動にかかるさまざまな業務が発生することもありますが、サポートいたしますといったことも書けそうです。

竹内さん:「スーパー戦隊とマーケティング」でペルソナの例があったと思います。人物像を固めるのは非常に重要です。優先度が高く、かつ魅力度も高い、命を懸けて戦うということを前面に出し、面接の場面で一般の方とのコミュニケーションも発生することを伝えるなどの工夫も重要です。

スーパー戦隊六人目のペルソナ像:「スーパー戦隊とマーケティング」より
スーパー戦隊六人目のペルソナ像:「スーパー戦隊とマーケティング」より

工藤:優先度の高い要件を提示し、書類審査を通過した応募者に、メイン業務ではないけれども大切にしていることを丁寧に伝えるんですね。

竹内さん:大手企業だと、そこらへんに齟齬があっても規模のなかで補える可能性があります。しかし、スーパー戦隊は少数精鋭ですので、地球のために戦うことだけで入職しても、イメージしていたものと違うと混乱しかねません。

どこまで出すかというのは非常に難しいのですが、人類を守るためのはずなのに求人票に握手や経理、ファンドレイジングまでも書かれていると当惑して応募行動に踏み切れないかもしれませんので。

工藤:非営利組織の場合、インターンシップやボランティア、プロボノなど多様なかかわり方もありますので、採用後の齟齬を解消する上でも、事前に実際業務を知っていただくというのがよさそうですね。

竹内さん:戦闘のない日の見学会や体験入隊などはいいですね。戦闘もあるけど、隊員は書類作成といった事務作業もするし、子どもと握手だけでなくイベント設営もやるんだとか、武器やロボットのメンテナンス、戦闘で破壊してしまった自宅の持ち主に誠意をもって謝罪して回るんだなとか。

非営利組織に興味をもってもらうために

工藤:就職、転職希望者にとって非営利組織の関心度はいかがでしょうか。

竹内さん:DODAでは求人特集を年間150本ほど出していますが、そのなかで、非営利組織の求人特集の効果は高く、とても人気があります。

工藤:非営利組織で働くことへの関心はあるということですね。実際に応募されているのはどういったビジネスパーソンでしょうか。

竹内さん:他の求人と比較すると年齢が少し高めな傾向はあります。一定の社会人経験を経た上で、今後は根本的に日本をよくすること、社会課題解決につながることをキャリアにしたいと考える人の応募が多いですね。

工藤:ありがとうございます。ここまでたくさんのお話をいただきましたが、言い残されたことはありますか。

竹内さん:非営利組織が求人を出す際、「社会」という言葉の使用頻度が上がります。求人を見るひとも「社会」という言葉に反応します。確かに、「社会」とか「ソーシャル」とか「非営利」という言葉に注目はしていますが、応募行動に至るポイントは求められる役割、経験や実績などの条件、自らが望む生活をするための待遇面などのバランスと、ビジョン・ミッションへの共感度だと思います。

その点では、非営利組織は待遇面では一般企業に叶わないことも多い。だからこそ、それでも働いてみたいと思ってもらうために、「一般企業で働く多くのビジネスパーソンは、どんな待遇・仕事内容・環境で働いているのか」「自組織とは何が違うのか」というマーケットをしっかりふまえて採用戦略を考えることが重要です。

その上で、解決したい社会課題やビジョン・ミッションと、そこに取り組むからこそ得られるやりがいと身につけられる経験を、しっかり打ち出していくことが大事だと思います。

工藤:これまではともかく、これからビジネスパーソンも採用していきたいと考えた場合、そこで求められる情報をしっかり出していく必要がありますね。

竹内さん:非営利組織が非営利組織で働くひとをターゲットに求人を出すのではなく、もっと広く情報を届けたいのであれば、ペルソナを作り、誰に対してどのような情報を発信すべきなのか。彼ら、彼女らが日頃使っている言葉やすぐに理解できる内容をちゃんと充足していく必要があります。

工藤:なるほど、大変勉強になります。最後に一言あればお願いします。

竹内さん:地球を守るスーパー戦隊への入隊希望者が増えるということは、社会課題の解決が進み、人々の暮らしをよりよくするきっかけになるとても意義があることだと思います。しっかりスーパー戦隊の強み・弱みを整理して、素敵な仲間を増やし、活動を積極化してもらいたいですね。

<結論>

非営利活動としてのスーパー戦隊が限られたリソースで戦う以上、人材採用においては即戦力を求めざるを得ないように思います。もちろん、強い経営基盤を構築し、多様多才な人材が活躍している状態が望ましいわけですが、現実はじっくりひとを育てていく余裕はありません。

その一方で、ビジネスパーソンが非営利組織に転職をしてくる流れも確実に起こっています。転職を決断するきっかけは多様ですが、竹内さんが取り組まれている「DODAソーシャルキャリアフォーラム」には本当に多くのビジネスパーソンが来場し、多数の非営利組織と接点が生まれています。

ビジネスパーソンが非営利組織に転職する流れに対して、それを期待する非営利組織の側にも多くの課題があることが明確になりました。たくさんの示唆があったなかでも、ビジネスパーソンが理解できる、担うべき仕事・機能が具体的にイメージできるよう言葉を選び、求人票上でそれを表現していかなければなりません。

また、待遇面の魅力で勝負できないのであれば、求人内容のみならず、説明会や見学体験会、ウェブなどでの発信を通じて、非営利組織ならでは、その組織ならではの魅力をしっかり伝えていくことの大切さも理解することができました。

非営利組織と企業の境界線が曖昧となり、人材の流動性が高まりつつあるなか、ここをつなぐことのできる竹内さんのようなひとが、いままさに求められているのかもしれません。

フォーラム会場は熱気に包まれた。
フォーラム会場は熱気に包まれた。

2017年7月2日(日)13:00-17:00に、ベルサール新宿セントラルパークにて「DODAソーシャルキャリアフォーラム2017~ソーシャルビジネス×社会的投資の未来~」が開催されます。ソーシャルビジネスに関するセッションや社会課題解決に取り組む26団体のプレゼンテーション、マッチングイベントがあります。ご興味ありましたらご参加されてみてはいかがでしょうか! 

※「スーパー戦隊」の登壇はございません。

【追記】

2017年12月9日(土)DODAソーシャルキャリアフォーラム
2017年12月9日(土)DODAソーシャルキャリアフォーラム

2017年12月9日(土)に、DODAソーシャルキャリアフォーラム2017-ソーシャルセクターだからできること-が開催されます。ぜひ、ご参加ください!!

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株式会社インテリジェンス 竹内麻衣
株式会社インテリジェンス 竹内麻衣

竹内麻衣

株式会社インテリジェンス

転職メディア事業部 マーケティング企画統括部メディアプロデュース部 

(株)インテリジェンスにて法人営業として中途採用支援に従事。IT・インターネット業界の大手からベンチャー企業まで幅広く担当し、顧客満足度全国1位を獲得。2012年より、転職サイトDODAのマーケティング部門にて、イベント・コンテンツ・アライアンス企画及びマネジメントを担当。NPOとビジネスパーソンのマッチングによるNPOの課題解決、個人の働き方改革を目指し、社会課題解決を仕事にする求人特集や、DODAソーシャルキャリアォーラムなどを主催。

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認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長

1977年、東京都生まれ。成城大学中退後、渡米。Bellevue Community Colleage卒業。「すべての若者が社会的所属を獲得し、働くと働き続けるを実現できる社会」を目指し、2004年NPO法人育て上げネット設立、現在に至る。内閣府、厚労省、文科省など委員歴任。著書に『NPOで働く』(東洋経済新報社)、『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『若年無業者白書-その実態と社会経済構造分析』(バリューブックス)『無業社会-働くことができない若者たちの未来』(朝日新書)など。

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