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三菱UFJ銀行が定期預金の10年物金利を100倍の0.2%に引き上げたが、これはむしろ遅いくらい

久保田博幸金融アナリスト
(写真:西村尚己/アフロ)

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ銀行は1日、5-10年の定期預金金利を大幅に引き上げると発表した。6日から適用する。10年定期の金利は現行の0.002%から0.2%と2012年以来の高水準になる(1日付ブルームバーグ)。

 この記事をみて、いまごろになって10年物金利を引き上げるのかとの思いもあった。しかし、メガバンクがやっと長期金利の上昇に反応し始めたことがニュースとなったものとみられる。

 ちなみに三井住友銀行、みずほ銀行の10年定期預金金利は0.002%のままのようだが、三菱UFJ銀行の動きをみて同じような動きとなると予想される。

 そもそも10年国債の利回りが1日に0.970%と1%に接近しているなか、これまでメガバンクは0.002%で個人から借りて(個人は預金して)、それをたとえば2日の入札の10年国債で運用すれば1%近くで運用できるということになり、大きな利ざやが稼げることとなる。

 10年国債の利回りは年初にも0.5%近くに上昇していたが、それでも10年の定期預金金利を0.002%に据え置いていたことにも疑問がある。これに対して、固定の住宅ローン金利についてはいち早く10年国債の利回り上昇を反映していたはずであった。

 100倍の0.2%でもまだまだ低いと思う。本日の10年国債の入札結果を受けて、明日条件が決まる10年変動タイプの個人向け国債の利率は前回の0.51%を上回ることが予想される(0.60%程度)。今後10年変動タイプであれば、さらに長期金利が上昇してもそれが反映されることもあり、利子を見る限りにおいては、こちらのほうが魅力的に映るのだが。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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