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国債の入札入門

久保田博幸金融アナリスト
(写真:西村尚己/アフロ)

 5日の10年国債の入札動向が注目されているが、国債の入札についてあらためて確認したい。

 財務省は毎月の国債の入札予定について、3か月前に月間のスケジュールを発表している。スケジュール表は財務省のホームページで確認することができる。

 入札日の1週間前に発行予定額などが財務省から発表される。財務省ホームページで入札予定日、発行予定日、償還予定日、発行予定額が確認できる。

 年度の国債発行計画に1回当たりの国債発行額が決められており、入札の1週間前の日に発表される発行予定額はそれに基づいている。年度途中で補正予算などの関係で国債発行計画が修正された場合には、その発行額となる。ただし、よほどのことがない限り国債の発行額が突然変更されることはない。

 入札予定日について2年、5年、10年、20年、30年、40年国債の予定日は、慣行上、主に3連続営業日の真ん中に設定されている(短期の国庫短期証券や流動性供給入札を除く)。つまり月曜日や金曜日の実施はまれとなる。

 発行予定日は、その国債の年限により異なる。たとえば2年債については入札日のあった月の翌月1日が発行日となる(土日祝日となる場合にはその翌営業日)。5年債、10年債、20年債については3月、6月、9月、12月は入札の翌営業日後が発行日となる。

 償還予定日については、2年債は発行日の2年後の1日となる。そして、5年債、10年債、20年債などは償還日が3、6、9、12月の各20日にまとめられている。

 国債の入札日の前日、財務省は国債市場特別参加者など主要な入札参加者に対してヒアリング(聞き取り調査)を実施する。

 このヒアリングで、投資家の需要はどの程度あるのか、それを受けて業者(主にプライマリー・ディーラー)がどの程度の金額の札を入れてくるのか、表面利率(クーポン)は何%が適切と考えているのか、などを聞き取る。そして、国債の利率などを設定する際の条件の参考にする。ただし、最終的には入札日当日の債券相場の動向を見て利率が決定される。

 各年限の国債はナンバリングされている(回号)。同じ10年債でも、発行時によって利率や残存期間が異なるため、それぞれに回号が付けられており、まったく別の銘柄として売買される。

 2001年3月より、即時銘柄統合(即時リオープン)方式が導入された。これは、新たに発行する国債の元利払日と表面利率が、すでに発行した国債と同一である場合、原則として、すでに発行した国債と同一銘柄の国債として追加発行(リオープン)することとし、この新たに発行する国債を、発行した時点から、すでに発行した国債と同一銘柄として取り扱う。

 10年国債については、金利が上下に大きく変動した場合(償還日が同一の国債を発行する場合で、かつ、前回債の表面利率と入札日の市場実勢利回りとの乖離がおおむね 0.30%を超える場合)を除き、たとえば、年間4銘柄(1・2・3月発行分は1月債、4・5・6月発行分は4月債、7・8・9月発行分は7月債、10・11・12月発行分は10月債)でのリオープン発行となる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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