日銀は現状維持を全員一致で決定、欧米との金融政策の方向性の違いであらためて円安進行
20日の外為市場ではドル円142円台を回復し、ユーロ円は155円台を付けてきた。
15、16日に開催された日銀の金融政策決定会合では、金融政策の維持を全員一致で決定した。これは事前予想通りだが、このタイミングでもイールドカーブコントロールの修正すら行わない日銀には呆れかえるばかりとなる。
決定会合終了時に発表された公表文のタイトルは「当面の金融政策運営について」となっており、このタイトルで現状維持ということがわかる。何らかの金融政策変更時はこのタイトルではなくなる。
公表文も細かい部分に工夫、いや一部表現の修正はあったが、ほぼ内容は前回と同様となっていた。今回も公表文の最後は「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。」となっていたが、この部分の違和感は増すばかり。
現在の日銀は強力な金融緩和の姿勢を貫こうとしていることが、ここからも窺える。日銀の物価目標である消費者物価指数(除く生鮮)が前年同月比で2%超えが1年も続いているにもかかわらずである。
どう考えてもこの部分は「必要があれば、躊躇なく必要な金融政策の修正を講じる。」とかいったものになろう。日銀の金融政策は緩和方向しかないわけではない、当然引き締め方向、というより、その前段階として、行き過ぎた緩和姿勢から少なくとも中立の状態に戻す必要がある。
日銀はブレーキをなくした状態のまま走り続けているクルマのようである。いやブレーキがあることを認めるだけで市場が大変動を起こしかねないという恐怖心からブレーキを見ないふりをしているのか。
さらに日銀の金融政策は委員会方式であることも忘れているようである。総裁と副総裁の執行部が一丸となって、というのならわからなくないが、少しでも隙をみせたくないというばかりに審議委員もすべて巻き込んでの全員一致を作り上げているようにすらみえる。
日銀の金融政策の方向性が、物価に応じたまともな金融政策を行っている欧米の中央銀行の金融政策とは真逆となっていることで、あらためて円安も進んでいる。
この円安に対して介入で抑え込むつもりなのかもしれないが、それは筋違いではなかろうか。日銀の金融政策に機動性、柔軟性があり、イールドカーブコントロールの撤廃を示唆するなどすれば、思惑的な円売りは警戒されることとなろう。それもできない頑なな日銀はいったい何を目指しているのであろうか。