米銀SVBが経営破綻、リーマンショック後で最大規模。これを受けて金融市場ではリスク回避の動きを強める
米連邦預金保険公社(FDIC)は10日、テック関連のスタートアップへの融資で知られる銀行持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレーバンクが経営破綻し事業を停止したと発表した(10日付日本経済新聞)。
SVBファイナンシャル・グループは増資を計画していたが不首尾に終わった。金利の急上昇により、保有する資産価値の毀損に見舞われていたことに加え、SVBの健全性への懸念から顧客が資金引き揚げを急いだことで、いわゆる取り付け騒ぎも発生していたことから、経営破綻に追い込まれた。
シリコンバレー銀行はシリコンバレーなどの新興企業を主な取引先とし、昨年末時点の総資産は2090億ドル(約28兆円)、預金総額は1754億ドル(約24兆円)だった。(11日付読売新聞)。
金融危機以降で最大の米銀破綻となり、10日の米国株式市場では金融システム全体に波及することへの警戒感から、金融株を中心に売られた。リスク回避の動きが強まり、米債は買われ(利回りは低下)、米10年債利回りは3.7%と前日の3.9%から大きく低下した。
イエレン財務長官はこの日、連邦準備制度とFDIC、通貨監督庁(OCC)の幹部と会議。国内銀行システムの「強靱さに変わりはない」と述べ、SVBを巡る事態の展開に関しては「効果的なツール」が規制当局にはあると指摘した(11日付ブルームバーグ)。
10日には米雇用統計の発表もあったが、雇用統計の数字よりもSVB破綻による影響が大きく、リスク回避の動きを強めた。外為市場では円やスイス・フランなどが買われ、ドル円は一時134円10銭近辺まで円高ドル安が進んだ。
SVBが経営破綻した要因として、金利の上昇によるポートフォリオの毀損も挙げられており、あらためて物価上昇に対応したFRBによる積極的な利上げによる影響が市場では意識されてきた。このため、次回のFOMCでの利上げ幅は0.5%に再拡大するとの見通しが一時強まったが、0.25%の利上げとなるのではとの見方の方が優勢になっている。