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GDPでの米中逆転は無しか。一人あたりGDPで日本は台湾や韓国にも抜かれるとの試算も

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 日本経済研究センターは14日、中国の名目国内総生産(GDP)が米国を逆転しないとの試算を発表した。昨年は2033年に逆転すると予測していた。新型コロナウイルスの封じ込めを狙うゼロコロナ政策の余波や、米国の対中輸出規制で中国の成長率が下振れするとした(15日付日本経済新聞)。

 日本経済研究センターは、1963年に日本経済の発展に寄与することを目的に事業を開始した非営利の民間研究機関。略称はJCER、日経センターとも呼ばれる。

 今回の発表では、日本の一人あたり名目国内総生産(GDP)が2022年に台湾、2023年に韓国をそれぞれ下回るとの試算も発表している。日経新聞によると、デジタル資産で後じんを拝し、労働生産性が伸び悩むことに加え、円安ドル高でドル換算の金額が目減りするためとしている。

 すでに日本の一人あたり名目国内総生産(GDP)は2007年にシンガポール、2014年には香港にも抜かれていた。

 IMF(国際通貨基金)が発表している統計に基づく2021年における日本のGDPは、約4.9兆ドルとなっており、これは米国、中国に次ぐ世界3位の規模となる。

 これに対して一人あたりのGDPは2021年のIMFのデータに基づく試算では27位となっていた。しかし、円安も加わりドルベースとなっていることもあり、2022年以降の日本は今後さらに順位を下げてくる可能性がある。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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