Yahoo!ニュース

原油価格でのロシアへの新たな制裁措置

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は4日、現行の協調減産を維持すると再確認した。中国など世界の景気減速による原油需要の鈍化を警戒し、11月に始めた日量200万バレルの減産を今後も継続する(4日付ロイター)。

 G7=主要7か国とオーストラリアはロシア産原油の国際的な取り引きの上限価格を1バレル60ドルに設定するなどとした新たな制裁措置について合意したと発表(NHK)。

 こちらはウクライナ侵攻を続けるロシアの資金源を抑えこむねらいとなる。

 どのようにして60ドルに押さえ込めるのかといえば、60ドルを超える取り引きにはG7に拠点を置く金融機関による海上保険や金融サービスを禁止する。G7に拠点を置く金融機関は世界の海上保険などのおよそ9割を占める。これによって制裁に参加しない国にも効果が及ぶことになる。

 原油価格の指標ともいえるWTI原油先物では、今年3月に130ドル台を付け、ここでピークアウトした。6月には100ドルを下回り、11月に73ドル近辺まで下落した。

 ちなみに、WTIとはWest Texas Intermediateの略で、米国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油のこと。原油価格の代表的な指標のひとつとなり、この先物がニューヨーク商業取引所にて取引され、このWTI原油先物は、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、原油価格の指標となっているのである。

 世界的な物価上昇の要因のひとつが、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の上昇にあった。天然ガスの価格が急騰し、それが原油価格にも影響した格好となった。

 エネルギー価格については、少し落ち着きを取り戻してきている。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻は続いており、今回のような制裁措置も発動している。これを受けてロシアやOPECプラスがどのような対応を示すのかにも注目したい。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事