原油価格は再び上昇基調に、円安も進行しドル円は131円に接近。日本での物価上昇圧力が再燃か
OPECプラスは増産に合意したが
石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」は2日のオンライン閣僚級会合で、従来の日量43万2千バレルの増産ペースを7~8月に同64万8千バレルに高めることで合意した。
OPECプラスは昨年以降、日量40万バレル程度ずつの小幅な供給拡大を毎月継続してきたが、その増産ペースを拡大させる。
ロシアの産油量はウクライナ侵攻以降、既に日量100万バレル程度減少している。国際エネルギー機関(IEA)によるとロシアの4月の石油生産量が前月比で日量96万バレル減少した。5月は4月よりさらに同60万バレル減った。
欧州連合(EU)による対ロシア制裁第6弾の最終案が承認されたことを受け、さらに落ち込む恐れがある。
今回の合意に至る協議は、ロシアの全面的な支持を得てわずか11分で終了したとか。ウクライナに侵攻したロシアに石油カルテルでの中心的地位を引き続き認める一方、増産を求める米国にも協調姿勢を示した(3日付ブルームバーグ)。
WTI先物は再び上昇基調に
ロシアの産油量の減少を今回の増産程度ではカバーしきれていない。さらに米エネルギー情報局(EIA)が2日発表した5月末の米国の原油在庫は前の週に比べ510万バレル減少し、予想を上回る減少となった。これらを受けて、3日の原油先物は上昇し、WTI先物7月限は一時120.46ドルと3月上旬以来の高値をつけた。
3月7日の日本時間にWTIは一時130ドル台と2008年7月以来の水準に上昇していた。その後は戻り売りに押される格好となり、100ドルを割り込む場面もあった。しかし、ここにきてWTI先物は再び上昇基調となりつつあり、再度130ドル台をうかがう可能性が出てきた。米国の原油需要が堅調に推移するとの見方も強い上、上海市のロックダウンが1日に解除されたことも中国経済の回復期待を強めることとなり、これも原油価格にとっては上昇要因となろう。
米雇用統計を受け米長期金利は3%に接近
3日に発表された5月の米雇用統計では、非農業雇用者数の伸びが前月比39万人と4月の43万6000人からは減速したものの、市場予想は上回った。平均時給の上昇率は前年同月比5.2%と高い伸びが続き、FRBが9月以降も利上げを続けるとの見方が強まった。これを受けて米10年債利回り(長期金利)は一時、2.98%まで上昇し3%に接近した。
利上げを急ぐFRBに対して、非常時の緩和策を続けている日銀との金融政策の方向性の違いもあらためて意識され、3日にドル円は一時、130円98銭と5月9日以来の安値を付けた。
原油先物の高値は3月7日につけた130.50ドル、そしてドル円の直近の高値は3月9日につけた131円30銭台となる。
両者ともにここにきて上昇トレンドをあらためて形成しつつあり、いずれその直近高値を抜いてくる可能性がある。円安と原油価格の上昇は、当然ながら日本にとってはさらなる物価上昇圧力となる。