インフレ懸念が再燃、5日の米国株式市場でダウ平均は1000ドルを超す下げとなり、前日の上げ幅を帳消し
パウエルFRB議長の会見でFRBが今後、0.75%ではなく0.5%の利上げを継続するとの見方から、大幅な利上げはないとみて、市場参加者は安堵。4日の米国株式市場は大きく値を戻し、ダウ平均は932ドル高と、上昇幅、上昇率とも今年最大となった。
しかし、昨日発表された1~3月期の米労働生産性指数(速報値)で、賃金指標となる単位労働コストが1982年以来の大きな伸びになったことに加え、OPECプラスで大幅増産が見送られWTI原油先物が一時111ドル台に上昇したことから、あらためてインフレ懸念が強まった。イングランド銀行が5日に10~12月期の物価上昇率が10%を超えるとの見通しを示したことなども影響か。
米長期金利は一時3.10%と2018年11月以来の水準に上昇。米国株式市場では割高感が意識されやすいハイテク株などが売られて急反落となった。ダウ平均は大幅反落、1063ドル安と下落幅は2020年6月以来ほぼ2年ぶりの大きさとなった。結局、4日の上げ幅以上の下落幅となって前日の上げ幅を帳消しに。
FRBが0.5%の利上げ継続を打ち出したことで、むしろ金融当局に対して、物価急騰に歯止めをかけられるか懐疑的な見方も出ていたようである。昨日の米短期金利先物市場では6月の0.75%の利上げ確率を約75%織り込んだ格好となるなど、大幅な利上げを再度織り込みつつある。