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3月の企業物価指数は前年比9.5%の上昇、企業が価格転嫁の動きを加速させる可能性も

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 日銀が12日に発表した3月の国内企業物価指数は前年同月比で9.5%の上昇となった。前月2月の伸び率は速報値の9.3%から9.7%の上昇に改定した。

 企業物価指数の前年比伸び率は、1981年以降最大となった2月に続き、高い水準を維持している。市場予想は9.2%の上昇だった模様。

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まったのが2月24日。これを受けて原油価格がさらに上昇圧力を強め、WTI先物価格は3月1日に100ドルを突破し、3月8日に一時129.44ドルまで上昇した。その後は100ドル近辺で値動きの荒い展開が続いている。

 ウクライナは穀倉地帯でもあり、今後は穀物などへの影響も出るとみられ、食料品などにも今後さらに大きな影響が出ることも予想されている。

 円安が企業物価指数を押し上げている側面もある。ただし、輸入物価指数(円ベース)は前年同月比33.4%の上昇となったが、伸び率は4か月連続で縮小した。

 国内企業物価指数は引き続き高い水準を維持している。これがどのように消費者物価に影響を与えるのか。

 ロシアによるウクライナ侵攻という想定外の出来事もあり、円安も加わって、企業が今後、価格転嫁の動きを加速させる可能性もある。

 ひとまず4月22日に発表される3月の消費者物価指数を確認したい。携帯電話の引き下げの影響が剥落してくるのは4月の消費者物価指数からとなる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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