長期金利の上昇で住宅ローン固定金利は上昇、個人向け国債の10年変動の初期利子が6年ぶりに0.1%台に
1月31日に10年債利回りが0.185%に上昇した。2016年1月29日のマイナス金利導入以来の水準となる。ここにきての日本の10年債利回り(長期金利)の上昇を受けて、さっそく動きが出てきた。
2月から適用する10年固定の住宅ローンについて、基準となる金利を、三菱UFJ銀行が3.39%から3.49%に、三井住友銀行が3.4%から3.5%、みずほ銀行が2.75%から2.8%に、それぞれ引き上げる。3メガバンクの金利はいずれも2015年~16年以来の高水準となる。
各銀行が固定金利タイプの住宅ローンの金利を決める参考としているのが10年国債の利回り、つまり長期金利である。
これに対して変動金利タイプは短期プライムレートと呼ばれる短期の金利に連動しており、日銀の政策金利に連動している。日銀がもし利上げに動くことがあれば、変動金利の上昇要因となる。現状はそれは考えづらいとの見方が強いが、日銀が金融政策の正常化に向けて動くことも十分にありうることで、変動であれば金利上昇の心配はないとの認識にはややリスクが伴う。
ローンを組んでいる人達にとって金利上昇は家計を圧迫することになるが、特に日本での個人は債務よりも金融資産、しかも現金や預金の割合が大きい。つまり、金利上昇の恩恵を受けやすい。
たとえば昨日、10年国債の入札が実施されたが、それによって来月発行される個人向け国債の初期利子が決定された。10年変動金利タイプについて、1月募集分はすでに0.07%となっているが、2月募集分の利子はそれを上回り、0.11%となった。0.1%を上回るのは2016年2月以来、実に6年ぶりである。
https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/houdouhappyou/p20220202.pdf
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/kojin_suii.xls
10年変動タイプの個人向け国債の利子は最低保証の0.05%となることが多かったが、今後は長期金利の上昇次第では、利子がさらに上昇してくることが予想される。
日銀が金融政策の正常化に動けば、金利の機能が回復し、金利がほぼ付かない状態から脱することが可能となる。金利収入という言葉が過去の用語となってしまった感もあるが、それを取り戻す機会ともなろう。