ゴルディロックス相場の再来か
12日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均、ナスダック総合株価指数、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数という主要三指数が過去最高値を更新してきた。欧州株式市場でも代表的な指数であるストックス欧州600種は過去最高値を更新、またドイツのクセトラDAX指数は過去最高値を付けている。
これに対して東京株式市場、日経平均は3万円の手前でもみあうなど、伸び悩みとなっている。
米国の長期金利が伸び悩みとなり、8日連続で低下(国債価格は上昇)するなどしており、この背景には米国経済が伸び悩みとなるのではという観測もあった。しかし、米国株式市場は一時調整する場面はあったものの切り返して、指数は高値を更新している。
今週から2021年4~6月期決算の発表シーズンが始まるが、ここにきての株価の上昇の背景には企業業績の改善予想もある。
米長期金利が伸び悩みとなっていたことで、これは景気悪化を示すものというよりも、FRBの金融緩和の修正についてかなり慎重に行なおうとしているものとの見方もできる。
前回のFRBの出口政策についても、テーパリングの示唆から実際のテーパリングまで、またそのテーパリングも時間を掛けて行い、利上げについても同様に一定期間を設けるなどしていた。
今回も出口戦略は慎重になると予想されることで、米長期金利が上がりにくくなってきている。FRBの慎重戦略は株式市場にとっても好都合。これはECBも同様であり、今回のECBによる物価目標の修正についてもハト派色を強めたと受け止められた。
欧米の物価指数については4月と5月が前年比で大きく上昇していたが、これはさすがに前年の落ち込みが大きすぎた反動が大きいとの認識を強めてきた。6月も大きく上昇したが、市場はそれほど材料視してはいなかった。今後、物価は比較的高く推移するかもしれないが、インフレ圧力がそれほど強まるとは思えないというのが、次第にコンセンサスとなりつつある。
いわゆるゴルディロックス相場の再来といった相場展開になりつつあり、今回の大きな相場は簡単には崩れないということを示しているかのようではある。しかし、油断も禁物ではある。