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中国国債の外国人保有率が10%超えとなったのはどうしてなのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 中国の国債の外国人保有比率が今年の1月末、初めて10%を突破したとロイターが報じた。銀行間債券市場の証券決済機関、中国中央国債登記結算(CCDC)のデータによると、中国国債の外国人保有高は1月末時点で2兆元(約3097億ドル)弱となり、ロイターの算出によると、外国人は中国国債の10.3%を保有していることなるそうである。

 ちなみに日本国債への海外投資家の保有率は昨年9月末現在、国債(短期債除く)で7.3%、短期債を含むと12.6%となっている。

 中国国債への海外からの投資が増加したのは、国際的な主要債券指数に中国国債が段階的に組み込まれてきたことや、他国に比べて引き締め的な金融政策により、国債の利回りが比較的高く、人民元の上昇を背景に中国国債への海外からの需要が膨らんだと考えられる。

 中国の10年債利回りは3%台となっており、10年債利回りで比較して、日本の0.04%、米国の1.13%、イギリスの0.44%台、イタリアの0.54%などに比べてかなり高い(5日現在)。

 格付けでみるとS&Pは中国の格付けを「A+」としており、日本も「A+」となっている。

参考「S&P ソブリン格付けリスト」 https://www.standardandpoors.com/ja_JP/delegate/getPDF?articleId=2588187&type=COMMENTS&subType=REGULATORY

 いずれ中国のGDPは米国をも上回るとの予想もあり、経済成長への期待もある。ただし、米中の覇権争いや、中国国内での社債のデフォルトなどによる影響、そもそも政治システムの違いなどもあり、そのリスクを測るのは難しい面はあるのかもしれない。

 新型コロナウイルスによる影響もあり、中国政府も今後は国債発行圧力を強めることも予想される。今後も海外からの投資はある程度歓迎することも予想される。

 ちなみに日本国内で個人でも中国国債を購入することは可能なようである。調べたところ既発債ではあるが残存5年6か月程度で、利率は1.4%(人民元ベース)となっていた。投資はあくまで自己責任となる点にもご注意を。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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