大手銀行が口座管理手数料を設定するのはどうしてなのか
三井住友銀行は7日、長期間出入金がなく、インターネット取引を利用していない預金口座に対して新たな手数料を設定すると発表した(7日付共同通信)。
朝日新聞によると、来年4月以降に預金口座を新たに開く18~74歳の顧客のうち、ネットバンキングを使わない人から手数料をとる。残高1万円未満で入出金が2年以上ない口座から、年税込み1100円を徴収。紙の通帳発行は550円必要となる。取引のデジタル化を進めるねらいもあるようだ。
2018年に休眠預金等活用法が施行されて、「2009年1月1日以降の取引から10年以上、取引がない預金等」が休眠預金となる。つまり2019年1月1日から法律上の休眠預金が次々に出てくることになり、この休眠預金を出さないようにするのも今回の目的となろう。
さらに紙の通帳は印紙税法で「課税文書」と位置づけられ、1口座あたり毎年200円の税がかかることで、この負担も軽減できる。
多くの海外銀行では、口座残高が一定水準を下回ると口座維持手数料が必要になる。これに対して、日本の銀行では口座維持手数料や口座管理手数料を取るというケースは今のところ少ない。口座を作ることや維持することに対しては無料との認識も強い。
しかし、日銀によるマイナス金利政策なども影響し、銀行など金融機関は運用などで収益を得ることが難しくなってきている。その上、送金手数料の引き下げなども求められていることで、あらたな収益源、もしくは費用の削減となるものを求めているとみられる。
日本ではこれまで口座管理手数料の導入には慎重となっていたが、りそな銀行は2004年4月から普通預金口座の未利用口座について管理手数料を適用させている。
今後は今回の三井住友銀行のようなかたちで口座管理手数料を取る銀行は増えてくる可能性がある。
今回の三井住友銀行は、来年4月以降に開設する口座で、なおかつ長期間出入金がない口座のうち、インターネット取引を利用していない場合に新たな手数料を設定する。つまり、犯罪などに利用されないよう安易に口座開設ができないように心理的な障壁を設定し、さらにネット取引の利用を進めることで、経費とともに人件費などの節約も意識されたものか。
インターネット取引の利用促進などは、政府のデジタル化政策にも歩調を合わせる格好となろう。
このような動きは次第に広まってくることが予想される。ただし、インターネット取引の普及のためには、銀行のインターネット口座そのもののセキュリティを高める工夫も当然求められよう。