6月末の日本国債の保有者
日銀は9月18日に資金循環統計(2020年4~6月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は6月末時点で約1883兆円となり、3月末の約1828兆円から増加した。
個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で4.0%増の約1031兆円となり、これは過去最高となった。政府による1人10万円の特別定額給付金の支給が影響したようで、その多くが現預金に回っていたようである。株式等は同4.3%減の約173兆円、投資信託は同2.7%減の約68兆円となっていた。
この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。
残高トップの日銀の国債保有残高は490兆3435億円、47.7%のシェアとなった。前期比(速報値)からは3兆3057億円もの増加となる。 残高2位の保険・年金基金は248兆239億円(24.2%)、2兆3335億円減。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で128兆2484億円(12.5%)、2兆7330億円減。残高4位が海外投資家で76兆2662億円(7.4%)、2兆8840億円減。残高5位が公的年金の37兆5551億円(3.7%)、3兆1854億円減。残高6位が家計の13兆8822億円(1.4%)、296億円増。その他が32兆6592億円(3.2%)、2兆1081億円増となっていた。
2020年3月末に比べ国債(短期債除く)の残高は5兆6475億円減の1026兆9785億円となった。(こちらの国債残高は時価ベース)。
3月末に比べて保険・年金、預金取扱機関、公的年金そして海外が大きく残高を減少させていた。増加したのは日銀とその他となった。個人も微増。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、3月末にかけて株式市場は急落したが、その後はじりじりと戻している。
キャッシュ化が意識されて、3月に日本国債も大きく売られるなど波乱含みの様相となっていたが、それも次第に落ち着きを取り戻してきた。
しかし、4~6月期のGDPは、緊急事態宣言による人や物の移動の制限などから、過去最大級の落ち込みとなっていた。原油先物価格は4月に一時マイナスになるなどしており、物価も低迷した。
それでも国債の80兆円という枠を撤廃した日銀以外には大きな買い手はこの間に存在していなかったようである。
ちなみに、7月からは過去最大規模の第二次補正予算をうけて、国債発行額が大きく増額された。債券市場ではこれによって売られるようなことはなかった。景気の悪化や物価の低迷による金利の低下圧力もあるが、日銀の国債買い入れと長期金利コントロールも意識されたとみられる。
短期債を含めた国債全体の数字でみると6月末の残高は約1170兆円。このうち日銀が約521兆円で44.5%のシェアに。海外勢の残高は約150兆円と短期債を含めると国債全体の12.8%のシェアとなっていた。