8月の全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比マイナス0.4%に
総務省が18日に発表した8月の全国消費者物価指数は、総合で前年同月比プラス0.2%、生鮮食品を除く総合で同マイナス0.4%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合で同マイナス0.1%となった。ちなみにこれらの数値には昨年10月の消費増税引き上げの影響が加味されている。その影響を除くとさらに低い数字になると予想される。
日銀の物価目標でもある生鮮食品を除く総合は、4月分が2016年12月以来、3年4か月ぶりにマイナスとなり、5月もマイナスが続いた。しかし、6月はガソリンなどエネルギー関連の下落幅が縮小し、横ばいとなり、7月も同様の横ばいに。
しかし、8月は上記のとおり、再びマイナスに落ち込んだ。マイナスとなるのは5月以来だが、0.4%というマイナス幅は2016年11月以来のマイナス0.4%となる。
前年同月との比較での寄与度をみると、宿泊料が前年比32%の大幅下落となったことが影響していた。これは東京を除く全国を対象とした「Go Toトラベルキャンペーン」による宿泊料の割引などが影響したとみられる。
ただし、それ以上に影響していたものとして、幼稚園保育料(私立)の94.0%の減少、そして保育所保育料の58.1%の減少があった。引き続き新型コロナウイルスの感染拡大による影響が出ているものとみられる。
灯油(10.9%減)、ガソリン(6.3%減)も影響していた。原油先物価格をみると、WTIは4月に一時マイナスとなったが。その後、中国などの原油需要の回復などから、徐々に値を戻して、6月には40ドル近くまで上昇した。これにより、エネルギーのマイナス寄与度が縮小した。7月以降のWTI先物は40ドル近辺の膠着相場となっている。前年比ではマイナスが続いている。
寄与度をみると生鮮野菜の上昇などにより、総合はプラスを維持した格好に。天候不順の影響で野菜などに加え、梨なども値上がりしていた。
また、競技用靴が9.1%の上昇となっていた。テレワークの増加による運動不足の解消のため、ランニングやウォーキングのための需要が増加したようである。
いまさらではあるが、日銀の異次元緩和は消費者物価指数に直接関与しているようにはみえず、引き上げに作用しているようにもみえない。